20年度も自賠責資金の繰り戻しは実現へ…「自賠制度を考える会」が赤羽国交相に要望

赤羽大臣に要望書を手渡す自賠制度を考える会の福田弥夫座長
赤羽大臣に要望書を手渡す自賠制度を考える会の福田弥夫座長全 2 枚

交通事故被害者や自動車業界団体などによる「自動車損害賠償保障制度を考える会」(以下、考える会)は11月22日、自賠責保険料からの積立資金が国の一般会計に繰り入れられたままとなっている問題について、赤羽一嘉国土交通大臣に善処を要望した。

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考える会は、事故被害者団体や日本自動車会議所、自動車総連など幅広い関係機関で構成され、2010年の設立時から自賠責資金の繰り戻しや理解活動に取り組んできた。一般会計にプールされているのは、自賠責保険料から交通事故被害者支援などのために積み立てられた資金で、1994年度から95年度にかけて繰り入れられた。

考える会の活動などにより、18年度には一般会計からの繰り戻しが15年ぶりに実現、19年度も継続された。繰り戻し額は18年度が23億円、19年度が37億円だが、なお約6000億円が一般会計にプールされた状態となっており、自動車ユーザーが負担した資金が事故被害者救済など本来の目的に使えないという事態が長年続いている。

国交省に赤羽大臣を訪ねた考える会の福田弥夫座長(日本大学危機管理学部教授)は、「われわれはこの問題の重要性から、特別会計より一般会計に貸し出されたままとなっている資金について、来年度も繰り戻しを実現いただくよう大臣にお願いする」と要請した。

これに対し赤羽大臣は「交通事故の被害にあわれた皆様、日々介護にあたられるご家族の皆様に心からお見舞い申し上げる。私はかつて(重篤な交通事故患者の治療施設である)千葉療護センター(千葉市美浜区)を視察したこともあり、事故撲滅のためにしっかり対策しなければならないといった思いを強くしている」などと述べた。

要望の会談後に、記者団の取材に応じた福田座長は「赤羽大臣には事故被害者の家族の悩みなど、共感をいただいた」と述べた。20年度の繰り戻しについては「私の理解では、実施していただけるとの感触を得ている。金額については国交省と財務省の両大臣の話し合いになる」と、来年度の継続実施が実現できるとの見通しを示した。また、繰り戻しについては毎年度ごとに財政当局に要請するのでなく「継続的、システム的に実施されるようにしていただきたい」とも語った。

この会談には、考える会から事故被害者団体である全国遷延性意識障害者・家族の会の桑山雄次代表、事務局を務める日本自動車会議所の山岡正博専務理事らが出席した。

《池原照雄》

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