【トヨタ カローラ 新型】絶滅寸前のセダンを救えるか? 国内専用モデルとなった理由

トヨタ・カローラセダン、ツーリング発表
トヨタ・カローラセダン、ツーリング発表全 8 枚

17日に追加発表された新型トヨタ『カローラ』のセダンとワゴン(ツーリング)の2車種は、TNGAなどグローバルなプラットフォームや設計を受け継ぐものの、サイズやデザインの随所に国内専用の設計が採り入れられている。

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新型カローラ(セダン、ツーリング)開発のチーフエンジニアを務めた上田泰史氏は「カローラは、1966年の初代発表以来こだわっている点は2つある。ひとつは、徹底的な良品廉価の追求。もうひとつは時代のニーズに合わせた変化を続けること」とする。カローラといえば日本を代表する国民車であり、トヨタを代表するロングセラーカーだ。生産拠点は12か国15拠点あり、150以上の国で販売され、年間販売台数150万台、累計世界販売台数4750万台を誇る。

新型の特徴は低重心とロバスト(堅牢性)を意識したスタイリング。新開発のダンパーやサスペンションチューニングと新設計のボディフレームが生み出す走りの性能。トヨタセーフティーセンスを全車種標準搭載とした安心・安全機能の充実。そして、カローラスポーツで対応したT-Connectの新しいコネクテッド機能の4つ。

日本専用として、さらにこだわった点は、国内道路事情、駐車場事情にあわせたボディサイズだ。セダンで全長が4495mm。全幅が1745mm。グローバルモデルのカローラより全長で135mm短く、全幅で35mmほどコンパクトになっている。セダン、ツーリングともに国内従来モデルより若干大きくなっているが、Uターンなど取り回しが損なわれないよう最小回転半径も従来型と同等の5mに抑えられている(G-Xグレード、15インチタイヤ装着時。16、17インチタイヤでは5.3m)。

そのため、外装部品でフロントのボンネットフード、フロントウィンドウ、リアウインド以外、フェンダー、ドア、バンパー、ルーフなどは国内モデル専用のデザインになっている。ドアの取り付けやミラーの角度なども、狭い駐車場や駐車スペースでの壁や隣のクルマとの干渉を抑える工夫が施されている。

トヨタは2018年に、新世代カローラとしてハッチバックタイプの『カローラスポーツ』を先行して市場投入している。カローラスポーツは『クラウン』と同時期に発表され、スポーツ性能に加えDCM搭載とT-Connect対応でプレミア感のあるモデルといえる。そして1年後、セダンとワゴンは、国内市場に特化したパッケージングが特徴である。安心・安全機能(トヨタセーフティセンス)とコネクテッド機能(T-Connect)はカローラスポーツからの正常進化と考えてよいが、デザイン、カラー、取り回しを含むユーティリティといったパッケージは、日本を強く意識している。

共通プラットフォーム戦略やグローバルモデル戦略で考えると、時代に逆行しているといえなくもない。しかも、成熟しきってあまり伸びしろのない日本国内の市場に特化したモデルの投入にどんな狙いや目的があるのだろうか。

トヨタが、カローラについてグローバルモデルと国内専用モデルを展開するのは、背景に絶滅寸前のセダンタイプを国内市場に存続させたい意図があるのではないかと考える。輸入車などを含めると、国内でもセダンの市場がなくなるとは思えないが、すでに数えるほどしか残っていない国産セダンのうち、カローラが消滅する可能性はゼロとはいえない。

かつては国民車としてライバルを競った日産『サニー』は10年以上前に生産中止となっている。トヨタの販売体制のもとカローラはいまでも世界で売れているが、国内カローラセダンのオーナーの多くが60歳代という。『アクシオ』はほとんどがフリートユースだ。セダンが若い世代に受け入れられないと、いずれカローラセダンの生産も中止を余儀なくされるだろう。

トヨタとしては、世界でいちばん多く生産された乗用車としてギネス認定もされているカローラを、日本市場だけだからといって消滅させたくはないだろう。若い人にも受け入れられるカローラの開発は必然だったのではないか。トヨタの車両設計は,セダンがあればセダンの設計を基本にして、ハッチバックやワゴンなどバリエーション展開していくという。カローラスポーツを1年前に先行投入しているが、新型カローラもじつは今回市場投入されるセダンの設計からスタートさせたそうだ。つまり、そのころからカローラのテコ入れは始まっていたといえる。

新型のセダンとツーリングが狙うターゲットは30代から40代。国内専用設計となる、運転のしやすさ、取り回し、シートアレンジ、カラーリングは、若い家族世帯を意識している。小さい子どもがいるならツーリング。夫婦ふたりならセダンとなるだろう。パワートレーンもガソリン、ハイブリッドともに1.8リットル・エンジンと1.2リットルターボが用意され、グローバルモデルより小さいが、3ナンバーとなる。余裕のあるエンジン、MT設定がある1.2リットルターボ、そしてディスプレイオーディオやコネクテッド機能は、若いファミリーやスマホ世代へのメッセージともとれる。

市場の評価はどうなるかまったく予断を許さない。新型カローラの若返りに注目したい。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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