【懐かしのカーカタログ】トヨタ セラ & 日産 ラシーン…90年代の異色モデルたち

トヨタ・セラ&日産・ラシーン
トヨタ・セラ&日産・ラシーン全 9 枚

ガルウイングの意欲作『トヨタ セラ』

トヨタ・セラ(1990年)トヨタ・セラ(1990年)
トヨタ『セラ』の登場は1990年。80年代後半から90年代にかけての、まだミニバンやSUVのムーブメントが起こる前の、多様な国産車が溌剌としていた時代に、あのトヨタがこんなクルマを出してきた……と、ちょっと驚かされた1台だった。

【画像全9枚】

ベースは『スターレット』で、分類すればコンパクトカーの範疇にあった。全長×全幅×全高は3860×1650×1265mmと小ぶりで、改めて数字でみると全高の低さはスポーツカー並みだったことがわかる。けれど何といってもポイントだったのがドアの開き方。

当初のカタログは青い表紙の「イメージパート」と黄色の「コンセプトパート」の2部構成で、「コンセプト……」の中にある説明を見ると「ガルウイングドア」の表記があり、少し詳しくドアの説明が書かれている。もっとも実際にはフロントフェンダー後ろとルーフの中ほどの2箇所にヒンジが設けられ、斜め前端に開く仕組み。ドアのもっとも高くなる部分にドアエッジプロテクターが備わるなど、きめ細かな配慮はトヨタらしい。

トヨタ・セラ(1990年)トヨタ・セラ(1990年)
トヨタらしいといえば、気温が変化しても同じ力でドア開閉が行なえる補助ステーの組み込み、頭上部分の陽射しを調節するための脱着式ルーフサンシェードなども備えていた。とはいえ、陽射しの強い海岸沿いを走らせた経験があるが、ほぼ全面ガラスのキャノピー状のギャビンは、暑くなかった……といえばウソになる。

+2の後席は倒せば荷室に。当時のトヨタ車の純正上級オーディオだったスーパーライブサウンドシステムも用意された。『スターレット』がベースとはいえ4輪ディスクブレーキが奢られ、1.5リットルエンジンを積みながら930kgの車重(AT車)とバランスした、おっとりとした走りっぷりが味わえた。

クロスオーバーSUVの先駆け『日産 ラシーン』

日産ラシーン(1994年)日産ラシーン(1994年)
クロスオーバーSUVの先駆けというべきか。1994年から2000年まで、れっきとした量産車として市販されたのがこの『ラシーン』だった。

“羅針盤”に由来する車名、ドラえもんをキャラクターに立てた広告宣伝など、いかにも自由なRVの世界観をアピールしたクルマ。とはいえ改めて見ると意外にも思えるのは、全車がビスカス・カップリングを用いたフルオート・フルタイムの4WDだったという点。

『サニー』をベースに仕立てられ、今どきの感覚であればFFの“なんちゃってSUV”であっても不思議ではない。ところが後になり追加された2リットルの「FORZA」と1.8リットルの「ft」では「アテーサ4WD」を採用し、さらに走行性能を高めたものとなっていた。

日産ラシーン(1994年)日産ラシーン(1994年)
全車とも170mmの最低地上高が与えられたスタイリングは、直線基調の実にプレーンなものだった。バックドアは上下2分割で開く方式を採用、背面スペアタイヤキャリアはほとんどのグレードで標準装備し、薄いテンパータイヤをマウントしたタイプは、ライト感覚なこのクルマらしい装備だった。「FORZA」は外観が差別化され、傾斜を付けたリヤウインドゥと専用のリヤクォーターまわりが特徴だった。

インテリアも実にクリーンなものだった。インパネは横一直線で仕上げたアッパーフェイシアをもち、丸型メーター、空調スイッチ、ラジオ類を配置。外観同様に、いたずらに遊んだデザインでおはなく、昔ながらのクルマの雰囲気を再現したような、しかも潔い道具感が心地よさをもっていて、スタイリング上、天地の余裕こそ控えめだったが、キャラクター同様の穏やかな乗り味が楽しめるクルマだった。

日産ラシーン(1994年)日産ラシーン(1994年)

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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