28日、東京都港区のレクサス青山に小学生が招かれ、レクサスを組み立てている福岡県のトヨタ自動車九州の宮田工場の工場見学を行うというデジタル授業が開かれた。
子どものころに見学した工場の思い出はインパクトが強く、進路を左右することさえある。しかしそんな社会科見学は一日がかり。早朝に集合し、往復に時間をかけて移動する。
今回Lexus International(レクサス)は、ANA ホールディングス(ANA)と共同で、ANAが開発したアバターロボットをはじめとした映像通信デバイスを活用して、レクサス青山に居ながらにして、宮田工場を小学生に見学してもらうデジタル授業を実施した。
テレビ会議とは異なり、遠隔地との1対nでのインタラクティブなコミュニケーションを可能にするアバターロボット「newme(ニューミー)」を介して、実際に宮田工場の内部を巡るように見学した。
活発に質問する子供たち。宮田工場では限られた職人だけに許される手縫いの縫製工程や、防音のみならず、開閉動作音にもこだわって生産されているという、レクサスにふさわしいこだわりと品質管理なども紹介された。
見学の途中で子どもたちは、宮田工場職員の中でも、手縫い工程の担当者選抜テストで課せられる「左手だけで、折り紙で鬼を作る」といったタスクにチャレンジしたり、宮田工場に関するクイズに答えたり、約1時間ほどのプログラムを楽しく有意義に過ごしていた。
それを可能にしたのはANAホールディングスが開発したアバターロボット「newme」参加した子供の1人は「実際工場に行くと迫力もあるけれど、デジタル授業は、特徴や要点がわかりやすくまとまって学ぶことができたので、それぞれに良いところがあると感じました。海外の綺麗な風景に憧れがあるので、そうしたものが日本で見られたらいいなと思いました」と話していた。
また、アバターロボット「ニューミー」を開発したANAホールディングスの担当者は「春から本格的に事業化致しますが、今はこうして様々な活用を示し、反響を見たりしています。オリンピックまでに1000台の普及を目指します」と話していた。
工場見学で見たい場所もこちらで操作可能。参加者の小学生も、この操作体験も行った。エアラインが事業の柱のANAが、アバターロボットというバーチャル体験のための技術を推進する意図を聞いた。「リアルかバーチャルか、ではなく、一人でも多くの人が自由に羽ばたき、離れたところの課題を知り、距離に関係なく問題解決ができる仕組みであるという風に考えています。飛行機で出かけることが難しい人もいらっしゃいます。距離の壁を取り払う、という意味では、創業以来の私たちの願いでもあるのです」。
レクサスも自動車ビジネスの可能性を感じる取り組みができたと話す。「実際に小学生の皆さんを迎えて授業を行い、あんなに活発に質問も出て時間が足りなくなるほどとは、驚きました。クルマは移動手段、遠方への誘いは大切な要素です。クルマが生まれた九州の工場へ旅した気分になれる、素晴らしいことです」と振り返った。
単なる遠隔交流ではなく、居ながらいして、九州で知りたいことを知ることができる。今年から本格的に実用化する5Gによって医療など、様々な分野での応用が期待される。