新鳥栖-武雄温泉間は「未整備区間」にあらず…佐賀県知事が九州新幹線西九州ルートの「フル規格ありき」を改めて牽制

九州新幹線鹿児島ルートが部分開業(2004年3月)した頃の新八代駅ホーム。同駅では鹿児島ルートが全線開業するまで、博多~新八代間の在来線特急『リレーつばめ』(右)と新八代~鹿児島中央間の新幹線『つばめ』(左)が同じホームで乗り換えできるようになっていたが、この対面乗換えを武雄温泉駅で行なう「リレー方式」に佐賀県は同意している。
九州新幹線鹿児島ルートが部分開業(2004年3月)した頃の新八代駅ホーム。同駅では鹿児島ルートが全線開業するまで、博多~新八代間の在来線特急『リレーつばめ』(右)と新八代~鹿児島中央間の新幹線『つばめ』(左)が同じホームで乗り換えできるようになっていたが、この対面乗換えを武雄温泉駅で行なう「リレー方式」に佐賀県は同意している。全 2 枚

佐賀県の山口祥義(やまぐちよしのり)知事は11月19日に開催された定例会見で、整備方針を巡って紛糾している九州新幹線西九州ルート新鳥栖~武雄温泉間について記者の質問に答えた。

九州新幹線西九州ルートは、武雄温泉~長崎間が2022年度中の開業を目指してフル規格で工事が進められているが、残る、在来線での整備とされていた新鳥栖~武雄温泉間については、8月27日に与党の整備新幹線建設推進プロジェクトチームが、フリーゲージトレインの開発断念を受けて、フル規格による整備方針を国土交通省へ求めることを確認したことに、佐賀県が反発している。

これについて山口知事は「フル1択とか、そういったところに佐賀県は協議の場に着かないとかいう話をよくされてしまうんだけれども、5択でと我々は言っているんです」と述べ、協議拒否の姿勢を否定。

標準軌に改軌するミニ新幹線方式かフル規格化の2者択一ではなく、1992年11月に地元合意している「スーパー特急方式」、2007年12月に3者合意しているフリーゲージトレインによる「FGT方式」、2016年3月に6者合意している武雄温泉駅で在来線と連絡する「リレー方式」も含めた5者択一で議論を進めていくべきだとした。

また、新鳥栖~武雄温泉間が報道で「未整備区間」と言われていることに対しては「整備するなんて決まっていないので、そこの言い方については、ぜひ皆さん気をつけていただきたいなというふうに思っています」と述べ、嫌悪感を示した。

年末にかけての国の予算折衝に向けては、新鳥栖~武雄温泉間フル規格着工へ向けた環境アセスメント予算の計上を求める声があるとされているが、国交省の鉄道局長は佐賀県の同意なしに盛り込むことを否定していると言われており、山口知事は「おおよそ佐賀県内のアセスを佐賀県の合意もなく勝手にやるというのは信じられないことだと思っています」「もう全くその環境にないと思っています」と述べ、明確な拒否姿勢を示している。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. アルファロメオの新型SUV『ジュニア』日本発売に、「420万円はリーズナブル」「マジで美しい」など反響続々
  2. トヨタ車体、『アルファード』『ヴェルファイア』をトヨタ自動車に生産移管、いなべ工場は商用車専用に
  3. クーペSUVに進化! アルファロメオ『ステルヴィオ』次期型を完全プレビュー
  4. 「まさにアメリカンスポーツの最高到達点」1000馬力越えの『コルベット』にSNSも注目!コスパ最強ハイパーカー誕生か
  5. 背もたれに貼り付いた子どもたちの頭髪に…学術集会で議論された「ジュニアシートの適正使用」【岩貞るみこの人道車医】
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
  4. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  5. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
ランキングをもっと見る