横浜ゴム、人気市場にアフター新製品投入…SUVタイヤ・オールシーズンタイヤ

横浜ゴム新製品発表会
横浜ゴム新製品発表会全 20 枚

ミニバンと軽しか売れない日本市場。各社のラインナップが似たようなCVT+HV車ばかりになり、日本カーオブザイヤーも連続して(第38回、第39回。12月の発表は第40回)輸入車に持っていかれている状態だ。

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過去2回は、有力候補がスキャンダルでノミネート辞退という背景はあるにせよ、業界100年の変革といっても、改革や変化を活かすより、どうやり過ごすかだけを考えていないか、という気持ちになる。

売れる車やニーズのある車に注力するのは間違っていないが、その視点だけでやっているから市場が縮小していくという見方は成立しないのか? テスラ『サイバートラック』のデザインや割れたガラスなどにツッコミを入れている場合ではない。予約とはいえ3日で20万台という数字、同じテスラの『モデル3』の各国イヤーカー受賞(スイス、デンマーク、ノルウェーなど)の意味を考えてみるべきではないのか。

とはいえ日本メーカーが何もしていないというわけでもない。ミニバンと軽の牙城に、マツダは大胆なラインナップの整理でクロスオーバーSUVの市場を再び切り開いた。トヨタが『RAV4』をほぼ新型として復活させてくるくらいだ。マツダとしては寝た子(親?)を起こしてしまった感があるが、市場に選択肢が増えることは、複数の意味でメーカー・消費者双方にとって望ましいことではある。

新しい市場に賑わうのは、OEMだけでない。サプライヤーやアフターマーケットも動き出す。これでこそ市場経済であり業界の活性化につながるものだ。

と、ここで記事タイトルの横浜ゴムの発表会につながるわけだが、5日、同社はクロスオーバーSUV用のタイヤと、もうひとつの隠れた市場、オールシーズンタイヤへの製品投入を発表した。クロスオーバーSUV用のタイヤは「BlueEarth-XT AE61」「GEOLANDAR CV G058」の2種。オールシーズンタイヤは、「BlueEarth-4S AW21」だ。

AE61は、アウトドア活用などはあるものの街乗りメインで普段の買い物や送迎にも使うSUVを意識たサマータイヤだ。乗り心地や静粛性、ライフなどに寄せた性能が特徴だ。高速道路での安定性と、シャープなコーナリングをを実現するため、トレッド面の3本の高剛性センターリブが直進安定性を高める。非対称かつ非貫通グルーブ・非貫通サイプがショルダー部のヨレ、たわみを抑え、スムースなコーナリング、レーンチェンジのヨレを低減する。

非貫通グルーブ・サイプは、静粛性にも貢献する。グルーブやサイプが貫通していなければ分断されたブロックが少なくなりノイズを抑えることができる。さらに、横方向のサイプの間隔を不等長にすることで、舗装路面でのノイズを打ち消すようにもしている。

AE61は、ドライ制動、ウェット制動、ウェット旋回、パターンノイズ、転がり抵抗などのパフォーマンスで従来モデルのG055を上回っている。G055はM+SタイヤだがAE61はトレッドパターンをみてわかるとおりサマータイヤだ。このセグメントは横浜ゴムとしては新しい製品ラインナップとなり、急拡大するSUV市場のリプレースタイヤを狙う。

もうひとつの新発表タイヤGEOLANDAR CV G058は、G055の正統派後継タイヤという市場ポジションになる。クロスオーバーSUVのロングツーリングを支えるM+Sタイヤだ。G055を進化させるにあたって、主な改良ポイントはノイズ低減、乗り心地の向上、ウェット性能の向上だ。

G055のユーザーは、長距離ドライブやアウトドアなどを楽しむ層がターゲットとなるが、アンケート調査によると、そのような層もM+Sタイヤに求める性能は、一般の乗用車タイヤのニーズと大きくかわらないという。ブレーキ性能・ウェット性能、燃費や乗り心地などだ。G058は、M+Sタイヤの弱点を解消する方区で開発が進められた。

発表の最後は、オールシーズンタイヤだ。オールシーズンタイヤは、国内ではグッドイヤーが切り開いた市場だ。国内では、スパイクタイヤ規制のあと長い間スタッドレスタイヤが冬タイヤの代表となっている。しかし、北米ではむしろオールシーズンタイヤが標準的なタイヤといっていい。ヨーロッパでも少し前から市場が広がっている。2010年におよそ300万本だったオールシーズンタイヤの需要は、2017年には1500万本と、じつに5倍に拡大している。

日本でも関東以西の地域では、年間の降雪は数えるレベルだったりする。横浜ゴムの調査では、年間の積雪路での走行日数は、関東以西では0日から4日という層が93%と圧倒的だ。3日か4日のためにタイヤ交換を行い、3か月から半年近く装着し、保管場所をふくめて2種類のタイヤをメンテナンスしなければならない。と考えると、オールシーズンタイヤの有効性は理解できる。本格的な雪道や凍結路面では使えないかもしれないが、突然の雪、出先での天候急変などへの対応は確実に楽になる。

こんな合理的な判断をする消費者が増え、オールシーズンタイヤは日本にも一定数の支持者が増えている。

ただ、横浜ゴムは、この分野では業界の後発といえる。複数社が市場展開をしている中、開発陣は、既存のオールシーズンタイヤで比較的弱点とされる圧雪・シャーベット路面を含む雪道性能にこだわったという。なお、国内では後発メーカーとなるが、ヨーロッパではすでにオールシーズンタイヤを市場投入している。ヨーロッパ(EU)のM+Sタイヤは、雪道への対応や性能がメーカーごとにばらばらだったが、スノーフレークマークの導入で、雪道性能の基準を明確化したところ、M+S+スノーフレークタイヤ=夏でも使えるM+Sタイヤが普及しはじめている。

どういう使い分けができるのかは、路面状態や路面温度で考えるとわかりやすいと横浜ゴム担当者はいう。路面を乾いた凍結路面(ー6度)、濡れた凍結路面、圧雪からシャーベット路面(0度)、ウェット路面、ドライとわけたとする。スタッドレスのiceGUARD6は乾いた凍結路面から圧雪・シャーベット路面までをカバーする。一般的なサマータイヤは当然ドライとウェットまでだ。BlueEarth-4Sは、路面温度0度あたりの圧雪・シャーベット路面からドライまでをカバーできる。

スノーフレークマークがついていても、M+Sタイヤ、オールシーズンタイヤは、積雪地帯から見ればサマータイヤだ。このような地域や利用用途によっては、依然としてスタッドレスの有用性や活躍場面はかわらない。しかし、首都圏などはオールシーズンタイヤ+チェーンというスタイルが広がるかもしれない。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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