【懐かしのカーカタログ】ショーモデルそのままに登場した初代 アウディ TT

初代アウディ TT のカタログ
初代アウディ TT のカタログ全 10 枚

昨年、デビュー20周年を迎えたアウディ『TT』。少し前にレスポンスでも貴重なレストア車の試乗レポートをお届けしたが、今回はカタログでその初代の存在感を振り返ってみたい。

ショーモデルそのままに登場した初代TT

初代アウディ TT のカタログ初代アウディ TT のカタログ
最初に『TT』が姿を現したのは1995年9月のIAA(フランクフルト・モーターショー)だった。実はまだこの時点ではショーモデル、だが市販車さながらの体裁のカタログが用意され、写真の1、2枚目はその中の2見開き分の外観を紹介したページのもの。

外観上、リヤクォーターウインドの有無が市販型との大きな違いだったが、あとはドアミラーのハウジング形状などディテールに僅かな差がある程度で、ルーフのシルエットはもちろん、全体のフォルムなど、ほとんど市販型同然だったことがわかる。

初代アウディ TT のカタログ初代アウディ TT のカタログ
ショーモデルのカタログにはボディサイズの記載もあったが、これも当時の『A3』がベースが前提だったため、市販型との差異はごく僅か。始めから周到に練られたスタイリングで、その狙いがほとんど誤差なく市販車で再現されていたことがわかる。

アルミパーツを多様したインテリアも『TT』ならではの世界観が繰り広げられいたが、ここのショーモデルと市販型の違いはごく僅か。パーツレベルで、空調ダイヤルが回転式(ショーモデル)かクリック式(市販型)か、とか、ドアトリムの形状に違いが見られる……そんな程度だ。

初代アウディ TT のカタログ初代アウディ TT のカタログ
筆者はショーモデルの室内に乗り込んだ経験はないが、市販型の、ドライバーズシートに着座すると頭上の丸いルーフが不思議と圧迫感のない、しかし『TT』ならではの包まれ感のある室内空間は、外観デザイン同様にショーモデル=市販型だったはずだ。ステアリングホイールは、カタログ写真を見る限り、ショーモデルは“偏心”タイプで、市販型はセンターパッドのデザインに共通性を持たせながらオーソドックスなタイプが与えられた。

「ロードスター」のお披露目は東京モーターショーだった

クーペとロードスターをラインアップ(2000年5月)クーペとロードスターをラインアップ(2000年5月)
ところで1995年には、初代『TT』ではクーペのショーモデルだけでなくロードスターも登場した。何と、クーペが登場した翌月の東京モーターショーがお披露目の場だったのである。

クーペがシルバーでクールなイメージだったのに対し、このロードスターはグレーのボディ色を纏い、“モカシン”と呼ぶ、野球のグローブをモチーフにした革のステッチがあしらわれたシートを採用。2座席の後方にはパイプ状のロールケージを装着したスタイリング。クーペのストイックなムードとはまたひと味違う、スポーツカーでありながら情緒も持ち合わせたクルマだった。クーペとロードスターが同時に掲載されたカタログは2000年5月のもの。

初代アウディ TT のカタログ初代アウディ TT のカタログ
ちなみに本稿のタイトル写真に写っているパンチングの表紙は、初代が日本デビューを果たした際に配布されたプレスキット。いかにもハイテックな『TT』らしいあしらいだった。

そして『TT』といえば外せないのが“バウハウス”。“形態は機能に従う”の哲学で知られるバウハウスと『TT』は、直接の関係はないそうだが、同じドイツの機能に根ざしたシンプルなデザインということでいえば、決して遠い存在ではないはずだ。そこでタイトル写真には、バウハウス由来のデザイナーが手がけたプロダクトとして、私物のLAMYのペン(2000)と、ブラウンの時計と計算機を写り込ませてみた。

アウディ TTクーペ 1.8T クワトロ(初代・フルレストア車両)アウディ TTクーペ 1.8T クワトロ(初代・フルレストア車両)

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 父親への贈り物に“16万針の刺繍”で飾ったロールスロイスを…世界に一台の『ファントム・ダンテル』公開
  2. 「これは欲しくなる!」ランチア『イプシロン』のスポーツグレード登場に日本のファンも注目
  3. 真夏のダッシュボードが20度以上低下!? 驚きの遮熱サンシェード新時代[特選カーアクセサリー名鑑]
  4. スバル唯一の海外工場、米SIAが生産600万台達成…今秋生産終了の『レガシィ』ラインオフ
  5. 大阪府警の白バイ、2025年度も「隼オイル」継続採用…過酷な環境でも安定した性能
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. リチウムイオン電池の寿命を2倍に、矢崎総業、バインダフリー電極材料を開発
  2. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  3. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  4. 栃木ホンダ販売、テラチャージの急速充電器設置…EV充電環境を強化
  5. コンチネンタル、EVモーター用の新センサー技術開発…精密な温度測定可能に
ランキングをもっと見る