【懐かしのカーカタログ】日産 スカイライン はいつの時代も“羨望の存在”だった。

日産 スカイライン C10、C110 カタログ
日産 スカイライン C10、C110 カタログ全 7 枚

1957年、プリンス時代に誕生した初代から60年以上。“プロパイロット2.0”を搭載した現行型で13代目を数える『スカイライン』は、数多い日本車の中でも長く車名が続く貴重な存在である。

先のマイナーチェンジではバッジを“NISSAN”に戻し(たのは当然のこととして)、丸型に光るテールランプを復活させたのも、オマージュというより、長年で定着していた“らしさ”への回帰の一環といえる。

羨望の存在だったスカイライン

日産 スカイライン(C10)カタログ日産 スカイライン(C10)カタログ
そんな『スカイライン』の歴代モデルの中でも、多くのクルマ好きの心を掴んだモデルといえば、3代目(C10型・1968年~)および4代目(C110型・1972年~)ではないだろうか。熱烈なマニアの方からは「初めて“スカG”と呼んだS54Bがあるだろう!」とお叱りを受けるかもしれないが、“ハコスカ”“ケンメリ”の愛称で広く知られる3、4代目は、同じ日産の『フェアレディZ』やトヨタの初代『セリカ』などとともに、当時のクルマ好きにとって羨望の存在だった。

カジュアルな表現をお許しいただけば、筆者にとってハコスカは、小学生時分で、友達のお父さんが乗っていればとても羨ましかったクルマ、一方でケンメリは、運転免許を取り友人の誰かしらが中古車で買って乗っていたクルマ、だった。

過日、たまたま横浜の日産本社に立ち寄った際、1階ショールームに綺麗に磨き上げられた“スカイラインシルバーメタリック”のC10の実車(ハードトップ)が展示されていた。見るとその前にサラリーマン風の男性が何人かで立ち止まり、しげしげと眺めていた。筆者と同世代か少し上と思われたが、いかにも「この時代のクルマは味があったよなぁ」「全幅1695mmかぁ、今見ると小さく感じるね」などと会話しているのが聞こえてきそうな(筆者は上階のコンコースから眺めていた)光景だった。

桜井真一郎氏の“顔”も

日産 スカイライン(C10)カタログ日産 スカイライン(C10)カタログ
日産 スカイライン(C10)カタログ日産 スカイライン(C10)カタログ
今回、カメラの前に置いたのは、複数のハコスカ、ケンメリのカタログだ。この中で、今見てちょっと感動を覚えるのは、2000GTと表紙に謳われているハコスカのカタログ。というのも、ページをめくっていくと何とGT-Rが載っていたからだ。

“レースの極限で鍛えぬかれたマシンの心臓を搭載するハードトップ。地を蹴る160ps、最高時速200kmの興奮”のコピーがあり、さらにページをめくれば、長谷見、高橋、北野の各選手の顔写真と富士スピードウェイのレースシーンの写真が載っている。当時のGT-Rがどんなクルマだったかが、改めて見ても伝わってくるという訳だ。

日産 スカイライン(C110)カタログ日産 スカイライン(C110)カタログ
日産 スカイライン(C110)カタログ日産 スカイライン(C110)カタログ
一方でケンメリのカタログには“スカイライン設計チームのリーダー、桜井真一郎(=氏名の表記はカタログまま)”として、初代(ALSI型)から7代目(R31型)まで同車の設計に関わり、陣頭指揮をとった桜井氏が登場している。

文面では氏がR380(レーシングカーのプロトタイプマシン)を開発したことや、その技術、思いがいかに市販型の『スカイライン』にフィードバックされているか、が綴られている。“設計の真髄”とそのページにはタイトルがつけられているが、カタログで“エンジニアの顔”が見える例は、当時は珍しかったのではなかっただろうか。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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