タクシー向けにナビアプリをカスタム…配車サービス「DiDi」とゼンリンが業務提携

業務提携の記者会見に臨んだDiDiモビリティジャパン副社長の菅野氏(左)とゼンリンデータコム代表取締役社長の清水辰彦氏
業務提携の記者会見に臨んだDiDiモビリティジャパン副社長の菅野氏(左)とゼンリンデータコム代表取締役社長の清水辰彦氏全 20 枚

日本国内でタクシー配車サービスを実施しているDiDiモビリティジャパンは9月25日、日本の地図大手ゼンリンおよび、ゼンリンデータコムとの業務提携し、その第一弾としてDiDiの乗務員が使うナビゲーションアプリとしてゼンリン「Z-NAV」の利用が可能になったと発表した。

ナビアプリ「Z-NAV」を提供してDiDiの使い勝手を向上させる

これまでDiDiではGoogleマップを利用してきたが、タクシー乗務員からは、「乗客のいる方向と反対の道を案内された」「ルート案内ですれ違いが出来ない道路を案内されて却って到着時間がかかるようになった」など、不満の声が多かったという。

DiDiモビリティジャパン取締役副社長の菅野圭吾氏は今回の提携について、「ゼンリンは日本のナビゲーションの8割を占める大手。普段何気なく使っている地図もゼンリン製であることが多い。Z-NAVを使うことでこういった問題の解決につながる」と述べた。

Z-NAVで実現するのは、(1)乗客の位置に応じ、乗客が乗車しやすいよう、可能な限り道路の左側に到着するルートを案内する、(2)事故につながりやすい細い道路の通り抜けを抑制し、幹線道路など走行しやすい道路を優先したルートを案内する、(3)交通規制情報や方面看板、リアル3D交差点画像、高速道路入口画像などを表示する、(4)VICS渋滞情報の表示や目的地到着予測時刻の精度向上など。これらはゼンリンが提供するライブラリによって実現するもので、DiDiの高速なプロダクト改善を阻害しないものになっているという。

ナビゲーションのカスタマイズ、改善

ゼンリンデータコム代表取締役社長兼ゼンリン取締役の清水辰彦氏は、今回の提携について「これまでのナビゲーションはカスタマイズがしにくく、アプリを買ってもなかなか更新されないという問題があった。それを解消するためにDiDiに顧客の声を吸い上げてもらい、その内容を両者で分析して出来るだけ早く改善結果をユーザーに提供できる仕組みができた。これは凄く大きな成果」とした。

また、清水氏は「ゼンリンはDiDiモビリティジャパンと日本市場における戦略パートナーとして、MaaS(Mobility as a Service)事業領域のデータコンテンツの利活用を推進し、両社のノウハウを生かしたAI×ビッグデータ×位置情報を組合せたソリューションやダイナミック情報の共同開発など、様々な検討を進める予定」とも述べ、特に「インバウンドで訪れた外国人の需要動向などはDiDiのサービスを通して取得可能になる。人々の移動をはじめとした、暮らしを快適にする様々なMaaSに向けたサービスの提供も生み出せる」と説明した。

1年で契約事業者数17倍、ドライバー2万人超

DiDi(滴滴出行)は中国を拠点に展開している配車アプリ最大手で、日本では2018年6月にソフトバンクとが合弁で「DiDiモビリティジャパン」を設立。同年9月27日には大阪でサービスを開始した。同社によれば、現在、提供しているサービスエリアは12都道府県にまで広がり、配車アプリによる利用シェアは大阪、兵庫、福岡、広島で1位を獲得。月間ダウンロード数も配車アプリで1位を達成しているという。

契約事業者数もわずか1年間で310社と、スタート時に比べて17倍にまで拡大。登録ドライバーも今や2万人を超え、累計走行距離は地球150周分にも及ぶ。10月9日には新潟県でサービスを開始することになっているほか、許可申請との絡みもあって具体的なエリアは明かさなかったものの、2019年中には計20都市で利用可能になる予定だという。

この日はPayPayの取締役副社長執行役員COOを務める馬場 一氏が登壇。PayPayのスーパーアプリ戦略の一環として、PayPayアプリ上で動作するミニアプリを実装予定であることを明らかにした。いわゆるポータルサイト的な使い方が可能になるもので、PayPayアプリからDiDiを立ち上げることでタクシーを手配することも可能になる。近日中の提供を予定しているという。

《会田肇》

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