走行中にワイヤレス給電できるインホイールモーターを開発…東大とブリヂストンなど4社が連携

走行中ワイヤレス給電インホイールモーターを搭載した実車での走行デモ
走行中ワイヤレス給電インホイールモーターを搭載した実車での走行デモ全 6 枚

東京大学大学院新領域創成科学研究科の藤本博志准教授は10月10日、同大学柏キャンパスで記者会見を行い、走行中にワイヤレス給電できる新しいインホイールモーターを開発したと発表した。実際にキャンパス内で実車を使ったデモンストレーションも行った。

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このインホイールモーターは東京大学とブリヂストン、日本精工、ローム、東洋電機製造の4社が共同で開発したもので、受電から駆動までのすべてシステムをタイヤのなかに収納したのが特徴だ。第3世代とも呼ばれ、世界初のものだという。

従来のものはタイヤの外に一部のシステムや部品などを装着していた。それだと、送電と受電コイルの間に金属は入り込んでしまうと、給電効率が落ちるという課題があった。また、路面の凹凸や乗車人数に応じて路面と受電コイルとの間の距離が変化してしまうため、ワイヤレス給電の設計最適化が難しかった。

そこで「すべてをタイヤのなかに」をキーワードに開発し、完成したのが今回披露したものだった。2タイプあり、一つが第2世代の発展形で給電装置をホイール外に設置したもの、もう一つが給電装置もホイール内に収納したものだ。いずれも従来のものよりも給電効率が高く、インホイールモーターとの相性もいいそうだ。

東京大学が車両とユニット仕様の策定と受電コイルの開発、ブリヂストンがタイヤの開発、日本精工が機械部品の設計と製造、ロームがデバイスの開発、東洋電機製造が整流器の開発という具合にそれぞれが得意分野を生かした。新基盤を開発したのをはじめ、部品を小型化したことによって、受電や駆動システムをすべてタイヤ内に納めることができたわけだ。

「小型化、軽量化でよりエコになり、高応答な独立輪駆動制御でより安全になり、車内空間が広く取れるようになってより快適になった。この走行中給電とインホイールモーターは究極の電動システムと言っていい。自動運転との相性もいい」と藤本准教授は話す。

実際に2017年に開発した従来モデルに比べ、受電コイルの容積を53%減らし、給電能力を12kWから20kWへと66%向上させた。20kW給電で92.5%の総合効率を達成し、今後95%を目指すそうだ。

「走行中給電は世界中で研究が進められているが、未だ黎明期の状態にある。日本はパワーデバイス、電機設計、自動車部品など要素技術に長けているが、世界をリードするためには要素技術だけではだめだ。プラットフォーム、システムを含んだすべての開発をさらに加速させる必要がある。そこで、オープンイノベーションコンソーシアムを形成して、基本特許をオープン化し、参加者を増やす戦略と取って行く」と藤本准教授は強調する。

いずれにしても、走っているだけで充電できるので、電気自動車(EV)にとって画期的とも言えるものであることは間違いないが、インフラの整備も必要だ。高速道路の一部ルートや街中の信号近くの路面などに送電コイルを設置することを想定しているが、果たしてスムーズに進んでいくのか。規制が多く、省庁間の綱引きが激しい日本ではさまざまな壁にぶつかりそうだ。

《山田清志》

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