デトマソ復活へ…『P72』に700馬力のV8スーパーチャージャー搭載が決定

1960年代のデトマソP70に敬意

アポロの新型ハイパーカーとカーボン製モノコックを共用

フォードGTのエンジン開発会社と技術協力

トランスミッションは6速MTのみ

デトマソ P72
デトマソ P72全 14 枚
デトマソ・アウトモビリは10月29日、デトマソ『P72』(De Tomaso P72)のパワートレインを発表した。5.0リットルV8スーパーチャージャー(最大出力700ps以上)が搭載されることが決定している。

デトマソは1959年、イタリアに設立された名門ブランドだ。1971年に発表したスーパーカー、『パンテーラ』が有名。しかし、2003年に創始者のアレハンドロ・デトマソ氏が死去したのを受けて、会社としてのデトマソは2004年に解散している。

デトマソ・パンテーラは、イタリアンスーパーカーの名車の1台。イタリアのデトマソ社と米国のフォードモーターが共同で開発し、1971~1994年に生産された。エンジンは、フォードモーター製の5.8リットルV型8気筒ガソリンを搭載していた。

新生デトマソ・アウトモビリは2019年7月、英国で開催されたグッドウッドフェスティバルオブスピードにおいて、デトマソP72を初公開した。デトマソ創業60周年の節目に合わせてのブランド復活となった。デトマソP72は、2シーターのミッドシップスーパーカーとなる。

◆1960年代のデトマソP70に敬意

新生デトマソ・アウトモビリは、香港を拠点とするアイディアル・ベンチャーズ(IdealVenture)がオーナーを務める。AMG(現在のメルセデスAMG)の創設者のハンス・ヴェルナー・アウフレヒト氏と、シボレー『コルベット スティングレイ』やシェルビー『デイトナ コブラ クーペ』のデザイナーのピーター・ブロック氏も、デトマソP72のプロジェクトに参画しており、5年間の期間をかけて開発が行われた。

デトマソP72は、1960年代のデトマソ『P70』プロトタイプレーシングカーに敬意を表してデザインされた。P70は1964年、キャロル・シェルビーの依頼を受けて、デトマソが製作したプロトタイプレーシングカーだ。

◆アポロの新型ハイパーカーとカーボン製モノコックを共用

デトマソP72は、ドイツのスポーツカーメーカー、アポロオートモビルの新型ハイパーカー、『インテンサ・エモツィオーネ』(IE)と、カーボンファイバー製モノコックシャシーを共用する。インテンサ・エモツィオーネは、アポロ初のハイパーカーだ。

ミッドシップに搭載されるのは、自然吸気の6.3リットルV型12気筒ガソリンエンジンだ。最大出力780hp/8500rpm、最大トルク77.5kgm/6000rpmを引き出す。車両重量は1250kgと軽量で、トランスミッションはパドルシフト付きの6速シーケンシャル。インテンサ・エモツィオーネは、0~100km/h加速2.7秒、最高速335km/hの性能を発揮する。

◆フォードGTのエンジン開発会社と技術協力

デトマソ・アウトモビリは今回、P72のパワートレインを発表した。5.0リットルV型8気筒ガソリンエンジンを、スーパーチャージャーで過給したユニットだ。このエンジンは、米国のエンジニアリング会社、ラッシュ(Roush)とデトマソ・アウトモビリが、技術協力して開発を行った。

ラッシュは、フォードモーターとの関係が深い。世界クラスのパワートレインの開発に携わってきた。2005年に発表された初代フォード『GT』の5.4リットルV型8気筒ガソリンスーパーチャージャーエンジンを共同開発した。このエンジンは、最大出力550hpを獲得していた。

2017年に発表された2代目フォードGTには、ラッシュと共同開発された3.5リットルV型6気筒ガソリンツインターボエンジンが搭載された。最大出力は647hp、最大トルクは76kgmを引き出し、最高速347.6km/hの性能を誇った。

◆トランスミッションは6速MTのみ

デトマソP72のミッドシップに搭載される5.0リットルV型8気筒ガソリンスーパーチャージャーエンジンは、最大出力700ps以上、最大トルク84.1kgm以上を目標に掲げる。最大エンジン回転数は、7500rpmを上回る見通しだ。デトマソ・アウトモビリによると、自然吸気エンジンを連想させるリニアなパワーカーブやサウンドを備えているという。

トランスミッションは6速マニュアルのみとなる。パワートレインは、デトマソブランドの精神とDNAを保持しているという。デトマソ・アウトモビリは今後、米国や欧州市場での排ガス規制を満たすために、各種テスト、や検証を含めたパワートレインプログラムを推進していく。

なお、P72はFIA(国際自動車連盟)の「LMP2」レギュレーションに適合するよう設計されており、72台のみを生産する計画だ。価格は、およそ75万ユーロ(約9080万円)を予定している。

《森脇稔》

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