ボルボ S60 伝道師を育成、ターゲット共有と競合車試乗で「自分の言葉で違いを説け」

ボルボS60新型導入研修(10月17日、袖ヶ浦フォレストレースウェイ)
ボルボS60新型導入研修(10月17日、袖ヶ浦フォレストレースウェイ)全 11 枚

千葉県袖ヶ浦フォレストレースウェイに場違いなスーツ姿のビジネスパーソンが100人。コースにはメルセデスやアウディ、BMWのスポーツセダン。そしてデビューしたばかりのボルボ『S60』が12台。フェスやセレモニーでもなく、静かにプログラムがすすむ……。

これ、ボルボ・カー・ジャパンが実施する、 S60社員研修。セールス、テクニシャン(エンジニア)、ショールームアテンダント、支店長、幹部候補など1500人が共有する「ボルボS60伝道師育成プログラム」で、1日100人ずつ、平日に15日間かけて行われるボルボの一大イベントだ。

このボルボS60伝道師育成プログラムは、座学と試乗の2本柱で構成。座学では、S60の開発背景、ターゲットユーザ、スポーツセダン志向のユーザ動向、S60の進化ポイント・個性・差別点、想定競合車などを伝授。講義ではこんな情報を共有していた。

●ターゲットカスタマー
オーナー:60%(旧S60:約49%)
年齢層:45~55歳(若年層へもアピール、ポストファミリー層拡大)
世帯年収:1400万円以上
ライフスタイル:メイン=夫婦(ポストファミリー&DINKS)、サブ=子どものいる夫婦(ファミリー)
職業:会社員、管理職、専門職、自営業(オーナー)

●パーソナリティ・イメージ
自分のライフスタイル、個性を大切に考える
ドライブが好き
北欧デザインが好き
ソーシャルステータスを(ダイレクトでなく)アピール

●新規顧客、ストック顧客
- モダンでスタイリッシュな新世代ボルボデザインに惹かれ、先進安全・運転支援機能をはじめ最新テクノロジーを備えた最新スポーツセダンを求める初エントリー層
- 同セグメントユーザー検討見込み客:アウディA4、BMW3シリーズ、メルセデスCクラス
- アップグレードユーザー:フォルクスワーゲン、フランス車など
- 国産高級セダンユーザー、セダン回帰アップグレーダー(ボディタイプ問わず)
- かつてボルボユーザーだったがニーズにあうジャストサイズセダンがなく、他ブランドへ流出したストック客

……こうしたデータを社員全員が共有し、ターゲットとの接点で共通シナリオ「違いのわかる男、女」を展開していく。

また、この研修現場にはボルボS60以外のクルマも用意。その狙いは「競合車も試乗してボルボS60の良さ、違いを自分の言葉で説得力あるトークで伝えられるようにする」で、メルセデスベンツ『Cクラス』、アウディ『A4』、BMW『3シリーズ』、レクサス『ES』、トヨタ『クラウン』、同『カムリ』、日産『スカイライン』らがS60にまじって待機している。

競合車と自社S60をみっちり試乗し、カタログスペックだけでは体感できない、そのクルマの素性を体得していく。パドック裏にはボルボの最新モデルに搭載されている先進安全・運転支援機能を見える化した体験コーナーも設置。ボルボ車の停止位置からどこまでセンサが届いているか、どの範囲をとらえているかを地上に実線で描いてみせていた。

「国内社員1500人に対してこうした研修を実施するのはことしで5年目。参加者たちの交通費も含めて、すべての費用をボルボ・カー・ジャパンが負担している」と話すのは、研修現場に姿をみせたボルボ・カー・ジャパン木村隆之代表取締役社長。

「競合車を含めて同じ環境で試乗して、比較して、1500人すべてが同じレベルでS60と競合車のキャラクターを共有する。この研修はコストはかかるけど、その意義はじゅうぶんにある。ひとりひとがボルボのエバンジェリスト、伝道師になることが目標」

「ボルボ・カー・ジャパンではだいたい四半期に1回、広告宣伝を打つ。1回にかけるコストは2億円。その半分以下のコストでこうした研修が一回できる。テレビ宣伝に2億円かけるよりも、その半分以下のコストで商品に対する自信をスタッフたちと共有するほうが、よっぽど実感がある」

「メルセデスやアウディ、BMWなどの他ブランドから移ってくる顧客が増えるなか、ボルボブランド指名が4割、他ブランドと比較検討するユーザが6割。われわれは他ブランドのクルマはけなさない。アウディと迷ってるなら、まずアウディのいい点を伝える。そのうえでボルボのアドバンテージを伝える。自分の言葉で、その違いを説明できることが大切」(ボルボ・カー・ジャパン木村隆之 代表取締役社長)

《レスポンス編集部》

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