ホンダ アコード 新型が極めた「本質」…東京モーターショー2019[インタビュー]

本田技術研究所四輪R&Dセンター第11技術開発室第7ブロック主任研究員の宮原哲也さん
本田技術研究所四輪R&Dセンター第11技術開発室第7ブロック主任研究員の宮原哲也さん全 12 枚

東京モーターショー2019ホンダブースには『フィット』をはじめ市販直前のいくつものモデルが出展され、その中にはグローバルモデルの『アコード』も展示されていた。来年2月には正式に日本発表されるこのモデルについて、開発責任者に話を聞いた。

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低重心・低慣性化

----:北米でデビュー以降、各国で販売が開始されているアコードが、いよいよ日本でも発売されますね。そこでまず、今回のフルモデルチェンジのポイントを教えてください。

本田技術研究所オートモービルセンター主任研究員の宮原哲也さん(以下敬称略):新型アコードはプラットフォームから全て見直し、我々にとっても滅多にない大転換をしたクルマです。現行『シビック』から始まった基本骨格の構造は同じなのですが、スペースだけでなくより低重心・低慣性化を狙い、アコード用に新しくプラットフォーム作りをしています。

また、ハイブリッドの搭載をプラットフォームを作る段階から意識しました。その結果、先代のモデルではバッテリーがトランクの奥側にありましたが、今回はそこから完全に抜き去り、リアシートの下に入れています。これによりクラス最大のトランク容量を確保しました。ホンダ・アコード新型ホンダ・アコード新型

また、人の乗るスペースも実は拡大しており、全長は45mm短くなりましたが、ホイールベースは逆に55mm長くなっています。つまり室内のスペースはかなり広がっているのです。リアシートの足元も膝周りはそのぐらい広がりましたし、レッグルームでも75mmほど広がっていますので、かなり余裕を持った座り方が出来るようになったのです。

全高も若干低くしましたが室内高は全く変わっていません。このように、デザインも良くしながら、室内のスペースユーティリティもしっかりとレベルを上げて、次の時代にきちんと合うセダンに進化させたのです。

我々は走りにも当然こだわってはいますが、同時にその格好良さ、乗り心地、静粛性といったことも高い次元で連立するように開発しています。

本質を極める

----:今回のフルモデルチェンジで一番こだわったことは何ですか。

宮原:本質をしっかり極めていくということです。それが結果的に、購入したユーザーが自信を持ってこのクルマに乗ることが出来ますし、開発した我々も自信を持ってこのクルマの提案が出来ることに繋がります。

例えば、最近のセダン市場は縮小傾向にありますが、そうはいってもセダンが好きなお客様はたくさんいらっしゃいます。そういった方がややもするとヨーロッパの高級ブランドに行ってしまう。そういう人たちがまた改めてこの日本のクルマの良さに気付いてもらい、実際に乗ってみるとこれはいいじゃないかといってもらえるようなクルマを目指ました。そういった意味でデザインやインテリアの作り方、質感など、本質的なものにこだわったのが一番です。

デザインの領域でもミリ単位にまでこだわって開発しています。単純にロー&ワイドにするためにもディメンジョンだけではなく、デザインからもしっかりと感じられるような工夫をかなり細かく入れ込みました。

例えばリアフェンダーの下からリアバンパーにかけて空力的に操安性を上げる効果も持っている面があります。その部分を真後ろから見るとほんの少しだけタイヤの端が見えるのです。そうするとよりタイヤが踏ん張っているような感じになるでしょう。このようにちょっとしたことが意外に格好良く感じてもらえるポイントになっていると思います。ホンダ・アコード新型ホンダ・アコード新型

格好良さでいえば、サイドのキャラクターラインが弧を描いているように見えます。実は、前からこのラインを見ると、少し膨らみながら上に上がって見えるという不思議な三次元モチーフです。これは何度も何度も光を当てながら削っていって実現しました。このアコードの表現で一番気に入っている部分でもあります。ドアのこのラインをしっかりと出すために、少し削ぎ面を入れるなどの工夫もしているのです。

----:今回ドアミラーはドアマウントを採用していませんが、その理由は何でしょう。

宮原:そこは悩んだところです。ボディ側にマウントした方が視界は良くなる効果はあります。しかし、いまお話ししたラインをしっかりときれいに出すために、ボディマウントをやめて現在の位置にしたのです。またミラーの形状を見直し工夫することによって、視界を確保しました。

また、ピラー位置も前のモデルよりも100mmほど後ろ(室内側)に引きました。格好良く見せるためにノーズを長く見せるという効果とともに、後ろに引いたことによって実質的な運転視界も良くしたのです。さらにピラーそのものも断面が細くなるような設計を新たに取り入れ、かなり視界にも配慮した形になっています。ホンダ・アコード新型ホンダ・アコード新型

どの国でもメリットを享受できるように

----:アコードはグローバルカーですから、日本市場だけを意識するわけにはいかないですよね。そのあたりは今回の開発ではどのように考えたのでしょうか。

宮原:このクルマはアメリカだけを向いて開発したわけでもありません。グローバルの様々な地域の声を集約して作ったと考えてください。我々の会社のポリシーでもあるのですが、世界中のお客様を視野に入れて作ったのがこのアコードの良いところです。

例えばホイールベースを長くしましたが、最小回転半径は逆に小さくなっています。このあたりはかなりこだわっていまして、プラットフォームを開発する段階から舵角をしっかり取れるようにサスペンションも含めて全てレイアウトをし直しました。要は、大柄なクルマですが小回りはしっかり利く。そういったところは各国共通のメリットであり、当然日本でも理解してもらえるところです。

----:いつ頃発売を予定していますか。

宮原:2月には発表します。先代のアコードは自分でも良く出来たと思っていましたが、それを越えるための工夫はかなり根本的にやりましたので、自信を持って送り出します。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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