三菱 エクリプス クロス 試乗…ガソリンかディーゼルか、自分にピッタリなのはどっちのエンジン?

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三菱 エクリプスクロス G Plus Package(左:ディーゼルモデル、右:ガソリンモデル)
三菱 エクリプスクロス G Plus Package(左:ディーゼルモデル、右:ガソリンモデル)全 45 枚

『エクリプス クロス』は三菱自動車が2018年3月に市場投入した最新型のミッドサイズクラスのSUVだ。スタイリッシュなクーペフォルムのボディスタイルが特徴的で、流行のクロスオーバーSUVとして注目を集めている。2018年度グッドデザイン賞や2019年次RJCカーオブザイヤ-を受賞するなど評価も高い。

デビュー当初は新開発された1.5リットル直噴ターボのガソリンエンジン+8速スポーツモードCVTのパワートレイン設定のみだったが、2019年6月に2.2リットル直噴ターボのクリーンディーゼルエンジンに8速スポーツモードA/Tを組み合わせた待望の新グレードが追加され。そこで今回はガソリンとクリーンディーゼルの両モデルを駆り出し、実際に走らせながら各シーンでの魅力と特徴を再検証してみた。

内外装はほぼ共通、クーペスタイルと質感の高さが光る

三菱 エクリプスクロス G Plus Package三菱 エクリプスクロス G Plus Package

用意された2台のエクリプス クロスは共に人気色のホワイトパールで最上級のG Plus Package(Gプラスパッケージ)仕様だ(※1)。メーカー希望小売価格はガソリンモデルが310万7160円、クリーンディーゼルモデルが340万3080円(どちらも4WD、税込 ※2)。外観的には両車の違いはほとんどなく、リヤハッチゲートに取り付けられた「DI-D(ダイレクト・インジェクション・ディーゼル)」のエンブレムの有無だけが判別できる部分だ。新世代の三菱車を表現しているダイナミックシールドの精悍なフロントデザインが採用され、ボディサイドにはウェッジの効いた個性的なキャラクターラインが力強く形成されている。リヤウインドウの傾斜を強めたクーペスタイルにより構成されるルーフラインはスピード感と躍動感に溢れ、スポーティな走りを連想させる。

インテリアも両モデル共通で、見やすくスタイリッシュなダッシュボードデザインと操作性に優れたスイッチ類の配置など実用性と質感を高いレベルで両立している。ソフトパッドで覆われたダッシュボード、ステッチの縫い込まれたセンターコンソールやシート表皮なども上質で、ひとクラス上の質感が与えられているのだ。

唯一の違いといえばエンジン回転計のスケールがガソリンモデルは7500回転フルスケールであるのに対しクリーンディーゼルモデルでは5500回転フルスケールとなっていることくらいだ。これは両モデルのエンジン特性の違いによって必然的に使い分けられている。ガソリンエンジンは最高出力110kWを5500回転で発生させ、最大トルクは240N・mを2000回転から3500回転で発生させている。一方クリーンディーゼルエンジンの最高出力は107kWを3500回転で、また380N・mと強力な最大トルクは2000回転で発せられている。この特性の違いが回転計のスケールにあらわれているというわけだ。

静粛性の高さと小回りの効きを実感

三菱 エクリプス クロス のエンジン(左:ガソリン、右:ディーゼル)三菱 エクリプスクロス のエンジン(左:ガソリンモデル、右:ディーゼルモデル)

では両モデルの走りを紹介していこう。まずは市街地をガソリンエンジンモデルで走る。デビュー当初から感じていたのはミッドサイズクラスのSUVクラスのモデルとは思えない質感の高さと取り回しの良さだ。実はクリーンディーゼルモデルの登場に先駆けて、ガソリンモデルも遮音ガラスの採用など改良を受け、一層静かなキャビンとしている。もともと1.5リットルのターボガソリンエンジンは静かで低回転域から必要十分なトルクを発揮することが可能なので、市街地ではエンジン回転を低くして走行でき静粛性の高さを感じられるのだ。サスペンションのチューニングもNVH(ノイズ、バイブレーション、ハーシュネス)といった乗り心地項目3要素を高度にいなし、フラットでスムーズな走行フィールが与えられている。前後オーバーハングの小さなボディデザインは狭い道路での取り回しや見切りもよく、市街地に適している。ちなみに最小回転半径は5.4mと小さく、4WDモデルとしては驚くほど小回りが効く。

次にクリーンディーゼルモデルに乗り換える。エンジンを始動すると聞こえる重厚感のある回転音が特徴的だ。一般的にディーゼルエンジンは車外騒音の大きさが指摘されることが多いが、エクリプス クロスに搭載された4N14型は想像していたよりはるかに静かでかなり車外音に配慮されていることがわかる。もちろんガソリンエンジンよりは大きめのエンジン音だが、車室内に入るとほとんど差を感じなくなる。いや、むしろガソリンモデルより静かでは? と感じさせるほど遮音に優れていて三菱が両モデルの静粛性を同レベルに仕上げたということが窺えた。

クリーンディーゼルモデルは新開発の8速スポーツモードA/Tと組み合わされ、そのギア配分と変速タイミングが完璧に調整されていて市街地でも扱い易い。各ギアがホールドされる割合とロックアップが適時行われ、変速に煩雑さがなく燃費も優れている。ガソリンエンジンのCVTは無段階でギア比が変化するので変速を意識することはないが、8速スポーツモードA/Tは変速タイミングが適切でないとギクシャクした挙動になりやすい。そこを三菱はエンジン特性と変速プログラムを市街地にも高度にマッチングさせ、CVTのように変速に意識することなく最適なギアを自然に選択させている。車両重量がガソリンモデルより130kgほど重く、それが主にフロントに集中していることから重厚な乗り心地と取り回しであると感じさせられた。

高速道路でのクルージングはいかに?

三菱 エクリプスクロス G Plus Package三菱 エクリプスクロス G Plus Package

次のステージは高速道路だ。ガソリンモデルは高速道路への流入路でCVTならではのシームレスでスムーズな加速で車速を上げていく。変速ショックが皆無なのでドライバー以上に同乗者は快適に感じられただろう。時速100キロまで速度を高めるとエンジン回転数は1800回転弱で収まりクルージングできる。ガソリンエンジンでも2000回転を割る低いエンジン回転数でクルージングできるので高速巡航燃費の数値も良くなるはずだ。登り区間ではアクセルの踏み増しで車速は維持できるが、CVTがエンジン回転高めのところでパワーを引き出すためややノイジーになる。ただ年次改良により採用された遮音ガラスの効果で風切り音などは抑えられて静粛性は一段と高まった。レーンチェンジ時の身のこなしの軽さは軽量なガソリンエンジンモデルならではで、車線変更後の落ち着きも素早い。こうしたアジリティ特性の良さは、このあと走るワインディング路でも大きな効果を発揮してくれるだろう。

クリーンディーゼルエンジンモデルでの高速道路走行は、まさにこれ以上望みようがないほどに優れている。それは快適性、質感、燃費、高速直進安定性などあらゆる点において認められた。低速トルクの豊かなクリーンディーゼルモデルの時速100キロ巡航時エンジン回転数は僅か1450回転。当然振動も少なく静かで燃費数値も圧倒的に良くなる。ディーゼルエンジン特有の振動をエンジンマウントで吸収し、車体フロアの防振、遮音措置によって室内には振動も騒音もほとんど入ってこない。加えてエンジン回転が低いので高速巡航は本当に得意とするところ。もともと欧州で鍛え上げられたクリーンディーゼルエンジンの好特性が見事に引き継がれていた。

車両重量増は直進安定性や横風安定性にプラス作用し、慣性重量が増えたことで車速の維持も容易。8速スポーツモードA/Tは高速側ギアを積極的に選択しロックアップも行って燃費を高めている。一般的に、クリーンディーゼルモデルでの高速区間燃費はハイブリッド車以上となることもあり、使用燃料の軽油価格もガソリンより安いことから燃料維持費は圧倒的に高いといえる。

ガソリン、クリーンディーゼルともに全車速追従のACC(レーダークルーズコントロールシステム)が搭載されており、渋滞区間では完全停止から再スタートも可能という利便性と安全性の高い仕様となっている。長時間の運転でも疲労が軽減されるのが利点だ。運転支援機能については他にも衝突被害軽減ブレーキシステムやLDW(車線逸脱警報システム)、BSW / LCA(後側方車両検知システム、レーンチェンジアシスト機能付)など高度の最新機能がフルに備わっている。

ワインディングではS-AWCが活躍

三菱 エクリプス クロス G Plus Package(ガソリンエンジン車)三菱 エクリプスクロス G Plus Package(ガソリンモデル)

高速を降り次はワインディングロードに駒を進めよう。ワインディングロードはアップダウンに加えコーナーが連続する。ここでは三菱が得意とするS-AWC(スーパーオールホイールコントロール)が大いに活躍してくれる。S-AWCは『ランサー エボリューション』でも採用されていた4輪制御技術で、エクリプス クロスでは電子制御4WD+フロントブレーキAYC(アクティブヨーコントロール)+ABS(アンチロックブレーキシステム)、ASC(アクティブスタビリティコントロール)の統合制御によりプログラムされている。AUTO・GRAVEL・SNOWといったドライブモード別に特性がプログラムされているが、基本は常に4WDとして4輪に駆動力を与えているのが特徴だ。

ワインディングを得意としているのは軽量なガソリンエンジンモデルだ。もともとアジリティの高いハンドリングにS-AWC機能が備わるのでコーナー区間の身のこなしを得意としている。4WD車は曲がりにくいという固定観念のある人は目が覚める思いをするだろう。まるでスポーツカーの如く高いライントレース性でコーナーを駆け抜けられるSUVは他に例をみない。アクセルオンで駆動力をかけていても旋回性が維持されるなど、その威力は悪路でも発揮されるはず。

クリーンディーゼルモデルは重量が重くなるため軽快感はガソリンモデルにやや劣るが、重厚な走り味は上質感があり高級車に乗っているような錯覚を覚える。ブレーキAYCは前輪に作動するので万が一限界を越えても前輪荷重の大きなクリーンディーゼルモデルはリカバリーの限界が高いといえる。ただ今回走行したワインディング路は車速レンジが低い経路設定だったためS-AWCがフルに作動するような場面は訪れなかった。それは最終ステージとなるオフロードで試すことにしよう。

三菱DNAを引き継いだ、高いオフロード走破性

三菱 エクリプスクロス G Plus Package三菱 エクリプスクロス G Plus Package

オフロードでの走破性は三菱車が最も得意とするステージである。エクリプス クロスもまた三菱DNAを引き継ぎ高いオフロード走破性を与えられている。前後オーバーハングの小さな車体デザインは、実はアプローチアングルやデパーチャーアングルといったオフロードを安全に走る上で必要な車体のディメンション要求を高度に満たすものでもあった。今回走行したのは比較的フラットなダート路面だったが、段差の大きな場面を通過する際にノーズ先端下部を擦ったり、リヤエンドをヒットするという心配がない。

オフロードではGRAVELモードで走行すると4WD特性が強く引き出され駆動力がしっかり引き出せる。ステアリングを切り込めばS-AWC効果で駆動力をかけたまま旋回できるのでアンダーステアが弱く安心して走れる。雪道や泥濘路でもこの好特性は引き出され路面条件の悪い場面でも安心感の高い走りが確保されている。この特性はガソリンとクリーンディーゼルによる差別化はなく三菱4WDのDNAとして一貫しているのだ。

ユーティリティも充実、ミッドサイズクラスのSUVとは思えない積載性

三菱 エクリプスクロス G Plus Package三菱 エクリプスクロス G Plus Package

走りだけでなくユーティリティの面でもエクリプス クロスは魅力的だ。特に気に入っているのは後席のユーティリティだ。リアシート全体を前後に20センチスライドさせることができ、後席居住性と荷室空間を自由にアレンジできる。また後席背もたれは9段階にリクライニングさせることが可能でそれぞれは6:4分割で左右個別に調整できるなど実用性が高い。荷室容量も最大で448リットルと大容量となり、他の同じサイズのモデルと比較しても、同じクラスのSUVとは思えない積載性を誇っていた。

また、上下2段のリヤウインドウを採用することにより後方の視界を確保したり、ガーニッシュをドア側に装着することで、乗降性を高め裾汚れも防いでいる点にも気遣いが見られる。

ガソリンとディーゼル、それぞれのおすすめユーザー

今回の試乗でガソリンモデル、クリーンディーゼルモデルともに、それぞれ特徴が確認できた。ガソリンモデルは、車体が軽く小回りが効くためキビキビとした走りや車を操る楽しさが実感できる。車両本体価格はディーゼルモデルよりも30万円ほど低いため、購入時の初期費用を抑えたい場合や、街乗りや短距離での使用がメインといったユーザーに適していると言える。ガソリンモデル特有の気持ちの良い吹け上がりも楽しめるので、山道や普段走る道でスポーティな走りを楽しみたいという人にもいいだろう。

一方、クリーンディーゼルモデルは力強くどっしりした走りを実現してくれるので、長距離走行の多いユーザーや、アウトドアなどのアクティブシーンに向いている。週末にロングドライブを楽しみたい、高速でのゆったり感を求める、トルクフルな走りを重視する…といった人におすすめしたい。重厚感のある走りは、長距離乗っていても疲れにくく、ドライバーを「遠くに行きたい」という気持ちにさせてくれる。ランニングコストの安さも魅力だ。

ガソリンモデルとクリーンディーゼルモデル、走りのキャラクターはそれぞれ異なるが、いずれのモデルも「走る楽しさ、車を操るよろこび」が体感できる。

デザイン、走り、実用性と三拍子そろったエクリプス クロス。ガソリンモデルとクリーンディーゼルモデルのラインアップで選択肢が広がり今後世界中のマーケットで大きく飛躍するのは間違いないだろう。

※1 撮影で使用した車両は、ホワイトパール(有料色)32,400円高となります。(消費税込み/消費税率8%)。
※2 撮影車両はディーラーオプション装着車です。
フロントバンパーガーニッシュ(シルバー) 33,804円(消費税込み/消費税率8%)
リヤバンパーガーニッシュ(シルバー) 38,469円(消費税込み/消費税率8%)
フロントコーナーエクステンション 52,855円(消費税込み/消費税率8%)
サイドエクステンション 75,492円(消費税込み/消費税率8%)
リヤコーナーエクステンション 35,575円(消費税込み/消費税率8%)

《中谷明彦》

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