【SUPER GT × DTM 交流戦】ドイツでの“前哨戦”でGT500勢が苦闘…ワンメイクタイヤの難解さは予想以上!?

DTM最終戦に参戦した#35 日産GT-R。
DTM最終戦に参戦した#35 日産GT-R。全 8 枚

10月4~6日にドイツ・ホッケンハイムで行なわれた今季のDTM最終戦、ゲスト参戦した3台のSUPER GT/GT500クラスマシンは苦闘を強いられた。ハンコック製ワンメイクタイヤを履いての戦いは、予想されていた以上に難解なものであったようだ。

DTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)の今季最終第9戦にゲスト参戦したGT500マシンは3メーカー各1台の計3台。ドライバーは5人で、いずれもGT500のチャンピオン経験者だ。DTMでは金曜にフリー走行があり、土曜と日曜にそれぞれ予選&決勝を実施するのが基本フォーマット(GT500勢は木曜も走行)。今回のホッケンハイムにおけるGT500勢の予選・決勝結果は以下の通りだった。

<レース1>予選:ウエット/決勝:ドライ
#1 ホンダNSX(J.バトン) 予選6位/決勝9位
#35 日産GT-R(松田次生) 予選21位/決勝*不完走
#37 レクサスLC500(平川亮) 予選20位/決勝13位

<レース2>予選:ヘビーウエット/決勝:ヘビーウエット
#1 ホンダNSX(J.バトン) 予選19位/決勝16位
#35 日産GT-R(R.クインタレッリ) 予選21位/決勝17位
#37 レクサスLC500(N.キャシディ) 予選16位/決勝リタイア

*レース1の松田はマシントラブルでスタートに参加できず、修復後、大きく遅れてのレース出走。チェッカーは受けたが、完走順位認定ならず。

細かい話はいろいろあるにしても、GT500勢は総じて厳しい結果に甘んじた。DTMスタイルのレースに“アウェイ”の地で臨んだにしても、事前には、純粋な速さでは(兄弟車とはいえ)GT500マシンの方が上だろうとの観測もあったなか、まさかの結果といってもいい。

その最大の原因は、タイヤであるようだ。

複数社がタイヤを開発・供給している“タイヤ戦争カテゴリー”のSUPER GTに対し、DTMではハンコック社がワンメイク供給をしている。今回、GT500マシンもハンコックを履いて走った。タイヤの性質がかなり異なることも当然、わかってはいたこと(春には富士でもハンコック装着での走行があった)。だが、実際にレースをしてみてその差は想像以上に大きいものだということが判明した格好である。タイヤを“発動”させるのは容易ではないようで、特に雨では差が大きく出た。

車両の成り立ちが近いとはいっても、マシン開発はタイヤありきで進む部分も大きいため、できあがっているマシンへの現場レベルのセッティングやドライビングによる対応では、性質の異なるタイヤへの適合には限界がある。今回のホッケンハイムでの日本勢の苦闘はやむを得ない。しかし、このままいくと“11月の富士”でもDTM勢(アウディとBMWの計7台)がGT500勢(15台)に対し優勢な戦いを演じる可能性がある。

富士スピードウェイで11月23~24日(各日予選&決勝)に開催される「SUPER GT × DTM 特別交流戦」もDTMスタイルを基本としたレースフォーマットでの開催となり、タイヤもハンコック製ワンメイクだ。今度は“ホーム”とはいえ、DTM側には日本をよく知る選手も多いし、そもそもGT500やDTMを戦うトップドライバー&チームにコース経験の多い/少ないはそれほど影響しないだろう。影響はしても、タイヤの違いに起因する要素ほど大きくは波及しないと考えるべきだ。

SUPER GTは交流戦の前に今季チャンピオンのかかったシリーズ最終戦もてぎが控えており、特に上位陣は当面、交流戦を重視して仕事をするわけにもいかず、その点でも不利…? 気にはなるところだが、とにかく今回の遠征で得たデータも武器に、GT500勢の富士での反撃と全車接戦のレース展開を期待したい。

エンジンや車体、ドライビングで秒単位のパフォーマンスアップをするのは至難というのが近代レースの常識。しかしタイヤは、ときとして今も秒単位でタイムや戦局を動かす。モータースポーツにおけるタイヤというものの重要性があらためて浮き彫りになった、そんな“前哨戦”でもあった。

《遠藤俊幸》

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