ゴードン・マレーの新型スーパーカー『T.50』、直径400mmの「ファン」装着…デザイン発表

マクラーレF1と同じ3シーター

980kgの軽量ボディ

6種類のエアロモード

電気的ブーストで最大出力700hpに

ゴードン・マレー・オートモーティブ T.50
ゴードン・マレー・オートモーティブ T.50全 7 枚

デザイナーのゴードン・マレー氏が率いるゴードン・マレー・オートモーティブは12月10日、第1号車となる新型スーパーカー、『T.50』(GORDON MURRAY T.50)のデザインを発表した。F1の「レーシング・ポイント」と提携し、空力性能を開発している。

ゴードン・マレー氏は、1992年に発表されたマクラーレン『F1』のデザインを担当したことで知られる。同車は、F1のマクラーレンと同じグループ会社、英国のマクラーレンオートモーティブが、F1参戦から得たノウハウを導入して開発したスーパーカーだった。

マクラーレンF1は、BMW製の6.1リットルV型12気筒ガソリンエンジン(最大出力627ps)をミッドシップに搭載していた。カーボンやアルミをふんだんに使用したボディは、わずか1140kgという軽量さで、最高速は391km/hと、まさに「ロードゴーイングF1」と呼ぶにふさわしい性能を誇った。

マクラーレンF1と同じ3シーター

T.50は、ゴードン・マレー・オートモーティブの第1号車となる新型スーパーカーだ。車名の「50」とは、ゴードン・マレー氏の自動車デザイン、エンジニアリング、モータースポーツにおけるキャリアが50周年を迎えたことを意味している。

T.50のボディサイズは全長4380mm、全幅1850mmだ。ポルシェ『911』よりも小さい2ドアのグランドツアラースーパーカーになる。マクラーレF1同様、運転席と、そのやや後方に2座席を設置する3シートレイアウトを採用する。

980kgの軽量ボディ

T.50には、独自設計のカーボンファイバー製モノコックを採用する。ボディパネルもカーボンファイバー製だ。ブレーキもカーボンセラミックとした。すべての部品の重量を最小限に抑えることに重点を置いた軽量化戦略により、車両重量は1トンを下回り、980kgに抑えられる。ゴードン・マレー・デザインによると、他のスーパーカーよりも、圧倒的に軽量という。

T.50では、最も先進的なエアロダイナミクス性能を追求する。そのひとつの例が、車体後部に装着される直径400mmの「ファン」だ。これは、ゴードン・マレー氏がかつて設計したF1マシン、ブラバム「BT46B」(通称:ファンカー)のアイデア。大型のファンを回転させることにより、フロア下の空気を強制的に後方へ吸い出し、強力なダウンフォースを生み出す。1978年のF1スウェーデンGPに初投入されたブラバムBT46Bは、ニキ・ラウダが操り、いきなりの優勝を成し遂げた。しかし、ブラバムBT46Bは、この優勝限りでF1参戦を禁じられ、伝説のF1マシンの1台となった。ブラバムBT46B(1978年F1スウェーデンGP)ブラバムBT46B(1978年F1スウェーデンGP)

6種類のエアロモード

T.50のファンは、可変式の車体下部ダクトとリアウイングを組み合わせることにより、6つの異なるエアロモードが切り替わる。

通常走行の「オートモード」では、速度とドライバーの操作に応じて、リアウイング、ファン、アンダーボディディフューザーを最適化する。高レベルの減速が必要な場合、「ブレーキモード」に切り替わり、リアウイングを自動的に展開し、ファンを高速回転させる。これにより、ダウンフォースが2倍になり、安定性とグリップを向上。240km/hからのブレーキでは、制動距離を10m短縮できるという。

他の4つのエアロモードは、ドライバーが選択可能だ。 「ハイダウンフォースモード」はトラクションを強化する。ファンとウイングが連携してダウンフォースを30%増加させる。「流線型モード」では、抗力を10%削減し、直線での速度を向上させると同時に、燃費とダウンフォースを抑える。このモードでは、アンダーボディダクトが閉じられ、ファンが高速で作動する。「仮想ロングテール」状態を作り出すという。

電気的ブーストで最大出力700hpに

ミッドシップに搭載されるのは、コスワースと共同開発される排気量4.0リットル(3980cc)のV型12気筒ガソリン自然吸気エンジンだ。最大出力は650hp、最大トルクは45.9kgmを引き出す。このV12は、1万2100rpmまで回る高回転域志向のエンジンとなる。トランスミッションは英国のXtrac製の6速MTを組み合わせる。シフトは「Hパターン」。多くのスーパーカーが採用するデュアルクラッチは、あえて採用していないという。

「Vmaxモード」では、最大出力は700hpに引き上げられる。T.50には「ISG」(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)と呼ばれる48ボルトのマイルドハイブリッドシステムが搭載される。Vmaxモードは、48ボルトのスタータージェネレーターからの電力により、最大3分間、追加ブーストが得られるモードだ。

T.50は、税抜きで200万ポンド(約2億7500万円)以上の価格で、2022年1月から限定100台の納車を開始する計画だ。生産は英国で行い、パワートレイン、ボディ、シャシーなどの主要部品も英国製となる。

《森脇稔》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. 日産が新型ミニバン『タウンスター・エバリア』を欧州発表…EVも設定
  2. 高速道路料金も「変動制」導入、来年度から全国的に順次拡大[新聞ウォッチ]
  3. 三菱『デリカD:5』ついにフルモデルチェンジへ! 車名は「D:6」!? 2025年内発表か
  4. [VW ゴルフ 50周年]重量増加スパイラルに逆行した第7世代
  5. [音響機材・チョイスの勘どころ]サブウーファー・国産ブランド…小型・薄型モデルのトレンドを分析!
  6. トヨタ『カムリ』新型...ベストセラーはどこが新しくなったか?[詳細画像]
  7. トヨタ『4ランナー』新型...最新技術と高い耐久性の両立[詳細画像]
  8. メルセデスベンツ『CLE カブリオレ』に「AMG 53」、電動ターボで449馬力
  9. ちょっと待った! 自動車税の支払い…キャンペーンやポイントがつく支払い方法で
  10. 【ジープ ラングラー 4xe 新型試乗】ラングラーがまぁ静かになっちゃって…中村孝仁
ランキングをもっと見る