豊田通商、世界中から集めた最先端の技術を紹介…ITS世界会議2019

「ITS世界会議シンガポール2019」に出展した豊田通商
「ITS世界会議シンガポール2019」に出展した豊田通商全 16 枚
ITS関連事業にグローバルで展開する豊田通商は、開催中の「ITS世界会議シンガポール2019」に出展。量子コンピュータからマイクロモビリティに至る様々な事業のほか、海外のスタートアップ企業が展開する様々な先進機器を紹介した。

カナダの量子コンピュータ「D-wave」を使ったサービスを提供している同社は、現在、その実証実験のひとつとしてバンコクでタクシーの配車サービスの効率運用に活用を始めている。バンコクで同社は14万台にも及ぶ車輌の位置情報データを持っており、それを量子コンピュータで計算することで最適な配車サービスの実現を目指す。

量子コンピュータの計算能力は極めて高く、従来のコンピュータでは考えられないほど処理速度が速い。しかし、対応可能なチャンネル数が少ないのが現状で、タクシーの数が100台~1000台と増えたときには対応することは現状では難しい。時代の共に対応可能となっていくと思われるが、それをどう増やしていくかが今後の課題になっていると説明した。

「マイクロモビリティ・サービス」は小型電動車を使ったシェアリングサービスを指す。現在、沖縄県・久米島ではトヨタ車体が提供する一人乗り用の超小型モビリティを使った観光用モビリティとして展開中だ。

車輌には観光情報ナビゲーションを搭載し、久米島のステークホルダーとのコラボも行い、持続可能で環境に優しいビジネスを構築する。また、豊田通商とインディゴ・ホイールグループSASは、今年6月にフランスでこの分野での実証実験を開始した。インディゴはeBIKEやeスクーターなどセミフリーフローティング用としてフランス国内7都市に1万台以上を配備。豊田通商はインディゴが提供するアプリを使い、電動車イスを16カ所の駐車スペースに置いてサービスを提供している。

出展した中でユニークと思われたのが、ヘルメットや自転車に装着ができるライフセービング・ソリューションとして誕生した「コスモ・コネクテッド」だ。今年1月に米国ラスベガスで開催された「CES」でも紹介された注目の商品。主として後方からの確認ができるよう、ヘルメットなら後ろ向きに装着。内部にはジャイロセンサーを内蔵して、ブレーキをかければストップランプとして動作し、さらに転倒した場合は指定先や緊急通報センターに自動通報される機能も備えた。専用リモコンを使えば自転車などでウインカーとしても利用できる。リチウムイオンバッテリーを搭載し、標準仕様ならフル充電で8時間ほどが利用できる。現在、フランスでは郵便局や警察が運用中で、3万台以上がこのデバイスを装着して走行中だという。日本でもヘルメットメーカーなどに提案している最中で、価格は100ドル前後を想定しているという。

自転車のシェアリングサービスに使える電子ロックシステム「eBike Labs」は、車軸に独自のロックシステムを組み込み、仮にロック中にペダルを踏み込むとアラーム音が鳴り、同時にLEDヘッドランプが点滅。同時に管理センターへ自動通報して異常を知らせるものだ。コネクテッドでつながっているので、機能のアップデートも常時行われるという。

準天頂衛星を使った自動運転のソリューションも紹介された。常に上空に衛星が位置することで高精度な測位を可能にする準天頂衛星ならではの特性を活かしたもので、電子基準局を特に設けず簡単なシステムで対応できるのがメリットだ。

ただ、建物が密集するエリアでは電波の反射によるマルチパスの影響を受けやすい。そこでこのソリューションではマルチパスが発生しにくい農耕地や工事現場などでの使用を想定する。

また、自動運転関連では世界第2位のLiDARメーカーである中国の「HESAI」の製品を出展。これはGPSが届かない屋内での運用を想定してのことだ。360度センシングができるだけでなく、最大の特徴はセンサー同士の干渉を完全に防いでいる“完全干渉防止”を実現していること。自動運転車は複数のセンサーを搭載するが、そんな時に同社のLiDARは強みを発揮するという。

《会田肇》

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