2019年自動車業界ニュース総まとめ その2…日産の混乱は足掛け3年に

内田新社長
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西暦の「2019年」、「令和元年」の8か月が幕を閉じる。「あおり運転」と高齢ドライバーの「暴走事故」が社会問題化し、ドラレコメーカーには特需があったようだ。

ただ、最近の自動車業界は、ドラレコ特需のような景気のいい話はほとんど見当たらない。国内の自動車メーカーでも2019年9月中間連結決算で売上高、純利益がそれぞれ過去最高を更新したトヨタ自動車を除くと軒並み苦戦している。

「ゴーン逮捕」で経営の混乱が続く日産の1年

業績が振るわない理由には、中国や東南アジアなど世界的に自動車市場が低迷している影響が大きいとみられるが、そればかりではなく各社が抱える“お家の事情”も拍車をかけているようだ。

たとえば、トヨタとともに高収益を維持してきたSUBARU(スバル)でも、2年前の2017年には完成検査不正という大問題を起こし、経営体制の刷新を迫られたが、今年に入ってからも品質管理の体制整備が追いつかず、主力の米国市場などで痛恨の大規模リコール(回収・無償修理)が発生。その費用は650億円にも膨らんだ。不正問題が発生する前まで10%を大きく上回っていた営業利益率は、ピーク時(過去最高は16年3月期の17.5%)の3分の1の5.9%まで低下、20年3月期見通しでも6.6%(当初8.1%予想)に下方修正した。

杜撰な検査不正の問題では、スズキも4月に国交省に報告書を提出して鈴木俊宏社長が謝罪会見を開いていたが、今年の自動車業界の10大/重大ニュースに「“お騒がせ企業”部門」の大賞を設けるならば、その上位を独占するほどの想像を絶する出来事が続出した日産自動車である。

昨年11月に金融商品取引法違反容疑などで会長だったカルロス・ゴーン被告の突然の逮捕劇から経営の混乱が続いて屋台骨が揺らいでしまった。振り返れば、「人質司法」などとの批判を浴びながらも、ゴーン被告が逮捕以来100日を超える長期勾留から保釈されたのは3月6日のこと。東京拘置所から作業服姿に変装してスズキの軽トラックに乗り込み、ようやく身柄の拘束を解かれた奇妙な光景は、拘置所前からテレビ各局も実況中継したほどで強く印象に残っている。

そのゴーン被告は1か月後に再び拘置所生活に戻ったが、4月8日に開かれた日産の臨時株主総会で取締役から解任。筆頭株主の仏ルノーのジャンドミニク・スナール会長を新たに取締役に選任するまでは、カラスが鳴かない日はあっても、「ゴーン事件」の関連記事が載らなかった日はなかったほどの凄まじい報道ぶりだった。

ところが、カリスマ経営者を追放しただけでは日産の経営の混乱は収まらなかった。今度は、ゴーン被告による会社の「私物化」を追及する急先鋒だった西川廣人社長兼CEO(最高経営責任者)の報酬不正問題が発覚。9月には辞任に追い込まれるという“おまけ”付き。

辞任後はCOO(最高執行責任者)の山内康裕氏が代表執行役として代行を務めていたが、役員人事を決めるために外部の有識者などで構成する新設の「指名委員会」は旧日商岩井(現双日)出身で日産の中国事業を統括する内田誠・専務執行役員を抜擢した。12月1日付で新社長に就任し、ゴーン前会長の逮捕から約1年が過ぎて、ようやく新体制が動き出した。

だが、西川前社長がやり残した宿題も山積しており、スタートボタンは押したものの、泥沼状態の悪路からの急発進である。まず、内田新体制が待ったなしで取り組む課題は、低迷する業績の立て直しだ。

19年9月中間決算は、本業のもうけを示す営業利益がわずか316億円(前年同期比85.0%減)、最終利益も653億円(同73.5%減)と、いずれも大幅減益となり、今期の業績見通しも下方修正している。ゴーン政権で進めた強引な販売拡大戦略のツケが回ったためで、主力の北米市場が苦戦し、台数を追うあまり採算性が悪化した。しかも、過剰な値引きでブランド価値が低下したことも大きな痛手となっている。

役員報酬などをめぐる不正が起きたことへの反省からガバナンス (企業統治)の改革やルノーとの資本関係の見直しも重要な課題だが、まずは足元の業績を回復させるには、20年度以降、ヒットする新型車をどれだけ世界市場に投入できかどうかに尽きるだろう。

そんな課題山積の日産だが、新体制が船出して1か月も過ぎないうちに、集団指導体制の一角を握っているナンバー3の関潤副COOが突如辞任を表明。指名委員会の任命責任も大きな問題として浮上するなど、経営の混乱ぶりは年明け以降もしばらく続きそうだ。

社会問題化した「あおり運転」と高齢ドライバー
●「ゴーン逮捕」で経営の混乱が続く日産の1年
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《福田俊之》

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