【ホンダ フィット 新型試乗】「クロスター」の柔軟な乗り心地は、e:HEVに合っている…渡辺陽一郎

ホンダ フィット 新型(クロスター)
ホンダ フィット 新型(クロスター)全 12 枚

2019年にホンダは日本国内で18万3000台のハイブリッド車を販売した。この台数は、国内で売られたホンダ製小型/普通乗用車の51%に相当する。ホンダはトヨタと同様、ハイブリッドに力を入れているメーカーだ。

ハイブリッドの機能も進化しており、特に注目されるのが新型『フィット』だろう。2010年に2代目フィットに設定されたハイブリッドはIMAと呼ばれる簡易型で、2013年登場の3代目では、スポーツハイブリッドi-DCDに進化した。さらに先ごろフルモデルチェンジを受けた4代目フィットでは「e:HEV」に発展している。

有段式ATのようなリアリティがある

ホンダ フィット 新型(クロスター)ホンダ フィット 新型(クロスター)
e:HEVの機能は、『ステップワゴン』や『インサイト』のタイプと基本的には共通だ。エンジンは主に発電機を作動させ、駆動は発電された電気を使ってモーターが行う。運転感覚は電気自動車に似ており、アクセル操作に対する反応が機敏で、動力性能をノーマルエンジンに当てはめると1.8~2リットルに相当する。加速は滑らかで、通常走行ではノイズも小さいから上質な走りを味わえる。

そしてアクセルペダルを深く踏んだ時は、有段式ATのように、エンジン回転が上下動を繰り返しながら速度を高めていく。エンジンは発電機を作動させ、駆動はモーターが受け持つから、エンジン回転数を上下動させる必然性はないが(むしろ燃費効率を悪化させる場合もある)、エンジンが一定回転で回り続けるとドライバーに違和感が生じやすい。そこで有段式ATのような演出を行う。この制御はリアリティがあり、実際に有段式AT車を運転している気分になれた。

「ホーム」「リュクス」「クロスター」で乗り心地に違い

ホンダ フィット 新型(LUXE)ホンダ フィット 新型(LUXE)
走行安定性もコンパクトカーとしては満足できる。カーブを曲がっている最中にデコボコを乗り越えた時など、先代型では突き上げ感が生じて進路も乱されたが、新型では解消された。

ただし「ホーム」や「リュクス」の場合、ノーマルエンジン搭載車に比べると、乗り心地は少し硬い。車両重量が約100kg重いために足まわりの設定が異なり、指定空気圧も前輪:240kPa/後輪:230kPaと高めになるからだ。

「クロスター」は同じ16インチタイヤでも185/60R16で、他グレードの185/55R16に比べると空気の充填量が多い。指定空気圧は220/210kPaに下がり、操舵に対する反応は穏やかだが、乗り心地は柔軟だ。

「クロスター」はe:HEVの運転感覚に合っている

ホンダ フィット 新型のハイブリッドエンジンホンダ フィット 新型のハイブリッドエンジン
ハイブリッドの売れ筋グレードは「ホーム」だが、16インチアルミホイールとホンダコネクト+ナビ装着用スペシャルパッケージを加えると、合計218万3500円になる。

そして「クロスター」は、これらのオプション装備を標準装着して、価格は228万8000円だ。つまり外観をSUV風に変更して最低地上高も高めながら、ホームと比べた時の価格上昇を約10万円に抑えた。「クロスター」の柔軟な乗り心地は、静かで滑らかなe:HEVの運転感覚に合っているから、積極的に検討したい。

ホンダ フィット 新型(クロスター)ホンダ フィット 新型(クロスター)

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト
1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

《渡辺陽一郎》

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト 1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

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