【メルセデスベンツ Gクラス 新型試乗】世界観に共感するなら一度所有してみても…九島辰也

外国人も驚く日本のGクラス人気

乗用車的なドライブフィールになった

この世界観に共感するなら

メルセデスベンツ Gクラス 新型
メルセデスベンツ Gクラス 新型全 16 枚

外国人も驚く日本のGクラス人気

「トーキョーにはなぜこんなにGヴァーゲンが走っている?」、とイタリア人のファッションデザイナーが驚いた日本の『Gクラス』人気。特に六本木周辺の港区あたりに多く生息していそうだ。信号待ちで目にするGクラスをたびたび目で追ってしまう。

そんな自分も例に漏れずかつて2002年型の5リットルV8エンジン搭載モデルを所有したことがある。若い頃からずっと憧れていたクルマだっただけに、今も思い入れは人一倍強い。

今回試乗したのはその最新型で昨年4月に追加された「G350d」である。エンジンは3リットル直6ディーゼルターボで、最高出力は286psを発揮する。先代の最後にV6のブルーテックと呼ばれるクリーンディーゼルが登場しているが、それとは別物だ。それよりもパワーで75ps、トルクで60Nm向上している。

乗用車的なドライブフィールになった

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走らせた印象だが、まず従来型と対比させるとその違いは大きくわかる。見た目は伝統を忠実に再現しているが、走りはかなり扱いやすい。トラック然としていたドライブフィールは乗用車的になり、乗り心地もよくなっている。

リアのリジッドアクスルが常にバタバタしていた従来型とは違い、路面状況によってはしっとりした角の丸い乗り味も感じられた。それにステアリングの正確性も上がったし、操作に対するクルマの挙動も安定している。重心は若干下がり、ロール角も少し抑えられるようになった。

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さらにトランスミッションのさらなる多段化も乗り向上に一役買っている。7速ATが9速になったことで、高速走行でのエンジン回転数が下がり、燃費がよくなりエンジン音も静かになった。きっとロングドライブで効果を発揮するであろう。排ガス規制をクリアするためにつくられた直6ターボディーゼルの恩恵は色々とありそうだ。この進化はユーザーにはありがたい。

ただ、それでいてアップライトなドライビングポジションはそのままだし、アイポイントの高さやブレーキやアクセルの重めの操作フィールはあまり変わらない。言うなれば「伝統の味」といった部分だ。中でも一番驚くのは、ドアを閉めたときのラッチの音とフィーリング。確か2年前の新型車の発表会でも言及されていたが、開発陣はそこに徹底的にこだわったようだ。

この世界観に共感するなら

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Gクラス以外のいまどきの高級SUVと比べると、走りも操作系も仕上がりは前時代的なのは否めない。そりゃそうだ。Gクラスの基本概念は1970年代のもの。低重心の堅牢なモノコックボディの1000万円級SUVとは比べ物にならない。このデザインや雰囲気にまったく興味のない方には、「こんな乗りにくいモノ、なぜ買うの?」と言われてしまいそうだ。

サイズもそう。4660mmの全長は良いとして、1975mmの全高は都心のカーライフでは色々と制限が付きまとう。この高さは一般的な個人所有車の概念を超えている。

それはともかく、Gクラスの持つこの世界観に共感する人は一度乗ることをお勧めする。男だったら憧れて当然のシロモノだ。それにこのクルマの持つ最大のメリットはリセールバリューの高さ。怖いもの見たさで一度所有しても大損にはならない特別な一台と言えそうだ。

メルセデスベンツ Gクラス 新型メルセデスベンツ Gクラス 新型

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★
オススメ度:★★★★

九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。『Car EX』(世界文化社刊)副編集長、『アメリカンSUV』(エイ出版社刊)編集長などを経験しフリーランスに。その後メンズ誌『LEON』(主婦と生活社 刊)副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

《九島辰也》

九島辰也

九島辰也|モータージャーナリスト 外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。

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