4年前のスタッドレスでも新品同様に使える、のは本当か? 乗り比べてみた

保管タイヤの劣化は抑えることができる

新品スタッドレス vs 4年経過スタッドレス

太陽光に当てない、温度変化を少なくする

新品の「アイスガード6」(上)と4年経過したスタッドレスで制動距離の比較
新品の「アイスガード6」(上)と4年経過したスタッドレスで制動距離の比較全 9 枚

保管タイヤの劣化は抑えることができる

タイヤはたとえ全然走らなくても時が経過すれば、ゴムが硬化して性能低下をもたらす。今まではこれ、常識と考えていた。しかし、適切な保管さえしていれば、実は劣化は抑えられるというのである。

タイヤ公正取引協議会という会があり、この協議会の発表によれば適正な環境に保管されたタイヤであれば、2シーズン前のタイヤでも新品と同等の性能を保つことが確認されたとのこと。一体「適正な保管」がどういうものかはこの協議会の会員にならないと分からないが、少なくとも以前とは違い硬化しにくいゴムが開発されていて、性能が落ちないのだそうである。

今回ヨコハマタイヤで、新品の「アイスガード6」と、ラボで4年経過相当の状況を作り出したタイヤで、その氷上性能を比較するテストを体験した。クルマはトヨタの『カローラスポーツ』。ヨコハマタイヤ自慢の屋内氷板路で、20km/hからの制動テストでその距離の違いを体感しようというものだった。実際切り取ったゴム片を触らせてもらったが、新品と4年経過後相当では少なくともゴム質に関しては全く違わなかったというのが率直な印象である。

新品スタッドレス vs 4年経過スタッドレス

では実際に試乗するとどうか。そもそも20km/hピッタリに車速を合わせるのが難しく、3度のトライで最初の2回はおおよそ20km/h、最後の1回は30km/hまで車速を上げて試してみた。その結果、20km/hではほとんど体感的には差が無い。あっても精々1m程度の差である。

ヨコハマタイヤが提供してくれた写真を見ると、20km/hの制動距離はおおよそ5mほど。新品では5mを示すパイロンがフロントドアで止まったのに対し、4年経過相当ではリアドアにそれが移動するという程度である。これは実際に僕が体感した制動距離と変わらなかった。

一方で30km/hでの制動距離はヨコハマタイヤのテストでは驚くことにほぼ同等か、むしろ4年経過後の方が短い制動距離で止まっているのがわかる。しかし、これは自分が体感した制動距離とは違っていて、やはり4年経過の方がもっと長い制動距離を要した。とはいえ、たとえ4年が経過していても保管さえ適正ならば性能は確実に保たれるということがわかった。

太陽光に当てない、温度変化を少なくする

冒頭に記したタイヤ公正取引協議会ではこの内容(2年経過)をポスターにして広く訴求することにしているという。恐らくそこには保管方法なども書かれていると思うが、基本的にタイヤの保管は太陽光に当てないことが前提で、さらに温度変化が少なければなお良いと思える。タイヤ保管用のシートなども最近では販売されているから、最低でもそれを被せておけばだいぶ違うと思う。

というわけでスタッドレスタイヤでシーズン中に長距離を走るような人は自然とトレッドの溝の少なくなるから、性能というよりも寿命が短くなるだろうが、一般的なケースで4年後のタイヤでも十分機能することがわかった。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. 船上で水素を製造できる「エナジー・オブザーバー」が9年間の航海へ
  3. 最後のフォードエンジン搭載ケータハム、「セブン 310アンコール」発表
  4. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
  5. 高機能ヘルメットスタンド、梅雨・湿気から解放する乾燥ファン搭載でMakuake登場
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
ランキングをもっと見る