【トヨタ カローラ 新型試乗】経済性だけがウリのカローラではない…木下隆之

カローラスポーツから投入した理由とは…

新プラットフォーム採用の恩恵は至るところに

トヨタ カローラ 新型
トヨタ カローラ 新型全 12 枚

カローラスポーツから投入した理由とは…

現行の『カローラ』がデビューしたのは2018年6月。だがその時にはフルラインナップでなく、『カローラスポーツ』を名乗るハッチバックのみの登場に驚かされた。国民車とも言える日本を代表する大衆車なのに、いきなり「スポーツ」から遡求にトヨタの真意を掴みそこねた。環境性能や経済性が大衆車カローラの最大の特徴だと理解していただけに、思わぬ販売戦略に頭を振ったのである。

そんなカローラに『カローラセダン』と『カローラツーリング』が登場。ようやく大衆車カローラの本来のラインナップになったのである。ちなみに、「スポーツ」を先行デビューさせ、中核となる「カローラセダン」と「カローラツーリング」を後発でくわえた理由はふたつ。

トヨタ カローラ 新型トヨタ カローラ 新型
カローラほどの大量生産が期待されるモデルは、プロダクト計画が困難である。世界戦略車であるから、どの工場のどのラインでどう流すか…の調整に時間を要した。それがハッチバックからの市場投入になったという点が一つ。

もう一つは、「カローラは変わった」を印象つけるためだ。大衆車カローラは、以前の経済性だけがウリのカローラではなく、昭和のカローラがそうであったように、走りの確かさ訴求したいと考えたのである。

新プラットフォーム採用の恩恵は至るところに

トヨタ カローラ 新型トヨタ カローラ 新型
新型には、1.8リットルハイブリッドを中心に、1.2リットルターボモデルをラインナップしている。だが、最大の注目点は、TNGAプラットフォームを採用したことだ。これからのトヨタの主流シャシーとなるそれは、エンジンを低い位置に、しかも重心点に寄せた位置に搭載可能だ。ワイドなスタンスでもある。つまり、フットワークが整ったのである。

FFモデル特有の、旋回挙動の悪さは感じない。軽快なハンドリングを得ている。「スポーツ」をラインナップに加えたのは、販売戦略上の理由だけではなく、結果的に走りがよく仕上がったからの副産物ではないかと想像したくなるほど、走りが整っていた。

トヨタ カローラ 新型トヨタ カローラ 新型
ただし、乗り心地を犠牲にしてまでのフットワークではない。むしろその逆で、TNGAプラットフォームを採用したことで、乗り心地が良くなった。足回りを固めずにフットワークが改善されたことで、その余裕を乗り心地に振り分けることが可能になったのだ。

トヨタの言葉を借りれば「直結性」だという。路面からの突き上げをいなしながらも、ステアリングからタイヤまでに介在する関節部部分の結合性を上げ、反応に鈍さを減らすことに成功したというのだ。

なるほど、首都高速といった複雑に入り組んだ中速コースの周回でも、動きは安定している。車線変更が楽に行なえる。

トヨタ カローラツーリングトヨタ カローラツーリング

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

木下隆之|モータージャーナリスト
プロレーシングドライバーにして、大のクルマ好き。全日本GT選手権を始め、海外のレースでも大活躍。一方でカー・オブ・ザ・イヤー選考委員歴は長い。『ジェイズな奴ら』を上梓するなど、作家の肩書きも。 

《木下隆之》

木下隆之

学生時代からモータースポーツをはじめ、出版社・編集部勤務を経て独立。クルマ好きの感動、思いを読者に伝えようとする。短編小説『ジェイズな奴ら』も上梓。日本・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。「心躍るモデルに高得点を与えるつもり」。海外レース経験も豊富で、ライフワークとしているニュルブルクリンク24時間レースにおいては、日本人最高位(総合5位)と最多出場記録を更新中。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「ミニGSX-R」をスズキがサプライズ発表!? 鈴鹿8耐マシン以上に「サステナブルかもしれない」理由とは
  2. 車検NGの落とし穴!? シート交換で絶対に知っておくべき新ルール~カスタムHOW TO~
  3. “プチカスタム”でサマードライブの楽しさをブーストアップ![特選カーアクセサリー名鑑]
  4. メルセデスベンツ車だけに特化!走りを静かにする「調音施工」認定店が埼玉県三郷市にオープン
  5. トヨタの大型ピックアップトラックの逆輸入に期待? 新型発表に日本のファンも熱視線
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
ランキングをもっと見る