ボルボ V40 最終モデル「クラシック」で長距離試乗…シンプルで素直な“味”は色褪せない

最後のボルボ V40を味わう。

「そっと体全体を包み込んでくれているような安心感」

V40は緑のにおいがよく似合う。

ボルボ V40 T3 クラシックエディション で長距離試乗
ボルボ V40 T3 クラシックエディション で長距離試乗全 46 枚

最後のボルボ V40を味わう。

ボルボという自動車メーカーの名前を知ったのは、いつ頃だっただろう。思い返してみると、最初に「クルマが欲しい」と思って自動車雑誌を食い入るように見ていたときだった気がする。友達と気軽に出かけられて、快適にドライブできて、荷物もそれなりに積めるクルマ……。

その中で目を引かれたクルマのひとつが、ボルボ『V40』だった。他のクルマとは違う、個性的で洗練されたデザイン。その佇まいが素敵で気になっていたのだが、私の実家は田舎で、ディーラーがなくて見に行けず、ずっと憧れのままになっていた。

ボルボ V40 T3 クラシックエディション で長距離試乗ボルボ V40 T3 クラシックエディション で長距離試乗
今回はそんなボルボV40と一緒に、東京から長野県の松本までドライブをすることに。片道は約230kmなので、V40を改めて味わうにはとても良い機会になりそうだ。試乗車は「V40 T3 クラシックエディション」という特別仕様車。今のV40は2012年に2代目として発売されたが、今後モデルチェンジの予定はなく、日本では2019年モデルの在庫が無くなり次第販売終了になるそう。

クラシックエディションは、そんなV40の最後を飾る豪華な特別仕様車となる。本革シートやガラスルーフ、シートヒーター、プレミアムオーディオシステムなどの快適装備のほかに、ボルボの先進安全・運転支援機能の「インテリセーフ」も標準装備されている至れり尽くせりのモデルだ。

「そっと体全体を包み込んでくれているような安心感」

ボルボ V40 T3 クラシックエディション で長距離試乗ボルボ V40 T3 クラシックエディション で長距離試乗
最近のボルボのモデルは、どれもすっきりとより洗練されたスカンジナビアデザインに変わっているので、ひと世代前のV40を目の当たりにすると少し懐かしい気持ちになる。インテリアには、たくさんのボタンが付いていて、最初はナビを設定するのもどう操作していいのかちょっと迷う。でも、エンジンをかけて走り出してみると「なんだろう、この感じ……」なにかすごく特別なものを感じるわけではない、でも、不思議と体に馴染むような感覚。ハンドルを切っても、ペダルを踏んでも、すんなりと反応してくれるし、クルマがそっと体全体を包み込んでくれているような安心感がある。

松本に向かって高速を走っていると、のどかな風景がちらほら見えるようになって来た。青い山々が連なっていて、田んぼは黄金色に光っている。窓を少し開けてみると、稲の実った香りとすこしひんやりとした秋風のにおいがした。

ボルボ V40 T3 クラシックエディション で長距離試乗ボルボ V40 T3 クラシックエディション で長距離試乗
V40 T3は1.5リットル直4ターボエンジン(152ps/250Nm)を搭載していて、馬力や気筒数からイメージするよりも、もう少し力があるように感じる。あまり知られていないかもしれないが、ボルボのクルマは思いのほかパワーがあって、高速道路などはとても余裕を持って走れるので、遠出がとても楽に感じる。スイスイと運転しているうちに、八ヶ岳が見えてきた。ちょうどお昼の時間になっていたので、小淵沢インターで降りてご飯を食べることになった。

森の合間をクルマで走り抜けて行くと、北欧料理のお店を発見。しかも、北欧料理の中でも、この「メーラレン」はなんとスウェーデン料理を扱っているとか!ボルボはスウェーデンのクルマなので、ここに来て食事でもスウェーデンを味わえるとはなんとも贅沢だ。ランチでもしっかりしたコース料理になっていて、ひとつひとつの前菜やメイン料理は、どれも素材の味がして美味しい。味付けもエキゾチックすぎないシンプルで素直な味。なんとなく、ボルボのクルマと似ているなと思った。

「メーラレン」でスウェーデン料理に舌鼓「メーラレン」でスウェーデン料理に舌鼓

V40は緑のにおいがよく似合う。

ボルボ V40 T3 クラシックエディション で長距離試乗ボルボ V40 T3 クラシックエディション で長距離試乗
松本に到着するまで、たくさんの緑の間を縫って走っていく。ときたまクルマを停めて、V40を自然の中に置いて眺めてみたくなる。V40は、スウェーデンの美しく雄大な自然で育ってきたからなのか、草木や空や風、緑のにおいがよく似合う。きっとボルボのオーナーになったら、クルマと一緒にたくさんの景色を見に行きたくなるのだろう。

すこし寄り道をしすぎたせいで、松本に到着した頃にはもう日が落ちていた。深い夕暮れの中に、黒々とした松本城が建っていて、ようやく「遠くに来たんだなぁ」と実感。その色から烏城とも呼ばれるという松本城は、威厳と妖しささえ感じる。その姿は見ているとつい引き込まれてしまって、一度見てホテルに戻ったあとも、気になってまたお城のまわりを一周してしまった。

蔵造りの雰囲気が素晴らしい「ヒカリヤ ヒガシ」蔵造りの雰囲気が素晴らしい「ヒカリヤ ヒガシ」
夕食は、お昼とは打って変わって、日本らしい松本の味覚を味わうことに。お邪魔した「ヒカリヤ ヒガシ」は、蔵造りのお店の雰囲気が素晴らしく、料理も新鮮な旬のものをひとつひとつ味わわせてくれる。自然のものを大切にするという意味では、日本もスウェーデンと通じるものがあるのかもしれないと思う。私は雪国出身なので、特にボルボの美意識に共感する部分が多いような気がした。

翌日は(自分と同じ名前の)特急「あずさ」に乗り込むと、松本から新宿まであっという間に帰りついてしまった。いつもなら早く帰れて嬉しいのだが、この日は新宿のホームですこし足を止めた。帰路もV40に乗って、もう少し景色のうつろいをゆっくり眺めて帰りたかったと思う自分がいた。きっとクルマが欲しかった頃にV40も試乗していたら、さらに頭を悩ませていただろうなと苦笑しながら、ようやく帰りの電車に乗り込んだ。

ボルボ V40 は緑が似合う車でした。ボルボ V40 は緑が似合う車でした。

《伊藤梓》

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