運転士の「思い込み」であわや正面衝突…とさでん交通の重大インシデントで改善指示

とさでん交通(資料画像)
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国土交通省四国運輸局は10月18日、高知県のとさでん交通伊野線で3月25日に発生した「単線区間進入手続きの失念による重大インシデント」に関して、同社に対して改善指示を出した。

この重大インシデントは、上下列車が交換する朝倉停留場(高知県高知市)で、下り列車の運転士が上り列車から「通票」を受け取らずに発車。朝倉交差点で双方の列車が37mほどの間隔で停車したというもので、国土交通省四国運輸局では「一歩間違えば正面衝突にいたるおそれのある事態であり、誠に遺憾である」としている。

単線の鉄道・軌道路線では、列車同士が衝突しないためにいくつかの駅、信号場、停留場間を「閉塞区間」と呼ばれる区間に分けている。当該区間に入るためには「通票」という通行証のようなものを持つ必要があるが、改善指示ではその基本を逸脱した点が重要視された。

3月26日から実施した保安監査の結果によると、当時は単線区間と複線区間の境界となる鏡川橋停留場(高知県高知市)と、単線区間にある朝倉停留場との間で工事が行なわれていた関係で、同区間の保安方式は「指導法」と呼ばれるものが使われていた。

指導法とは、通票を受け取る代わりに、閉塞区間の列車の有無を確認後、定められた指導者が乗車してから発車するというものだが、ミスを起こした下り列車の運転士は、朝倉停留場を過ぎても指導法が続行されているものと思い込み、通票を受け取らずに発車したことが判明した。

このようなヒューマンエラーに起因する事故は、2016年と2017年にもとさでん交通で発生していることから、改善指示では「経験の浅い運転士に対する教育実施後の知識及び技能を保有していることの確認」「思い込み等のヒューマンエラーを防止するためのマニュアルの策定等をはじめ、運転士に対する理解度を確認する体制と仕組みを構築」「全ての運転士に対して、再度、運転取扱い全般に関する理解度と実際の取り扱い状況を確認し、必要な措置を講ずること」が盛り込まれ、ヒューマンエラーを根絶するよう求めている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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