[サウンドチューニング 基礎編]車室内は音響特性が乱れる

クルマの中では“音響特性”が乱れがちとなる…。
クルマの中では“音響特性”が乱れがちとなる…。全 1 枚

クルマの中で良い音を楽しみたいと思ったとき、「サウンドチューニング機能」が頼りになる。その理由から操作方法までを解説しようと試みている当コーナー。まずは、「サウンドチューニング」が頼りになるそのワケを、じっくりと説明している。

今回は、車室内の「音響特性」について解説していく。

さて、カーオーディオはホームオーディオと比べて、“部屋”の音響特性の影響を受けやすい。ホームオーディオのリスニングルームはある程度の広さが確保されている場合が多く、そうであればリスナーは、スピーカーから放たれる直接音を多く聴ける。ゆえに、部屋の特性の影響は少なくてすむのだが、カーオーディオではそうはいかない。車室内が狭いので、音量を上げれば上げるほど、反射の影響が大きくなる。スピーカーから放たれる直接音よりもむしろ、反射音の方が多く耳に入ってくるという状況にもなりがちだ。

そうであると、いろいろと不都合なことも起こってくる。例えば、「反射するものの付帯音が乗る」という問題も発生する。例えばガラスに跳ね返った場合には、ガラス特有の響きも音に乗ってしまうのだ。少なからず音色が変わってしまうのである。

そしてさらには、「ピークやディップが発生する」という問題も起こり得る。“ピーク”とは、ある特定の周波数の音だけが増幅される現象のことを指し、“ディップ”とはその逆で、ある特定の周波数の音だけが減衰する現象のことを指す。

これらが引き起こされる理由はズバリ、「“定在波”が発生するから」、だ。

音は、水面を伝う“波紋”のように上下運動を繰り返しながら空気中を進んでいくのだが、その上下運動の1サイクルの長さは音程の高低によって変わってくる。高い音ほどその長さが短くなり低い音ほど長くなる。で、クルマの中には平行面(面と面とが平行に向き合っている場所)がいろいろ存在していて、その平行面の間では音が行ったり来たりを繰り返す。その行ったり来たりする平行面の距離と音波の長さがぴたりと合ってしまったすると、“定在波”という音響的にマイナスな現象が引き起こされるのだ。

なお、平行面の距離と音波の長さは、ジャストで合う場合もあれば、1/2、1/3というように、または2倍、3倍というように、約数、または倍数の関係でぴたりと合う場合も出てくる。そしてその合い方の違いによって“定在波”は、ときには“ピーク”を引き起こしときには“ディップ”を引き起こす。

このような特性の乱れが、カーオーディオでは至って簡単に発生する。しかし「サウンドチューニング機能」を駆使すると、それへの対処も可能となる、というわけなのだ。

今回はここまでとさせていただく。次回以降も、車内における音響的な不利要因についての解説を続行する。お楽しみに。

『ザ・サウンドチューニング』 第1章・基礎編 その3「車室内は音響特性が乱れる?」

《太田祥三》

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