2019年自動車業界ニュース総まとめ その1…あおり運転と高齢ドライバーの暴走

新元号は「令和」に。 《photo (c) Getty Images》
新元号は「令和」に。 《photo (c) Getty Images》全 3 枚

西暦の「2019年」というよりも、30年余り続いた激動の平成時代から5月1日には新元号に代替わりして、その「令和元年」の8か月が幕を閉じる。

読売が年末に募集した「2019年読者が選んだ日本10大ニュース」(掲載日12月21日朝刊)によると、1位は「天皇陛下が即位。『令和』に改元」。2位が「ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会開幕、日本8強」、3位は「京都アニメーション放火、36人死亡」、4位が「消費税率10%スタート」。そして5位には「東日本で台風大雨被害、死者相次ぐ」の順だった。

紙面にはベスト30位までのタイトルが載っていたが、「ノーベル化学賞に吉野彰氏」(6位)や「ゴルフ・渋野日向子が全英女子優勝」(8位)、「テニス・大坂なおみが全豪オープンV」(13位)などのうれしい話題よりも、どちらかといえば社会面などにひんぱんに取り上げられた残忍な暗い出来事のほうが際立つ。他人の不幸は蜜の味ともいわれているが、社会面を賑わすニュースのほうがそれだけインパクトが強烈で、年間を通しても鮮明に脳裏に焼き付いているようだ。

社会問題化した「あおり運転」と高齢ドライバーの「暴走事故」

そんな喜怒哀楽が混在したご時世の1年だったが、今年の自動車業界を振り返ると、やはり、10大(重大)ニュースには、業界や企業などに激震が走ったあの事件や事故が浮かんでくる。

まず、大きな社会問題としてクローズアップされたのは、高齢ドライバ―による暴走事故である。4月に東京・池袋で旧通産省・工業技術院の元院長(当時87歳)が運転中に暴走事故を起こし、歩行者の母子2人が死亡、10人が負傷する大惨事となった。

その後もアクセルとブレーキの踏み間違い事故が多発していることから高齢ドライバーの自主的な「免許返納」が急増する一方で、警察庁も違反高齢者に免許更新時に実車試験を実施したり、衝突被害軽減ブレーキなどを搭載した「サポカー」限定免許の創設などを盛り込んだ道路交通法の改正も検討されている。早ければ年明けの通常国会にも改正案を提出し、2022年をめどに実施される見通しだ。

池袋の暴走事故では、ドライバーがキャリアと呼ばれる元高級官僚だったこともあり、事故直後には現行犯逮捕されなかったことから「上級国民」という言葉がインタネットで炎上。「免許返納」や所有から利用へとトヨタ自動車やボルボなどの輸入車でも新たな顧客獲得のために導入した月々の定額制サービス「サブスク(サブスクリプション)」などの単語とともに、今年の「2019年ユーキャン新語・流行語大賞」の候補にもノミネートされたほど。ちなみに、「池袋の暴走事故」は読売の10大ニュースでも11位となり、暴走事故にどう対処するのか、ドライバーや自動車メーカーなどに重い課題が投げかけられた。

また、クルマの運転事故や事件関連では「高速道で『あおり運転』、男を逮捕」も14位に選ばれた。40代の男が常磐自動車道であおり運転をした後、停車させて男性を殴りけがを負わせた事件だ。指名手配後に逮捕された容疑者の車に同乗していた女が、携帯で動画を撮影したことから、ワイドショーでも詳しく取り上げられて、あおり運転の危険な行為が改めて社会問題化された。

このため、政府も12月1日から施行された運転中にスマホなどを使用する「ながら運転」の厳罰化とともに、「あおり運転」についても、危険運転致死傷罪の適応拡大や免許取り消しの厳しい行政処分を科すなどの方針を打ち出した。もっとも、あおり運転の処分は車両の走行時の状況を記録するドライブレコーダー(ドラレコ)の映像で判断されるため、カーショップなどではドラレコの売上げが急増。製造元のカーナビ大手のJVCケンウッドなどメーカーに思わぬ特需があったようだ。
●社会問題化した「あおり運転」と高齢ドライバ
「ゴーン逮捕」で経営の混乱が続く日産の1年
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《福田俊之》

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