【浦島ライダーの2輪体験記】新型スズキ カタナ、なかなか高級なバイクです

スズキ カタナ 新型
スズキ カタナ 新型全 19 枚

16歳の誕生日と共に原付免許を取り、でも、20代はクルマに夢中。アラサーでリターンライダーになるも、40代は仕事に忙殺される。そしてアラフィフで2輪に再々入門。そんな浦島ライダーが、最新のバイクをチェックしていきます!

「コレが21世紀のカタナだよ」

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スズキの『カタナ』といえば、自分が高校生のとき、卒業生が自慢気に乗ってきたのをシゲシゲと見させてもらったことがある。1980年代でセパレートハンドルだったから、おそらく逆輸入車の1台だったのだろう(なぜそんなバイクを持っていたのかは謎)。実車を前に、「ユーフォー(UFO)みたいだァ」と、あまりオツムの良くない感想を抱いた記憶がある。まぁ、見たことがないカタチ、ということですね。

2018年のインターモト(ケルンショー)で、『GSX-S1000』のコンポーネンツを活用した新世代カタナの市販版がデビューして、今年19年から国内での販売が始まった。998cc直列4気筒エンジン搭載で、154万円。4輪のスズキ『スイフト』が買える値段である。

新型のスタイルは、カタナの名に恥じない独特なもの。個性が強いから好き嫌いもありましょうが、タイムスリップして高校生だった自分に、「コレが21世紀のカタナだよ」と紹介したなら、「なるほど、こうなるのかァ」と素直に納得しそうな気がする。当時は「21世紀」という単語に「未来」のイメージが重なっていたから、シャープなデザインのニューカタナは、まさにピッタリ。アップタイプのバーハンドルが「こんなにもカッコよく処理されるのか!」と驚かれるかもしれない。

ローダウンシート設定していただけないでしょうか

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さて、舞台を実際の21世紀に戻して新しいカタナに跨ると、身長165cmの自分では足つきがちょっと厳しい。シート高825mm。昭和体型、つまり自分のような短足ライダーだと、両足つま先立ちとなる。硬めながらモチモチした触感が嬉しいクッションを削るのは忍びないが、なろうことならローダウンシートをオプションで設定していただけないでしょうか。

一方、スズキならではの気遣いはカタナでも健在で、スターターをワンプッシュするだけでエンジンをしっかり始動させる「スズキイージースタートシステム」や、エンストを起こしにくくするため、微速時にエンジン回転数を落とし過ぎない「ローRPMアシスト機能」、そしてオフにもできる3段階の「トラクションコントロールシステム」を搭載する。

ライディングポジションは、肘を開き気味にして上体を前傾させるアグレッシブなもの。着座位置が前寄りになることもあって、目の前にフロントスクリーンがないのが、なんだか妙な気分だ。高速道路では前方からの風との全面対決になるうえ、路面がいつも以上に迫って見えるから、機能面からも精神衛生上も(!?)、メーターバイザー/スクリーンを取り付けたほうがいいかも。スズキの純正用品ほか、サードパーティからも各種出ているので、「どれにしようか」と迷うのも、また一興でしょう。

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エンジンは、スズキの「トップ・オブ・スポーツ」たるGSX-R1000由来の998ccツインカム4バルブ。ボア×ストローク=73.4×59.0mmと、現行R1000よりストロークが長めだったころのユニットで、公道向けに使いやすくしつけ直されている。

148ps/10000rpmの最高出力と、107Nm/9500rpmの最大トルクは、ベースとなったGSX-S1000や同1000Fと変わらない。極低回転域から穏やかにトルクを紡ぎ出すのが特徴で、迫力あるサウンドとは裏腹に、いい意味で「リッター」を意識させない使いやすさがある。

新型カタナ、なかなか高級なバイクです

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走り始めると、足まわりは硬めで、しっかりとした乗り心地。路面からの入力を跳ね返すさまに、ボディの高い剛性感を意識する。斬新なカウルはじめ、各パーツの作り込みに気合が入っているカタナですが、ライドフィールの質感もまた高い。新型カタナ、なかなか高級なバイクですね。

曲がりくねった峠道では、狙ったラインをキレイにトレースしてくれるのが嬉しい。エキスパートの方なら、「カタナの名の通り、シャープなハンドリング」と断じられるのでしょうが、「ヘタ寄りの普通」ライダー(←ワタシのことです)としては、「大柄なボディに似合わず、ピリッとしてる」との感想を抱くのがせいぜい。

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なにしろローギアで易々と100km/hを超える動力系だけに、山道ではセカンド、サードを使って、ときに5000rpmもひっぱれれば、心情的に「もう、お腹いっぱい」。カタナとしては「ウォーミングアップにもならない」といったところでしょうが。今後、オーナーの方のなかから、「一度も1万回転の声を聞いたことがない」という人が出てきても、不思議はない。リッターバイクの、ある意味、宿命ですね。

スズキらしい、ちょっと癖のある存在感を放つ新型カタナ。今回の4気筒モデルに続き、たとえば650のVツイン、250の並列2気筒と、レーシィなGSX系と並立するような、いわば「ラグジュアリースポーツ」のラインナップが揃ったら楽しそう。個人的には、カタナスタイルを採るマルチのナナハン版を切望……って、それは夢のまた夢か。

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《ダン・アオキ》

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