「オート復帰もマッピングも早い」走るたびに自動運転AIプログラムを更新、埼玉工業大学レベル3自動運転バス

日野自動車『リエッセII』に自動運転AIと制御コンピュータ、制御装置を後付けした埼玉工業大学 自動運転バス
日野自動車『リエッセII』に自動運転AIと制御コンピュータ、制御装置を後付けした埼玉工業大学 自動運転バス全 19 枚

兵庫県佐用町や愛知県日間賀島などで実証実験を重ね、毎週どこかの公道でテスト走行している、埼玉工業大学の自動運転バス。2月7・8日には、横須賀リサーチパーク(YRP)スカモビで来場者たちを乗せて公道をデモ走行。また新たな進化をみせ、試乗体験者たちを驚かせた。

埼玉工業大学の自動運転バスは、日野自動車『リエッセII』市販モデルに、埼玉工業大学がマイクロバスむけに新たに設計・開発した接続マイコン、自動運転AI(AI Pilot / Autoware)を実装した、後付けタイプのレベル3自動運転バス。ジョイスティック運転システムも装備する。

今回、スカモビ(ヨコスカ×スマートモビリティ・チャレンジ2020)では「大学でのAI人材育成にむけた生きた教材」の事例として埼玉工業大学の自動運転バスを展示。埼玉工業大学工学部情報システム学科 渡部大志教授(埼玉工業大学自動運転技術開発センター長)と2名の同大研究者が同乗し、走りながら自動運転AIのプログラミングを更新させ、リアルタイムで進化させている現場をみせてくれた。

LiDARとオドメトリ(自己位置推定)、GNSS(GPS)とジャイロに加え、このスカモビで新たに搭載しテストしたのが、後付けできる衝突防止補助システム「モービルアイ」。Autoware のプログラミング入力枠に、左右の白線との距離を設定する数値を入力し、その白線と実車との距離をリアルタイムで測りながら走る。設定した数値内から外れると、フェイルセーフで手動運転に切り替わる。

「障害物に対する自動ブレーキングは、LiDAR、モービルアイ、カメラと、3つの目で分類・トラッキング・検知して実行される。こうした実証実験では、2名の研究者といっしょに自動運転AIプログラムを更新しているところ。障害物をどのぐらいの精度でトラッキングできるか、どこまで精度を高められるかが、混在交通のなかでの自動運転でカギになってくる」(渡部教授)

短時間でマッピング、手動から自動への復帰も瞬時に

日野自動車『リエッセII』に自動運転AIと制御コンピュータ、制御装置を後付けした埼玉工業大学 自動運転バス日野自動車『リエッセII』に自動運転AIと制御コンピュータ、制御装置を後付けした埼玉工業大学 自動運転バス走るたびに自動運転AIプログラムやパラメータが更新されることから、午前と午後で走りが変わっていることにも気づく。初回と最終回に試乗した関係者は「朝よりも最終回のほうがなめらかで、かつ勢いよく走っているのが乗ってみてわかった」と話していた。

この埼玉工業大学の自動運転システム後付け版レベル3自動運転バスのもうひとつの特長は、運転手が操作に介入し、再び自動運転に復帰するまでの時間が極めて短い点。

たとえば、路上駐車するクルマを運転手が手動で回避するシーンでは、その路上駐車しているクルマを追い越し終えた時点で、ハンドルとペダルから手足を話すとすぐに自動運転に復帰する。歩道をまたいで駐車場に入る場合も、歩行者の存在に気づいた運転手が歩道手前で軽くブレーキを踏んで歩行者の有無が確認できるとたちまちオートに戻って駐車場へと入っていく。

今回のスカモビでは、群馬大学次世代モビリティ社会実装センターが保有する日野『ポンチョ』ベースのレベル2自動運転バスも展示。走行ルートは、京急線野比駅からYRP光の丘まで2.5kmの公道を自動で走行。「下り坂でポンピングブレーキを自動で作動させるプログラムのなかで、どうしても急制動になりがち。そのチューニングに時間を要した」と担当者。

埼玉工業大学のレベル3自動運転バスも同様に、ぎくしゃくした動きを解消しいかになめらかに走らせるかも課題のひとつ。また、スカモビ運営者から急遽、自動運転コースの変更を打診されたさいも、マッピング(経路入力)を2時間ほどで完了させ、午後は午前と違うコースを自動で走ってみせ、来場者を驚かせていた。

「埼玉工業大学の生きた教材」として生まれ、走るたびに進化していくこの自動運転システム後付け版レベル3自動運転バスは、全国の路線バス事業者から注目を集めている。新年度も、全国各地で予定されている複数の実証実験に、路線バス事業者といっしょに参画していくという。日野自動車『リエッセII』に自動運転AIと制御コンピュータ、制御装置を後付けした埼玉工業大学 自動運転バス日野自動車『リエッセII』に自動運転AIと制御コンピュータ、制御装置を後付けした埼玉工業大学 自動運転バス

《レスポンス編集部》

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