日産 内田新社長、幼少期にエジプトでも過ごした帰国子女[新聞ウォッチ]

日産自動車内田誠専務執行役員
日産自動車内田誠専務執行役員全 5 枚

気になるニュース・気になる内幕。今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析する新聞ウォッチ。…………

経営の混乱が続く日産自動車が、役員報酬をめぐる不当受給問題で西川廣人社長兼最高経営責任者(CEO)の辞任を発表してからほぼ1か月。社外取締役らで構成する「指名委員会」が当初10月末をめどに決定する予定だった後任人事について、昨夜、突如“前倒し”で発表した。

空席となっている社長兼CEOには内田誠専務執行役員、最高執行責任者(COO)には三菱自動車のアシュワニ・グプタCOO、また副COOには関潤専務執行役員を起用するという。

きょうの各紙も、読売、産経、日経の3紙が1面トップで「日産社長に内田専務」と大きく報じているほか、総合面や経済面などにも「日産、若返りで刷新」(読売)、「日産、分権へ3トップ」、「日産ゴーン色一掃、社長人事若返り、トロイカ体制」(産経)、「業績悪化急いだ決着」(日経)などのタイトルで解説記事を取り上げている。

指名委員会の豊田正和委員長は、9月9日の西川社長の辞任を発表した記者会見の席上、後任の条件に「世界の自動車産業に詳しいこと」、「ルノー、三菱自動車とのアライアンスに深い理解と関心を持っていること」、さらに「リーダーシップを発揮できること」などを挙げていた。

社長兼CEOに内定した内田専務執行役員は1966年生まれの53歳、日商岩井(現双日)から2003年日産に転籍、西川社長辞任後の役員(執行役)序列としては21番目で在籍期間も短い。だが、豊田委員長は「海外経験が豊富で、とくに子供の頃からあちこちの海外に住み、日商岩井、そのあと日産、ルノー、東風汽車有限公司と多彩な経験があり、難しい時期のリーダーとしてふさわしい」と述べた。

内田氏の人物評としては、きょうの日経が「商社出身の合理主義」との見出しで、日産幹部のコメントとして「感情が見えにくい」との声もあり「その点では西川廣人前社長に似ている」とも伝えている。

「言い得て妙」だが、内田氏は「父親が航空会社に勤めていたので海外転勤が多く、エジプトではピラミッドの見える家から学校に通っていた」という、いわゆる「帰国子女」。それは治安の悪い中東や東南アジアなど幼少期の海外暮らしで自然と身についた「警戒心」が抜け切れていないからではないだろうか。おそらく50余年の人生の中では海外出張も含め、日本に滞在したのは半分も満たない。

新体制では、まず西川氏がやり残した生産体制の見直しや人員削減など経営再建のためのリストラ策を引き継いで、業績回復に向けてスピード感を持って取り組むことが喫緊の課題。内田、グプタ、関の3氏については昇進も早く経営の中枢ポストを担当するなど有望な人材で一応、後任の条件には合致する。ただ、難局を乗り切るだけの経営手腕は未知数であり、これまで積んだキャリアから判断しても有事の際の“汚れ仕事”を率先してこなすにはハードルは高い。

一刻の余裕もなく、そう考えると、西川社長の辞任に伴いナンバー2の山内康裕代表執行役兼COOが「暫定CEO」に就いて経営の舵取りを代行しているが、空白時間をつくらないためにも再建のめどが付くまで山内氏を継続することが最善の選択肢とも思えた。だが、それが無くなった今回の人選に悔いが残らなければいいが……。日産自動車内田誠専務執行役員(向かって右から3人目。広州モーターショー2018)日産自動車内田誠専務執行役員(向かって右から3人目。広州モーターショー2018)

2019年10月9日付

●日産社長に内田専務、COO三菱自グプタ氏、信頼回復へ集団指導体制(読売・1面)

●対ルノー見直し難題、業績回復問われる手腕、日産新社長に内田氏(読売・8面)

●日米貿易協定、関税WTOと整合性課題「車」撤廃なければ違反恐れ(読売・9面)

●関電会長、辞任へ、金品受領問題で引責(朝日・1面)

●8月旅行収支が最高黒字、韓国客半減も消費額上がる(産経・10面)

●新宿駅西口で大型再開発、明治安田生命がオフィス(日経・15面)

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●週末、警報級大雨の恐れ、台風19号、列島に接近へ(日経・39面)

《福田俊之》

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