運賃値上げはあったが、赤字額は減少傾向が続く…JR北海道の2019年度第3四半期実績

第3四半期も好調だった札幌圏の輸送。写真は函館本線江別駅で発車を待つ快速『いしかりライナー』。3月14日のダイヤ改正で消える。2020年2月11日。
第3四半期も好調だった札幌圏の輸送。写真は函館本線江別駅で発車を待つ快速『いしかりライナー』。3月14日のダイヤ改正で消える。2020年2月11日。全 2 枚

JR北海道は2月7日、「経営改善に関する取り組み」における2019年度第3四半期(3Q)の報告書をまとめた。

これは、2018年7月に国土交通大臣から受けた経営改善へ向けた監督命令に基づき、四半期ごとの施策の達成状況をまとめたもののひとつで、最終的な目標を数値で可視化した「Key Goal Indicator」(KGI)、KGIを達成するための経過における個々の目標を数値で可視化した「Key Performance Indicator」(KPI)という2つの指標が用いられている。

達成状況の概要によると、北海道新幹線については、青函間を重点にしたキャンペーン効果や、ウェブサイト上での宣伝効果などもあり、利用人員がKPI(4100人/日)を100人上回ったものの、運輸収入は17.8億円としたKPIを0.3億円下回った。

インバウンド向けの企画切符「北海道レールパス」については、2019年11月にタイや中国からのLCC直行便が新たに就航したことにより、前年度の実績を上回ったものの、アジア地域の情勢悪化の影響で、5.6億円としたKPIを0.2億円下回った。

関連事業ではホテル事業やJRタワーの運営で集客効果がありKPIを上回ったほか、コスト削減でもKGIを上回る節減額を確保するための新たな施策を掘り起こしたとしている。

一方、JR北海道単体の3Q決算(対前年度比)は、2019年10月に実施した運賃改定や北海道胆振東部地震からの復旧、新千歳空港アクセスを中心とした札幌圏における運輸収入の増加により、本業の儲けを示す営業収益が28億円増に。

本業の経費にあたる営業費用は、修繕費の上昇はあったものの、減価償却費の減少などにより3億円の増加に留まり、営業収益から営業費用を引いた営業利益は25億円増加している。

営業利益に、経営安定基金の運用益やグループ会社からの受取配当金を加味した経常利益は、基金の運用益減少はあったものの22億円改善し、赤字額が100億円を切った90億円となった。これに特別損益や法人税などを加味した最終的な利益である純利益は54億円増加し、単体でトータルの赤字額も100億円を切る88億円となった。この単体での実績はグループ全体の赤字額減少に寄与することになった。

第4四半期(4Q)では、札幌圏での空港アクセスやイベント輸送などによる運輸収入の増加、経営安定基金の運用益増加などが見込まれることから、3Q比ではインバウンド需要が減少するものの、通期での経常利益や純利益は改善が見込まれるとしている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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