北海道新幹線新函館北斗~札幌間の建設主体である独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)は8月15日、札樽(さっそん)トンネルの発進立坑工事に着手すると発表した。8月29日に札幌市手稲区の発進立坑ヤードで安全祈願祭が行なわれる。
札樽トンネルは、現在建設中の北海道新幹線新函館北斗~札幌間のうち、小樽市朝里付近と札幌市中央区の間に建設される全長約26.2kmのトンネル。
このうち、札幌寄りの約17.3km区間は、星置(ほしおき)・富丘・札幌の3工区に分けて建設されるが、今回着手する発進立坑は、札幌工区が札幌市街地の地下を貫く約8.4kmのトンネルを建設するためのもので、掘削に必要な機材などを配置。札幌市中央区内には「到達立坑」と呼ばれるものが掘削され、地下深く垂直に掘削された両立坑を水平方向に結ぶシールドトンネルが建設される運びとなっている。
この工事が開始されることにより、札幌市街地におけるトンネルの準備工事が本格化することになるが、山岳トンネルとなる星置工区と富丘工区が受け持つ約8.9km区間については、「対策土」と呼ばれる有害物質を含む残土が発生する怖れがあるため、着工の見通しが立っていない。
札樽トンネル部分の平面図(上)と縦断面図(下)。今回の発進立坑工事は発寒駅の西側で行なわれる。そのため札幌市では、残土の受入れ先として厚別(あつべつ)区の山本地区、手稲区の金山地区を候補に定めているが、地元からコンセンサスを得ていないことから、先行きが不透明な状況が続いている。