【トヨタ カローラ 新型】上田チーフエンジニア「日本からなくなるという危機感をもって」

カローラツーリング ハイブリッドS
カローラツーリング ハイブリッドS全 4 枚

トヨタ自動車はこのほど横浜市で、9月に発売した新型『カローラ』の試乗会および開発者取材会を開いた。開発責任者である上田泰史・ZEチーフエンジニアは、日本市場でのカローラの存在感に強い危機意識をもって開発に臨んだと明かした。

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1966(昭和41)年の初代登場から12代目となった新型は、2012年5月以来の全面改良であり、18年6月に先行発売したハッチバックの『カローラスポーツ』も今回、一部改良した。セダンは従来の『アクシオ』という呼称を廃止し、ワゴンはこれまでの『カローラフィールダー』から『カローラツーリング』に改めている。

今回の改良で注目されるのがパワートレイン、車体サイズとも従来の枠を超えてちょっと大きくしたことだ。シリーズで主力のハイブリッド車(HV)のエンジンは旧型の1.5リットルから1.8 リットルへと、『プリウス』と同じパワートレインにした。トヨタの新しい開発手法であるTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)による低重心パッケージと相まって、旧型に比べて格段に向上した加速レスポンスや静粛性が体感できる。

車体サイズは、セダンとツーリングの全幅を旧型より50mm広い1745mmとし、初めて「3ナンバー」サイズとした。それでも海外モデルよりはセダンで35mm、ワゴンで45mm小さくしている。プラットフォーム(車台)はグルーバル共通だが、取り回し性が重視される日本市場向けの専用ボディーを開発したのだ。

インタビューのなかで上田氏は、12代目の開発に当たっては「原点回帰」に留意したと強調した。半世紀余り前に登場した初代モデルは「多くのお客様のニーズに対して、『ちょっといい』、『ちょっと先を行く』ことに挑戦した。ライバル車より100cc大きい1100ccにして余裕の走りを実現し、当時では異例のフロアシフトレバーなどでスポーツ性もアピールした」と指摘する。

カローラといえは「大衆車」の代名詞でもあるが、上田氏は「大衆車というのは多くの支持をいただいて量販モデルになったため、ある意味後から付いてきたもの。『ちょっと先を行く』という考え方こそ、カローラの原点」という。いま一度、原点に戻ろうとの想いに至ったのは、「このままだと日本ではカローラは無くなるという危機感があった」からだ。

近年では購入者の平均年齢がセダンは70歳代、ワゴンでは60歳代となっており、こうしたシニア層がクルマを手放すのはそう先ではなく、となれば、カローラの存在感も一気にしぼむのが必至になる。上田氏は「もっと幅広いお客様に受け入れられるクルマにするため、ユーザーイメージを若い方に振っていき、実際には30歳代のお客様をイメージした」と話す。

そのためには、「まず、乗ってみたくなるような、かっこいいデザイン。そして移動する時間を楽しんでいただける気持ちのいい走りや居心地の良さを追求した」。デザインは車体サイズをグローバルモデルよりやや小さめの日本専用としたため、”かっこいいデザイン”には制約となったものの、「デザインチームが強いこだわりをもって自信作に導いてくれた」(上田氏)という。ちなみに、3ナンバーサイズになった全幅の1745mmは、内外でヒットした3代目プリウス(2009年)と同一であり、それを意識してサイズを決定したそうだ。

一方、「(30歳代は)スマートフォンがないと生きていけない世代なので、そうしたライフスタイルをトリガーにし、クルマに注目してもらうコネクティッドサービスの仕組み」にも力点を置いた。すなわちトヨタ専用の通信システムであるDCM(データ・コミュニケーション・モジュール)と、トヨタ車では国内初導入となった「ディスプレイオーディオ」の全車標準装備による、クルマとスマホの連携である。

ユーザーは日常的に使っている地図アプリによるナビゲーションや音楽アプリをディスプレイで操作できるようにし、クルマとスマホの距離を一気に縮めた。ただし、スマホユーザーでない人には、在来型のナビゲーション機器もオプションで用意している。最新の安全支援システムである「トヨタ・セーフティ・センス」の搭載で、高齢ドライバーもより安心して乗ることができるようになっているが、進化した総合力は確実にユーザー層を若返らせることになろう。

《池原照雄》

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