スズキの歴代モチーフを取り入れた WAKUスポ…東京モーターショー2019[デザイナーインタビュー]

スズキ四輪商品・原価企画本部四輪デザイン部四輪先行デザイン課係長の小木曽貴文さん
スズキ四輪商品・原価企画本部四輪デザイン部四輪先行デザイン課係長の小木曽貴文さん全 27 枚

東京モーターショー2019のスズキブースには、家族内シェアを目的としたコンパクトPHEVの『WAKUスポ』が展示されている。リア周りが変化するというこのモデルのデザインについて、担当デザイナーに話を聞いた。

【画像全27枚】

懐かしのクルマらしいクーペと実用性でワゴンに変形

----:ボディを変化させるという面白い発想を持つWAKUスポですが、このデザインのコンセプトを教えてください。

スズキ四輪商品・原価企画本部四輪デザイン部四輪先行デザイン課係長の小木曽貴文さん(以下敬称略):このクルマは家族内のシェアリングを目的として考えています。家族の中といっても、おじいちゃんから孫までいます。そこでまず、おじいちゃんの時代のクルマらしい形としてクーペスタイルを採用しました。

ただしクーペスタイルだけでは家族内シェアリングとしては非常に難しいので、実用性を付け加えたいとワゴンに変形する機構と、リアドアを開放してBピラーレスの大開口を実現しました。また、リア周りの変形と合わせて、顔の光り方も変化させることで色々な人に共感してもらいたいという思いでデザインしています。スズキ WAKUスポスズキ WAKUスポ

インテリアに関しても、懐かしさと新しさを両立させようと、スイッチ類をできるだけモニター化することで、昔懐かしい雰囲気やフラットデザインを採用しています。しかしデバイスなどで新しいイメージも演出しました。

また、フェンダーミラーにカメラを採用し、インテリア側のモニターに映るようにもなっています。このフェンダーミラーは懐かしいだけではなく、カメラ位置が前に行くのでこれまで見えなかった死角部分もカバーできるように、安全性も高めています。スズキ WAKUスポスズキ WAKUスポ

----:インパネ周りでは助手席前に銀の加飾を入れていますが、これは何かの意味があるのですか。

小木曽:これは助手席前が回転してモニターが消え木目パネルになった時に、質感を高く見せようとトライしました。単純に木の板を貼るだけではなく、そこに年輪の代わりにメタルが入るという異素材の組み合わせにより、質感にもトライしています。スズキ・ワゴンR RR(1998年)スズキ・ワゴンR RR(1998年)

----:フロント周りはどのように変化するのでしょう。

小木曽:クーペの状態は『ワゴンR RR』の頃の、スズキの中のスポーティな表現としてブルーの中にランプが縦2灯になっています。ワゴンモードになった時にはブルーのラインが消えて白い横フィンがグラフィックで現れます。これは昔懐かしい、横基調で、アルミなどでできたフロントグリルを映像で表現しようとしているのです。スズキ・フロンテクーペ(1971年)スズキ・フロンテクーペ(1971年)

いにしえのスズキ車をモチーフに

----:このクルマはどういう思いでデザインしようと思ったのでしょうか。

小木曽:家族内シェアリングをテーマに据えた時に、60歳か、もう少し上の人に共感を得られる形は何だろうというところから始めました。

自動車の歴史を少し遡った時に、スズキでは『スズライト』や『フロンテ』、『フロンテクーペ』といったクルマたちのテーマを用いながら、また数は出ませんでしたが『フロンテ800』のようなスタイリングのものなど、いわゆるスズキが過去に出してきたクルマたちのモチーフをできるだけ盛り込んでいます。

そして、今作ることで若い人から見ると割と新鮮に見えるといった懐かしさと、ギャップのある新鮮さを盛り込めるところを探り探りでこの形に行き着きました。スズキ・フロンテ800(1965年)スズキ・フロンテ800(1965年)

----:ちょうどスズキは来年100周年なので良いタイミングですね。

小木曽:その通りです。スズキのパワーを全部盛り込みたいなと着想しました。

2つのボディタイプもアイディアは歴史から

----:家族内シェアリングを考えた時にクーペとワゴンの融合はなかなか出てこない発想だと思います。最初からSUV、あるいはステーションワゴン、ハッチバックなど一本で行くことの方が多いと思うのですが、あえてリア周りを変えようという発想はどこから出てきたのでしょうか。

小木曽:『マイティボーイ』です。リア周りを変えるというアイディアは過去にも色々ありました。そういうものをアイディア出しの段階でチームのメンバーから出てきて、それを電動でやってみようとなったのです。スズキ・マイティーボーイ(1983年)スズキ・マイティーボーイ(1983年)

----:全体として柔らかいデザインで、ノスタルジックな感じもありつつも、今のデザインテイストも感じられるので、とても素敵に感じます。カラーリングもツートーンにして凝っているようですね。

小木曽:はい。艶感ではなくてマットにすることで、これもやはり家族でシェアする時のフレンドリーな印象と、刺々しくない優しい印象を求めてマットカラーのグリーンとホワイト、インテリアはオフホワイトとブラウンを選んでいます。あまり強すぎない色合いということで選びました。【動画】東京モーターショー2019は“未来のモビリティ社会”をプレゼンテーション。臨海新都心エリアを広く活用したショー会場全体の様子を動画で紹介す…

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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