ポルシェは8月19日、9月4日にワールドプレミアされる予定の『タイカン』(Porsche Taycan)のプロトタイプが、高速走行専用コースでテストを実施し、24時間で3425kmを走破した、と発表した。
高速テストはイタリア・ナルドで実施
ポルシェ・タイカンのプロトタイプ今回のテストは、イタリア・プッリャ州のナルドテクニカルセンターで行われた。700ヘクタール以上のエリアに、20以上のテストコースレイアウトと施設を備える。ナルドテクニカルセンターは、顧客に90社の自動車業界企業を数え、150人以上のスタッフを雇用している。2012年以来、このテスト拠点はポルシェの完全子会社、ポルシェエンジニアリングによって運営されている。
このテストセンターは、サーキットと一緒に1975年に設立された。あらゆる開発段階において、広範なテストが可能な環境を持つ。走行距離12.6kmの世界唯一の高速コースは、極限条件下で車をテストし、開発プロセスをより効率的にするために建設された。2019年7月中旬には、テストセンターの改修が完了。この改修工事では、ポルシェエンジニアリングがナルドでの高速テスト用に、特別に開発したクラッシュバリアシステムが設置されたほか、10万6000平方mの広さのドライビングダイナミクスサイトも、完全リニューアルされている。
ポルシェ・タイカンのプロトタイプ平均速度は最高で215km/hに
タイカンのプロトタイプは、このナルドの高速走行専用コースでテストを実施し、24時間で3425kmを走破した。この距離は、ナルドからノルウェー・トロンハイムまでの距離に、ほぼ匹敵する。ポルシェによると、平均速度は最高で215km/hに達したという。ピーク時の気温が42度、路面温度が54度に達する状況において、タイカンのプロトタイプは、長距離走行の実力を発売前に証明した形となる。
ポルシェ・タイカンのプロトタイプタイカンのプロトタイプは、急速充電とドライバーの交替を目的とした一時停車を除き、テストは中断することなく実施された。チームはポルシェのテストドライバー6名で構成され、耐久性と高温気候下でのテストの一環として、品質保証テストが行われた。
800Vのパイパワー急速充電ステーションを使用
ポルシェ・タイカンのプロトタイプタイカンは、システム電圧が800Vにおよぶ初の市販フル電動スポーツカーだ。レーシングカーの『919ハイブリッド』に採用され、ルマン24時間耐久レースでの3連覇に貢献したこのテクノロジーが、今度は市販モデルに搭載される。
800Vのテクノロジーによって、安定的な高性能や充電時間の短縮が実現するほか、ケーブルの重量やパッケージングのスペースが削減される。ナルドテクニカルセンターでの耐久走行では、ポルシェエンジニアリンググループが開発した800Vのパイパワー急速充電ステーションが使用された。
ポルシェによると、タイカンの高度なサーマルマネジメントも、ナルドでその実力が証明されたという。サーマルマネジメントは、高電圧コンポーネントを冷却および暖機するための非常に効率的かつインテリジェントなシステムを中心に展開される。これによって、過度の発熱が原因となる出力損失を防げるだけでなく、車が充電ステーションに到着した際、最も効率的に充電が行えるよう、温度を最適な状態に調整することが可能になる。
なお、タイカンは2019年末に市場投入されるまでの間、世界中で600万km以上の走行テストを行う、としている。