【メルセデスベンツ Aクラスセダン 新型試乗】『190E』を思わせる身のこなし…島崎七生人

もっともコンパクトで、価格も身近なメルセデス・セダン

セダンらしい実用性がキッチリと構築されている

『190E』を思わせる身のこなし

メルセデスベンツ Aクラスセダン(A250 4MATIC)
メルセデスベンツ Aクラスセダン(A250 4MATIC)全 18 枚

もっともコンパクトで、価格も身近なメルセデス・セダン

1800mmの全幅と2730mmのホイールベース、915mmのフロントオーバーハングはハッチバックと共通。一方リヤオーバーハングは、独立したトランク分、セダンが130mmだけ長い。

『Cクラス』と較べると、全幅は同士の差は10mmに留まるが、全長は140mm短くホイールベースも110mm短い。最小回転半径も0.1m『Aクラスセダン』のほうが小さい。

何を言いたいのかもうお察しがつくと思うが、メルセデスベンツのセダンの中で文字通りもっともコンパクトで、価格も身近(試乗車の車両本体価格は485万円)なモデルが、このAクラスのセダンというわけだ。

セダンらしい実用性がキッチリと構築されている

メルセデスベンツ Aクラスセダン(A250 4MATIC)メルセデスベンツ Aクラスセダン(A250 4MATIC)
とはいえ“ハッチバックより130mmだけ長く『Cクラス』より140mmも短い”にもかかわらず、セダンらしい実用性がキッチリと構築されている点はさすがだ。クーペフォルムの『CLA』とは実は全高はほぼ同じでフォルムも似ている(全長と全幅はあちらのほうが豊かだ)が、そこはセダンと名乗るだけあり、居住性は工夫されている。

とくに後席はヒール段差(床から座面までの高さ)こそ低めだが、ルーフがしっかりと頭上後方まで延ばされ、頭が直射日光に晒される心配はない。幅広の後席センターアームレストに備わるカップホルダーも、ただ穴が開けられているのではなく、通常はビルトインしていて使用時に展開させて使う、メカニカルなパーツ点数を費やして作られたタイプ。

メルセデスベンツ Aクラスセダン(A250 4MATIC)メルセデスベンツ Aクラスセダン(A250 4MATIC)
他方で運転席まわりは最新のメルセデス流儀で、メーターと各種情報の表示部が繋がった横長でハイトが押えられたディスプレイ、丸型エアベントが並ぶ。短時間の試乗では駆使しきれなかったがステアリングにはタッチ操作方式のボタン、センターコンソールにはQi規格対応のワイヤレス充電機能も用意。全64色のアンビエントライトは、楽しむかどうかは個人の好み次第だが、先代Aクラスの5倍(!)の展開という。

『190E』を思わせる身のこなし

メルセデスベンツ Aクラスセダン(A250 4MATIC)メルセデスベンツ Aクラスセダン(A250 4MATIC)
試乗車「A250 4MATIC」は4気筒の2リットルガソリンターボ(224ps/35.7kgf・m)搭載の四輪駆動。今どきの流れからすると205/55タイヤがホッとさせてくれる普通の外観で、走りも穏やかさに終始するものだった。

ペダル操作とアクセル開度の関係は昔ながらのメルセデスベンツを思わせ、ジワッと踏み込むとジワッとクルマが動き出す出足の穏やかさがいい。とはいえ走り出せば、4MATICのしたたかな接地感と軽快なハンドリングで、1560kgの車重(前:940kg/後:620kg)ながらストレスなく走ることができる。7速ATは洗練された変速マナーで、100km/h時のエンジン回転は1500rpmを割り込み、高い快適性も確保している。

今はユーザー層が幅広くスポーティ領域にも踏み込んではいるものの、昔の『190E』を思わせる身のこなしと、アウディ『A3』セダンを意識したであろう扱いやすさが印象的だった。

メルセデスベンツ Aクラスセダン(A250 4MATIC)メルセデスベンツ Aクラスセダン(A250 4MATIC)

■5つ星表k
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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