【トヨタ ヤリス 新型】インテリア…素材と機能の配慮

トヨタ・ヤリス新型
トヨタ・ヤリス新型全 9 枚

トヨタ自動車が12月に発売を予定しているBセグメントサブコンパクト『ヴィッツ』改め『ヤリス』。インテリアのテーマは「SPORTECH-COCOON」。「スポーツテクノロジーのまゆ」とでも訳せようか。楽しく操る機能部品と心地よい素材感に包まれた空間との対比---と、トヨタは意味づけている。

デザインは非常に凝っており、カービングがかなりきつめの造形のダッシュボードはトヨタお得意の2トーンカラー。上級グレードはソフトパッドが使われる。上面への張り出しがごく小さなメーターナセルの中には、TFT液晶の二眼メーターとインフォメーションディスプレイ。そしてセンターには大型の液晶パネルが備わる。初代ヴィッツが懐かしくなる、手触りを柔らかに感じさせる表面処理の部分と、普通のプラスチック部分とを一体成型した、ドアの内張りを採用するなど、質感向上の努力をしながらも車両価格が上がらない工夫を全力でやっているという印象だった。

今日のクルマのインテリアは、電子機器やスイッチ類、空調などの配置のせめぎ合いだ。この限られた面積の中にスマホ置き場まで実装している。デザイン担当者によれば、それを成立させるためにさまざまな工夫が凝らされているとのこと。一例はセンターコンソール上の空調ダクト。大型液晶ディスプレイを置いたために空調口はかなり奥のほうに入り込んでいる形になっているが、液晶ディスプレイマウントの下面の形を空気がそれに沿って流れるようなエアロ形状にすることで、ドライバーの上半身にちゃんと当たるようにしたという。最も上に向けると天井方向に風が行くのだそうだ。

スペースはBセグメントとしては必要十分。フロントシートバック後面が大きくえぐられているのが奏功して、身長170cmのドライバーが適切なポジションを取ったときの後席膝下空間の余裕は、大きくはないが窮屈でもない。前席下部のスペースが大きく、つま先をずいっと深く入れられるため、リラックスできるのではないかと思われた。荷室容量は今回は公表されなかったが、見た限りではそれほど広くはなく、感覚的には280リットルくらいか。もちろんタウンライド用途としては必要十分である。

ハイブリッドモデルに限るが、その荷室内に100ボルト15アンペア(最大1500W)のACソケットをオプションで設置できる。今年は秋に関東に台風が2発襲来し、停電が広範囲にわたって発生。クルマを電源車として使えたらどんなにいいかと思ったカスタマーも多いことだろう。トヨタは現在22車種にこの100ボルト15アンペアソケットを設定しているそうだが、ボトムエンドのヤリスでもそれを選べるというのはなかなかのセールスポイントになりそうだ。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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