国土交通省鉄道局技術企画課は9月20日、地方鉄道への無線式列車制御システム導入へ向けた仕様標準化の検討を開始することを明らかにした。
無線式列車制御システムは、列車の検知にレールへ電流を流す「軌道回路」によるものではなく、列車と地上との双方向通信で減速や停止を行なうもので、2011年10月にはJR東日本が「ATACS」(Advanced Train Administration and Communications Systemの略)と呼ばれるシステムを仙石線に導入。首都圏では2017年11月、埼京線に導入している。
軌道回路による列車制御は、回路自体はもちろん、信号機やケーブルなどの地上設備を要するため、手間やコストが莫大になることから、構成がシンプルなATACSのような無線式列車制御システムは、人口減による人手不足が予想される鉄道業界で、既存施設の有効活用や維持管理の効率化・省力化を図れるものとして注目を集めている。
今回は、大手鉄道会社で導入されている無線式列車制御システムを地方鉄道にも広げることを視野に入れた「地方鉄道向け無線式列車制御システム仕様標準化検討会」が9月24日に開催されることになり、国土交通省では「地方鉄道で必要な無線等による列車制御の機能、装置に関する情報を整理し、仕様の標準化に向けた検討を行います」としている。
「ATACS」は1995年にJR東日本が開発に着手。車両側と地上側が双方向に情報をやりとりしながら列車を制御する。