VW『ゴルフ・ディーゼル』で燃費対決!目標は30km/リットル、結果は…

出発します。
出発します。全 22 枚

10月に発売されたばかりのVW『ゴルフTDI』(Volkswagen Golf TDI)で、東京から仙台まで走行して燃費を競う、「メディア対抗燃費競争試乗会」に『レスポンス』チームとして参加した。

相手は『Car Watch』の橋本洋平氏と『MOTA』の山本シンヤ氏。エコランはけっこう得意と自負しているが、ドライバーの顔ぶれからすると勝算は微妙。まあ、とにかくベストをつくすのみだ。

ルールはいたってシンプルで、10時30分にVGJ本社のある東京の御殿山をスタートし、途中のルートは自由、16~17時の間に仙台の目的地に到着すればOK。早く着いても遅く着いてもペナルティがある。

30km/リットルに届くか?

燃費運転には自信あり。だが、競争相手もうまい(写真は帰路)。燃費運転には自信あり。だが、競争相手もうまい(写真は帰路)。
他チームの動向も気になるところだが、まずはどうやって都内を抜け出すかが悩みどころ。

以下、首都圏の地理に詳しくない方には恐縮ながら、知りたい方もいると思うので具体的な名称を記すと、首都高速の乗り口では、近くに中央環状線(C2)の五反田ICや1号羽田線の芝浦ICもあるが、同乗して旅をともにするベテランカメラマン中野氏が、できるだけ渋滞を通らずにすみそうなルートをリサーチしてくれたのでそれに従い、環状線(C1)の芝公園IC~5号池袋線~板橋JCT~中央環状線~江北JCT~川口線(S1)を経由して東北道にアクセスすることにした。

まずは駐車場を出て第一京浜(国道15号)へ。最初は3km/リットル台の表示だった平均燃費がすぐにみるみる伸びて、わずか3.4kmの距離走ったところで10km/リットルに到達。水温計の針も徐々に上昇して、4.1km走り東京タワーが見えるあたりで90度に達し、この日初めてアイドリングストップした。

ゴルフTDIの公称燃費は、WLTCモード18.9km/リットル、市街地モード14.0km/リットル、郊外モード18.9km/リットル、高速道路モード22.2km/リットルとなっている。「目標はキリよく30km/リットル!」と言ったところ、そんなにいくわけないとカメラマン氏は笑うが。

芝公園ICで首都高速に乗った時点で燃費は11.5km/リットル。浜崎橋JCTを北上し八重洲線(Y線)を通り5号池袋線へ。スタートから10km走行した時点で、早くも燃費は15km/リットルに到達した。江北JCTの手前だけ少し混んでいたが、概ね順調に東北道までたどりつくことができた。途中、燃費は19km/リットル台で上がったり下がったりしながらなかなか20km/リットルに届かかったのだが、スタートから30kmたらず走行した東北道の手前のあたりで20km/リットルに達した。

ところが、メーター内の平均燃費計は20km/リットルを超えると小数点以下が消えることが判明。センターの画面に表示させることができたはずだが、やり方がよくわからず。まあ、いずれにしてもベストをつくすことには変わらないので、そのまま走行した。

東北道に入ってほどなく、WLTC高速道路モード値に近い22km/リットルに。さらに、まだ積算走行距離が短いので早いタイミングで燃費が伸びて、羽生IC(39.4KP)の手前の地点で25km/リットルに達した。燃料計は70kmあまり走ったところでようやくMAXからわずかに下がった。スタート時に「750km」と表示されていたのが走行可能距離計も、エコランが計算に反映されてどんどん増えて「900km」を超えた。

靴を脱ぎ素足でペダルをコントロール

VWゴルフTDIVWゴルフTDI
走り方はエコモードを選択し、ACCは使わず、流れに合わせて70~80km/hで走行。85km/h以上でないとDCTが7速に入らないようなのだが、瞬間燃費計の動きからすると、感触としては6速のほうが燃費がよさそうなので、車速を抑えて6速で走ることにした。エンジン回転数は6速、70km/hで1300rpmを少し切るぐらい。空気抵抗の面でも、そのほうが有利と思われる。

あとは基本セオリーどおり。もちろん上り坂ではアクセルを極力踏み増さない。そして、より繊細なドライビングを行なうべく靴を脱いだ。たいして変わらなさそうだが、素足のほうがミリ単位のコントロールがしやすいので、長距離を走ったときに効いてきそうな気がした。

前におあつらえむきなトレーラーがいたので、少しでも空気抵抗が減るよう、「あおり運転」にならない程度にスリップストリームにつく。概ね順調……と思っていたら、重要なことを忘れていた。スタートから90km近くまで、なんとエアコンをいれっぱなしだった! 外気温は21.5度とそれほど高くないので、それほどロスも大きくないと思いたいところだが、エアコンがなくてもぜんぜん問題なかったので、もったいないことをした。まあ、悔やんでもしょうがない。とにかくベストをつくすのみ!

その後、スタートから約100km走ったところで燃費は26km/リットル、同じく約125kmで27km/リットルに達し、約134kmで走行可能距離の表示が「1000km」になった。東北道の下り線は最初はずっと3車線だが、宇都宮IC(103.1KP)をすぎると2車線になり、ガラリと雰囲気が変わって交通量も一気に減り、さらに150KP地点付近をすぎるとアップダウンが増える。

増える走行可能距離、夕方の渋滞が始まった

このペースなら1050km無給油で走れる、と。このペースなら1050km無給油で走れる、と。
燃費は27km/リットルでずっと動かなくなり、このあたりが関の山かと思ったのが、スタートから約160km走って走行可能距離は「1020km」の表示。燃料が減っているのに走行可能距離がどんどん増えるというのは、表示されている平均燃費値を上回る燃費で走れているということなので、さらに伸びることが期待できる。

気温は徐々に下がり、の矢板IC(120.2KP)のあたりで20度、西那須野塩原IC(139.1KP)のあたりで18度に。その後、「疲労が検知されました。休憩してください」とのガイダンスが。そろそろ昼食をと思っていたところだが、すでに走り始めて2時間が経過していたので、次の那須高原SA(160.5KP)で昼食。ちょうど中間地点ぐらいで、燃費は相変わらず27km/リットルで、走行可能距離は980kmに減ったが、燃料計の目盛りはようやくひとつだけ減った。

昼食後、気を引き締めて走行再開。するとスタートから約220km走った鏡石PA(193.9KP)のあたりで、燃費が28km/リットルに! 走行可能距離も、もう下がりっぱなしになるだろうと思っていたら、なんと再び上向いて、安達太良SA(226.3KP)のあたりで「1030km」になった。

そしてスタートから283km(254.9KP付近)、福島西ICの手前、目的地まで残り95kmのところで、ついに29km/リットルとの表示! その直後に走行可能距離もさらに更新して「1050km」になった。これがピークだったのだが、このあたりアップダウンが多く、ダウンもあるけどアップもきついのでもうダメだと思っていたのに更新したことには驚いた。このままいくと夢の「30km/リットル」の大台にのるかもしれない!?

29km/リットルを維持できるか

VWゴルフTDIVWゴルフTDI
いよいよ宮城県に突入。時刻は16時半頃。だいぶ薄暮くなってきて、菅生PA(319.6KP)近くの看板では気温は13度と表示されていた。実は、我々が仙台に向かっている最中に、ルート上で大きな事故があって通行止めになったことを受けて、本来は17時までだった到着時間が、18時までにされた。結果的に通行止めの影響はまったくなく、到着時間には余裕があったが、このペースなら17時ちょうどぐらいに目的地に着けそうだ。

もうさすがに走行可能距離も減る一方になったが、燃費はずっと29km/リットルの表示。そして仙台宮城IC(332.4KP)で東北道を下り、目的地へと向かう。カーナビによると、すでに夕方の渋滞が始まっている模様で、わずか6.4kmの距離を走るのに25分もかかるとのことで、燃費への悪影響は必至。

かといってできることも限られるのだが、そういえば朝、出発して首都高速にのるまでにも感じたことに、Dレンジでクルマ任せで走ると加速重視でけっこう低速ギアでひっぱるので、自分でマニュアル操作でシフトアップしたほうが、加速は伸位が瞬間燃費計を見ると微妙に燃費がよかったことを思い出したので、ここでもそれを実践する。

こうなると、前で述べた事情により小数点以下がわからないので、29km/リットル台を維持できるかどうかがポイント。目的地まで残り1kmを切って目的地が見えてきたあたりも混んでいて、アイドリングストップしているとはいえ信号待ちがやけに長く感じられる……。

エコラン達成度は97点、燃費は29.5km/リットル

Think Blue. トレーナーThink Blue. トレーナー
そして、時刻は16時57分、いよいよ到着! すぐにスタッフに、燃費の小数点以下を表示させる方法を教えてもらい、確認したところ燃費は29.5km/リットルだった。ひょっとするとピークは30km/リットルの寸前までいっていたのではないだろうか。もう少しがんばって、「30」という数字を見てみたかった気もする。

参考まで、それ以外のデータをお伝えすると、走行時間6時間08分、平均車速61km/h
トリップ計は377.4km、走行可能距離は910km、燃料計は8目盛り中の6目盛り目を少し欠けるぐらい。エコラン達成度を示す「Think Blue.トレーナー」の97点という採点も、かなり高得点とのことだった。

この時点では勝敗はわからず。MOTAチームはすでに到着していて、Car Watchチームはまだ。結果は夕食時のお楽しみということで、夕食時に発表があったのだが、なんと優勝! やった! スゴイ! 自分としてもこれ以上はないぐらいがんばったのだが、ライバルチームの強敵ふたりに勝てたのは本当にうれしい!

やりました。やりました。
ちなみにCar Watchは28.8km/リットル、MOTAは26.9km/リットルで、Car Watchは常磐道経由、MOTAは7速メインで走行したそうだ。

翌日、復路は自由に走ってOK。そこで我々は、福島の猪苗代湖をまわった。途中ワインディングも走ってゴルフならではのしっかりとしたハンドリングを楽しむこともできた。ところで、往路を走っているときに時に乗り心地が硬いことが少々気になったのだが、指定空気圧のラベルを見ると、2人乗車で荷物が少量の場合には270kpもしくは240kpという表記があり、今回は燃費に有利なよう全車270kpに調整されていた。取扱説明書を確認すると乗り心地を重視する場合は240kpに調整するとよい旨が記されており、試してみたところ、やはりだいぶ違って、乗り心地がずっと快適だったこともお伝えしておこう。

その後は磐越道~東北道~首都高速と走って御殿山にもどったのだが、今度は元気よく走り、首都高速では渋滞に見舞われたにもかかわらず、それでも約16km/リットル近い平均燃費をマークした。恐るべし、ゴルフTDI! その実力の高さを思い知った2日間であった。

《岡本幸一郎》

岡本幸一郎

1968年、富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報映像の制作や自動車専門誌の編集に携わったのち、フリーランスのモータージャーナリストとして活動。幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもスポーツカーと高級セダンを中心に25台の愛車を乗り継いできた経験を活かし、ユーザー目線に立った視点をモットーに多方面に鋭意執筆中。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. 最後のフォードエンジン搭載ケータハム、「セブン 310アンコール」発表
  3. 船上で水素を製造できる「エナジー・オブザーバー」が9年間の航海へ
  4. 高機能ヘルメットスタンド、梅雨・湿気から解放する乾燥ファン搭載でMakuake登場
  5. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
ランキングをもっと見る