ホンダエンジニアの想いが詰まったスポーツカー、シビック タイプR 改良新型…東京オートサロン2020[インタビュー]

本田技術研究所オートモビルセンター第11技術開発室開発戦略ブロック主任研究員の柿沼秀樹さん
本田技術研究所オートモビルセンター第11技術開発室開発戦略ブロック主任研究員の柿沼秀樹さん全 9 枚

ホンダは東京オートサロン2020にて、マイナーチェンジした『シビック』のハッチバックとセダンを発表。同時にサプライズでシビックタイプRを公開した。ハッチバックとセダンは1月23日より販売開始されるが、タイプRは夏ごろをめどに発売されるという。

まだ話せないけれど

本田技術研究所オートモビルセンター第11技術開発室開発戦略ブロック主任研究員の柿沼秀樹さんは、「タイプRなのでマイナーチェンジとはいえ、スポーツカーとしての進化を遂げるためにしっかりとやりきれるところをやりきった」と今回のマイナーチェンジに対しての意気込みを述べる。

しかしそのポイントについては、「正式発売まで時間があり、詳細についてはまだ話せない」としながらも、エクステリアでの現行の違いは、「ベース車両と同様にバンパーのデザインを変更し、ロー&ワイドでスポーツフィールを強調。見た目のスポーツ感を進化させた」という。

また、スポーツカーとしてのダイナミクスを上げるために、「エンジンの冷却性能をさらに進化させた」という。現行のフロントグリルは5ドアとタイプRは共通だったが、マイナーチェンジ後は、「(タイプRの)グリル上部の開口がかなり広がり、そこから空気をたくさん取り入れ、しっかりとエンジンを冷やす。その結果、タイプRの2リットルターボエンジンのパフォーマンスをより発揮出来るようアップデートした」と説明。

ブレーキも変更された。これまでフロントはブレンボ製ワンピース型ディスクブレーキだったものを「2ピースのフローティングタイプに変更。熱ダレ等によるブレーキフィールなどを大幅に改良し、タッチとともに、ハードな連続走行時でのタフネスさを大きく向上させた」とコメントした。ホンダ・シビックタイプRホンダ・シビックタイプR

やりたいからやった

このように走りに関して手が加えられていると当然ながらニュルブルクリンクのラップタイムが気になって来る。柿沼さんは、「他車がどうこうではなく、今回はデビュー後3年経過してのビッグマイナーチェンジなので、スポーツカーとしてのダイナミズムをしっかりと進化を図ることを目的としている。即ちタイプRでいえば、速さとクルマとしての基本性能の高さをより向上させた」と述べる。

その結果、「当然速さにも繋がり、お客様がサーキットに行かず普段乗りでも明らかに進化したと感じてもらえるよう、速さから乗り心地まで全ての領域でしっかりと開発した」と説明した。

柿沼さんは、「会社内でも何でそこまでやるんだといわれるが、自分たちがやりたいのだからやらせてくれと会社にいって進めた結果だ」と笑う。そして、「現行シビックとタイプRはともにしっかりと作りあげ、土台としてのポテンシャルの高さがある。そこに3年間という時間をかけて我々開発者がもっとこうしたい、もっと良くしたいという想いをマイナーチェンジ後の5ドアベースにさらに進化させたのが今回のマイナーチェンジだ」と話す。

また、「クルマ(の開発)は天井無しだと思う。従ってやれるところまでやりたい、やりたくてしょうがないというその気持ちをとにかく形にした。当然現行車はしっかりと開発した。そのうえでマイナーチェンジということで3年の期間、もっと“あれとこれとこれをやりたい”と押し進めた。このシビックタイプRは、ホンダのエンジニアたちの想いが詰まったスポーツカーだ」と語った。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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