九州新幹線西九州ルート、フル規格反対の佐賀県知事と新国交相が初会談…赤羽大臣「事情がよくわかっていない」

2014年に登場したフリーゲージトレインの最新試験車両FGT9001~9004。九州新幹線西九州ルートの新幹線~在来線直通を視野に開発が進められていたが、2018年7月に開発を断念。全線フル規格化の流れになったことから、当初の方針を翻された佐賀県が反発している。
2014年に登場したフリーゲージトレインの最新試験車両FGT9001~9004。九州新幹線西九州ルートの新幹線~在来線直通を視野に開発が進められていたが、2018年7月に開発を断念。全線フル規格化の流れになったことから、当初の方針を翻された佐賀県が反発している。全 2 枚写真をすべて見る

赤羽一嘉(あかばかずよし)国土交通大臣は10月29日に行なわれた大臣会見で、整備方針を巡って紛糾している九州新幹線西九州ルート新鳥栖~武雄温泉間について記者の質問に答えた。

新鳥栖駅(佐賀県鳥栖市)と長崎駅(長崎県長崎市)を結ぶ九州新幹線西九州ルートは2008年3月、武雄温泉~諫早間がスーパー特急方式で着工。2012年6月には武雄温泉~長崎間がフル規格で着工し、2022年度中の開業を目指して工事が進められている。

未着工の新鳥栖~武雄温泉間については軌間可変電車(FGT=フリーゲージトレイン)により在来線のまま乗り入れる方針とされていたが、技術的な問題などから2014年12月に耐久走行試験が休止され、2016年3月には関係する与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム「九州新幹線(西九州ルート)検討委員会」(与党PT)、佐賀県、長崎県、JR九州、鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)、国(国土交通省)の関係6者が、武雄温泉駅(佐賀県武雄市)での新幹線と在来線の対面乗換えにより武雄温泉以西を先行開業することに合意した。

肝心のFGTについては、技術的な課題に加えて、JR九州がコストや保守などの問題から導入に難色を示したこともあり、2018年7月には断念。新鳥栖~武雄温泉間はミニ新幹線方式かフル規格化の二者択一に迫られたが、与党PTは今年8月にフル規格整備を国に求める方針を確認し、事実上、同区間の建設がフル規格ありきの流れになっている。

与党PTの検討委員会のヒヤリング資料として長崎県が4月に示した「新鳥栖・武雄温泉間の整備のあり方」に掲載されている九州新幹線西九州ルート(いわゆる長崎新幹線)の概要。2022年度中の武雄温泉~長崎間の開業時は武雄温泉駅で新幹線と在来線の対面乗換えが予定されているが、長崎県は早期の全線開業を求めている。与党PTの検討委員会のヒヤリング資料として長崎県が4月に示した「新鳥栖・武雄温泉間の整備のあり方」に掲載されている九州新幹線西九州ルート(いわゆる長崎新幹線)の概要。2022年度中の武雄温泉~長崎間の開業時は武雄温泉駅で新幹線と在来線の対面乗換えが予定されているが、長崎県は早期の全線開業を求めている。

これに対して佐賀県側は、費用対効果が薄いわりに重い財政負担や当初の整備方針が翻されていることなどに反発。整備新幹線は沿線自治体の同意がなければ着工できないことから、新鳥栖~武雄温泉間の整備は佐賀県の動きに注目が集まっている状況だ。

その最中、第4次安倍第2次改造内閣が9月に発足し、石井啓一氏に替わって国土交通大臣に就任した同じ公明党の赤羽一嘉氏は、10月28日に佐賀県の山口祥義(やまぐちよしのり)知事と就任後初めて会談。成行が注目されていた。

その内容についての記者からの質問に対して赤羽大臣は「この新幹線のルートについての話は初めてでして、私は、就任の時の官邸での記者会見でも、事情が私自身もよくわかっていないし、当事者の佐賀県知事のお話を直接聞くことがまず大事だと思って、お会いしました」と述べた。

さらに赤羽大臣は「短時間でもありましたし、私の方からはそれ以上あの場で具体的なやりとりをしたわけではありません。知事からも、大臣と直接率直に話し合えるような機会は大事なので、それはお互いに今後も継続しながらやっていきましょう、ということで終わりました」と述べ、踏み込んだ議論にはならなかったことを示した。

一方の山口知事は、10月16日に開かれた会談前の記者会見で、国会質疑で見た赤羽大臣に好印象を持ったとし、「国が、地元とずっとそうやって話をしながらやってきたやつを、突然何か、僕らが技術開発できなかったから、フルと決めたからねということだから、それはどう考えても佐賀県というか、佐賀県民、佐賀県議会、そういったところの議論というところが義があるんじゃないかなと私は思って、そういったことについても御理解いただけたらなと思いますけど」と会談前の抱負を述べた。

報道によると、会談では、山口知事の抱負がそのまま赤羽大臣に伝えられた模様で、フル規格化を前提にした議論には応じられないという姿勢を改めて示した形となった。

山口知事は「いずれ水嶋鉄道局長さんとも、これは別件ですけど、またお会いすることがあると思うので、いろんな意見をやりとりする中で、その考え方というのを見きわめていきたい」とも述べており、当面はさまざまなやりとりの中で水面下の動きが続いていくものと思われる。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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