日産自動車は10月23日までに、神奈川県の同社施設で内外の報道関係者を対象にした先進技術の展示説明会を開き、軽量で細身の形状をした近未来型の「薄型シート」のフレームを公開した。
スマートな形状によって広々とした車室空間の確保を図るとともに、走行性能や燃費の向上をもたらす車両重量の軽量化にもつなげる。シートフレームの左右側面に「深絞り加工ができるハイテン(高張力鋼板)材を使うことで薄型の形状を実現した」(日産先進技術開発センターの担当者)という。
高張力鋼板は「超ハイテン材」の部類に入る「980Mpa級」を使用し、板厚は0.8mmで現状のシートフレームで一般的な1.0mmより薄くしている。フレーム形状の変更も含め、フレーム全体の重量は従来型から約1.5kg、比率にして約1割の軽量化を図った。取引先メーカーと共同で開発を進めている。
強度を高めたフレームにより、上体部を受けるシート上部のデザインは、角ばった従来型に比べて細身の「なで肩」にしている。車室内の空間が広がり、とくに後部座席の人は前方の視界が広くなり、前後席間での会話もしやすくなるという。車室内のコミュニケーションや過ごし方が重視される、自動運転車の時代もにらんで開発を進めている。
日産 ”なで肩”の薄型シート(右側)と従来型シートまた、シートのスリムさを生かして温風を出す快適機能や、シートの両サイドにエアバッグを装着する高度な安全装備にも対応できるようにする。フレームの開発がほぼ完了しているので、シートとしての製品化も遠くないと見られる。