三菱ふそうeキャンターF-CELLを発表…ダイムラートラックはHVをパスしてEV/FCVへ

eキャンター F-CELL
eキャンター F-CELL全 13 枚

26日、三菱ふそうトラック・バスは、小型EVトラック「eキャンター」をベースとした燃料電池トラック「eキャンター F-CELL」と、同社が目指すCO2ニュートラル輸送への取り組みを発表した。

【写真】eキャンター F-CELLほか(全13枚)

三菱ふそう、ダイムラートラックは、グローバルで150台、160万キロのeキャンターの走行実績を持つEVトラックの先行メーカーのひとつだ。eキャンターの燃料電池バージョンは、2019年の東京モーターショーでコンセプトモデルを発表しているが、今回の発表で、この車両をeキャンター F-CELL(F-CELL)として2020年代後半までに量産化することを発表した。

三菱ふそう 代表取締役社長兼ダイムラー・トラック・アジア(DTA)代表 ハートムット・シック氏は、さらに2039年までには、「日本国内の新型車両すべてをCO2ニュートラル(走行時のCO2排出量に着目)にすることを目標としている」と語る。

そして、このビジョンを実現するソリューションは、EVとFCVしかなかったという。計画を議論する中で、天然ガスやハイブリッドという選択肢はなかったとも発言する。

EUでは、天然ガスやCNGの市販トラックへの採用が進んでいるが、ダイムラーでは、多くの部分がEVコンポーネントと共通化できるFCVを選んだようだ。

トラック業界でも環境対策としてハイブリッド車両の市場投入は進んでいる。三菱ふそうもハイブリッドトラックはラインナップしているが、同社はハイブリッドはあくまでつなぎ技術であるとし、これからの投資優先度は低いものになるとする。ハイブリッドは、構造も複雑になりコストがかさむ。稼働率の高い商用車においてはとくに、メンテナンスなどランニングコストの問題を考えると、長期的な解決策ではないという判断だ。

たしかに、サプライヤーのコンポーネントでとりあえず実現できるハイブリッドに中長期で投資するメーカーは、グローバルでみると少数派だろう。日本は、ハイブリッド車が他国より多く普及しているため、CAFE規制にとりあえず対応できているだけで、その他の国は、ハイブリッドを経由してEV、FCVに行く理由もインセンティブもない。

車両の電動化は、EVとFCVで進めるというビジョンは、三菱ふそうやDTAだけでなくダイムラーグループ全体の共有認識のようだ。

ダイムラーが考える電動トラックの戦略は、ルート固定、100~200キロの中距離はEVトラックで。ルートが固定でなく柔軟な稼働をするトラック、300キロ以上の走行距離が必要な大型トラックにはFCVを適用する。グループは、すでにeキャンターのプラットフォーム(フレーム)を持っており、商用利用の実績もある。大型EVトラックの開発も進めており、FCV化のハードルはそれほど高くない。

F-CELLのスペックは東京モーターショーでの発表から大きく変わっていない。最大出力135kW。燃料電池の出力は75kW。バッテリーは110kWとなっている。水素充填は5~10分ほど。1回の充填での航続距離は300km。総重量は7.5トン。このうち積載量は4トン前後(荷台の架装による)だが、搭載バッテリーが5個から1個になるので、燃料スタックや水素タンク等を含めると、トータルの積載用はディーゼル版のキャンターと同等になる見込みだ。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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