【ホンダ アフリカツイン1100 試乗】日本に合った大排気量アドベンチャー…青木タカオ

ホンダ アフリカツイン 新型(CRF1100L Africa Twin)
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ホンダ・アドベンチャーの雄『Africa Twin(アフリカツイン)』が新しくなった。998ccだった排気量を1082ccに拡大し、最高出力7%(95→102PS)、最大トルクを6%(10.1→10.7kg-m)アップ。

にも関わらず、車両重量はMT車、DCT仕様ともに4kg減、ツーリング仕様の「アドベンチャースポーツ」でも2~5kgマイナスとなっているから驚く。

2016年発売の『CRF1000Lアフリカツイン』に続き、メディア向け試乗会はモトクロスコースであるモトスポーツランドしどき(福島県いわき市)で開かれた。ホンダ開発陣のオフロード走破力への自信を感じる強気のコース設定だ。ワクワクしてくるではないか。

開発責任者は当初、排気量拡大に反対だった!?

ホンダ アフリカツイン 新型(CRF1100L Africa Twin)
走行前に開発責任者の森田健二さんに新型開発におけるポイントを教えてもらうが、じつは森田さん、開発初期段階では排気量アップに反対だったというから興味深い。

「出力は上がるものの、重くなってしまうのではないかと懸念しました。重量というのは運動性能に大きな影響を与えるので、重くなるのなら出力アップを求める必要はないと思ったのです。しかし検討を重ねていくと、排気量を拡大しても軽くできるという見通しが立ったので、排気量アップへと踏み切ったのでした」(森田さん)

新開発したユニカムトレインの水冷4ストロークSOHC4バルブ直列2気筒エンジンは、スリーブシリンダーのアルミ化、静粛性のためのサブギヤ廃止、クラッチ小型化などによってパワーユニット単体で、MT車2.5kg減、DCT仕様でも2.2kgマイナスを実現している。

大排気量アドベンチャーでこんなにも足着き性が良いなんて!!

ホンダ アフリカツイン 新型(CRF1100L Africa Twin)
跨って感じるのは、拍子抜けするぐらいに足着き性が良いこと。シート高は830mmとローポジションの810mmが選択可能で、後者にすると身長175cmの筆者の場合、カカトまでベッタリ地面に届く。オーバーリッタークラスのアドベンチャーバイクで、この安心感は驚異的と言っていい。

乗るとき、どんなに慣れたライダーでも多少なりとも気を引き締める必要があるのがこのカテゴリーのバイクだが、これならちょっとコンビニへと気負わず乗れてしまうだろう。さらにオプションで、785mmのローシートも用意されているから、乗り手が体格で断念するというのは、もはや新型アフリカツインでは解消されたかもしれない。

足着き性の良さは、前後サスペンションのストローク量を先発する日本仕様ではフロント230→185mm、リヤ220→180mmとしている部分ももちろん大きいが、そもそもシートレールの幅とシート下部断面幅を20mm狭くしたことも影響している。こうした努力には拍手を贈りたい。

要望に応えてくれるクレバーなライディングモード

ホンダ アフリカツイン 新型(CRF1100L Africa Twin)
海外向けと同じロングサスバージョンも国内での発売を決定済みなので、フルストローク仕様でガンガン走りたい人はそちらも選べる。これは朗報だ。

先行する国内向けでオフロードコースを走ると、跨ったときの安心感がそのままダートでも感じることができた。少し雨が降って走りやすくなったサンド質のコースでは、低重心の車体が絶えず落ち着いていて、コーナーでもトラクションに優れ、フロントからスリップダウンしてしまうという気配すらない。

あまりにも安定して何も起こらないので、もっとエンジンのピックアップを鋭くしたくなる。もっともっと行けると感じるのだ。そこでライディングモードの出番。予め設定されているのは下記の通り4つのモードと、ユーザー自身で決める2つのモード。しどきのコースに入るときは、グラベルモードが選択されていた。

TOURモード=荷物を満載した長距離ツーリングなどを想定したモード。荷物満載時でも力強く加速する。
URBANモード=幅広いライディングニーズに対応したモード。
GRAVELモード=条件の悪い路面でも安心快適に走行するモード。フラットなダート走行に向く。
OFFROADモード=悪路走行を楽しみたい時に選択。本格的なオフロード走行が可能。
USER1モード=自分の好みのモード設定を記憶させることが可能。
USER2モード=USER1モードの他、更に1モード好みのモード設定が可能。

グラベルモードとオフロードモードを試したが、いずれも出力特性がマイルドに設定されているので、ここを自分で最強の「1」にし直す。すると、ヒット感の欲しいところでしっかりトルクが立ち上がり、コントロールしやすくなった。

積極的に体を使って乗りたい人は、こうしてライディングモードをどんどんイジって自分好みに調整できるし、オフロードビギナーも最新の6軸IMUが搭載され電子制御が飛躍的に進化したことで、バイク任せにしておけば挙動が安定し、イージーにダート走行が楽しめるはず。設定は簡単で、ハンドル左にあるスイッチで直感的にできる。

もはやMTには戻れない、DCTのイージーさ

筆者・青木タカオそして開発責任者の森田健二さん(写真右)とテスト領域責任者である田中幹二さん(写真左)。
今回はまず『CRF1100L Africa Twin』のMT車とDCT仕様をオフロードコースで乗ったが、快適で疲れにくく、しかもタイムロスがないのはDCT仕様のように感じた。特にタイトコーナーではクラッチ操作の要らないDCTの恩恵は大きく、微妙なアクセル操作とバランス取りだけに乗り手が集中していられるのは、とても大きなアドバンテージとなる。

そして抜群の足着き性が、こうした低速コーナーでまた強みになった。悪路の不安定な場所を停まってしまうかのような速度で旋回するとき、いつでも足を着いて車体を支えたいが、そんなときもすぐさましっかりと足が地面に届くというのは、非常にありがたいことなのだ。

濡れてスリッピーな舗装やグラベルも混ざる林道も走ったが、狭く細い道でのUターンもしやすく、日本の道に合ったアドベンチャーだと感じた。そして小柄な人も身長の高い人も安心して乗れるという、欧州のライバル勢とは少しアプローチの異なった国産車らしい扱いやすさが、新型アフリカツインは際立っている。

■5つ星評価
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
コンフォート:★★★★★
足着き:★★★★★
オススメ度:★★★★★

青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

《青木タカオ》

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