公益財団法人日本デザイン振興会が選定する2019年度のグッドデザイン賞に10月2日、相模鉄道(相鉄)の12000系と広島電鉄の5200形「グリーンムーバーエイペックス」が選ばれた。
4月にデビューした相鉄12000系は、11月に開業する相鉄・JR直通線向けに横浜市の総合車両製作所が手がけた車両で、相鉄側では「古びない、普遍性のある、醸成するデザイン」として、日常的に利用する鉄道車両に安全と安心、エレガントさを与えるデザインを数年をかけて「実直に」取り組んできたという。
これに対し審査委員は「通勤型車両としては珍しく、強い自己主張が感じられる挑戦」「車内外のパーツひとつひとつも利用者本位で丁寧に作り込まれており、他社との差別化が見事に図られている点」などを評価。東京都心直通と相鉄沿線の地域性を考慮した「アイデンティティを感じる車両」とした。
相鉄車のグッドデザイン賞受賞は、2018年度の相鉄・東急直通線用20000系に続くもので、2年連続となった。
一方、近畿車輛などが手がけた広島電鉄の5200形は3月にデビュー。5車体3台車の超低床電車で、広島電鉄の未来イメージにつながる車両としてモノトーンを基調にグリーンのアクセントを入れた車体デザインとされた。
これに対し審査委員は「周回遅れの先端的都市交通システムとなっている路面電車の進化には今後も期待したい」とし、インバウンド観光客向けに設置された多言語案内表示や車体デザインなどを評価した。
広島電鉄のグッドデザイン賞受賞は、2005年度の5100形「グリーンムーバーマックス」以来となる。
なお、10月31日には特別賞にあたるグッドデザイン大賞、グッドデザイン金賞、グッドフォーカス賞が発表されることになっているが、これらはグッドデザイン賞と同時に選定された「グッドデザイン・ベスト100」から選ばれることになっており、そのひとつに西武鉄道(西武)の001系が入っている。