[カーオーディオ 専門用語をやさしく解説]パワーアンプ関連 その2

外部パワーアンプの取り付け例(製作ショップ:AVカンサイ宝塚店<兵庫県>)。
外部パワーアンプの取り付け例(製作ショップ:AVカンサイ宝塚店<兵庫県>)。全 2 枚

カーオーディオについてあれこれ調べてみると、難解な専門用語がいくつも登場し、親しみを持てずに調べるのを中断…。そのような経験を持つドライバーは少なくないようだ。そうならないための「用語解説」を展開している。

今回も前回に引き続き、「パワーアンプ」に関連したワードに焦点を当て解説していく。

後付けの「パワーアンプ」は必ずしも用意しなくても大丈夫だが…。

これまで解説してきたとおり、「サブウーファー」を導入しようとするときには何らかの「パワーアンプ」が必要となる。しかし、フロントスピーカーを鳴らすためには必ずしも別体の「パワーアンプ」を用意しなくても大丈夫だ。なぜなら、純正メインユニットにも市販ナビにも「パワーアンプ」が内蔵されているからだ。それらでは「サブウーファー」は鳴らせないのだが、フロントスピーカーなら問題なくドライブできる。

パワーアンプの一例(シンフォニ/クワトロリゴ)。パワーアンプの一例(シンフォニ/クワトロリゴ)。

ところで。カーオーディオでは、「メインユニット」に内蔵されている「パワーアンプ」と外付けの「パワーアンプ」は、区別されて語られることが多い。ゆえに、呼び方も変えられている。前者は「内蔵パワーアンプ」と呼ばれ、後者は「外部パワーアンプ」と呼ばれている。同じパワーアンプでありながらも別モノとして扱われている、というわけだ。

なぜかというと…。答はズバリ、「能力差が大きいから」だ。もちろん、複合機か専用機かの違いも大きいが、能力差もかなり大きい。純正オーディオや市販メインユニットの「内蔵パワーアンプ」は、能力的な限界値が高くないのだ。一部、「ハイエンドメインユニット」とカテゴライズされる高性能な機器ならば「内蔵パワーアンプ」にも高級パーツがおごられていて、パワーは小さいものの高音質に仕上げられているが、通常の「AV一体型ナビ」や手軽な「メインユニット」の「内蔵パワーアンプ」は、「外部パワーアンプ」と比べるとかなり非力だ。

なので、より良い音を得たいと考える方には「外部パワーアンプ」の導入がおすすめだ。「外部パワーアンプ」は絶対に必要なものではないが、これを用いれば一気にシステムのサウンドアップ化が果たされる。

「出力表示」には「最大」と「定格」の2種類がある。違いは?

さて、一般的な「AV一体型ナビ」や「カーオーディオメインユニット」の「内蔵パワーアンプ」が、「外部パワーアンプ」と比べて実力が劣ってしまう主な理由は何かと言うと、答は単純明快だ。「サイズ的な限界があるから」、だ。1DINもしくは2DINという小さな筐体の中では、「パワーアンプ」に割けるスペースは限られる。「パワーアンプ」は基本的に、ある程度の性能を得ようとすると筐体が大型化していく傾向にあるのだが、DINスペースの中では十分な能力を発揮できる「パワーアンプ」を組み入れることが難しいのだ。

ところで、「パワーアンプ」の能力を推し量ろうとするときには、カタログスペックの「出力」表示が参考になる。スペックから特長のすべてを読み取ることはできないが、「出力」を見ればなんとなくのグレード感をイメージできる。

で実は、スペックとしての「出力」は2種類がある。1つが「最大出力」で、もう1つが「定格出力」だ。これらは両方とも“出力”ではあるものの、内容が大きく異なっている。

違いは以下のとおりだ。「最大出力」は「瞬間的に発揮できる最大パワー」のことを指し、「定格出力」は常時安定的に出力できるパワー」のことを指している。で、「パワーアンプ」の能力を推し量ろうとするときには大抵、「定格出力」がチェックされる。「瞬間的にどこまでのパワーを出せるか」よりも、「安定的にどれくらいのパワーを出せるか」の方が重要だからだ。

なお、一般的な「AV一体型ナビ」や「メインユニット」の「内蔵パワーアンプ」は、どの程度のパワーが確保されているのかというと…。各社の製品のスペックを見ると、「最大出力」は「50W」である場合がほとんどだ。筐体のサイズ的に、このくらいが限度というわけだろう。そして「定格出力」はというと、「20W」から「30W」くらいというのが一般的だ。「内蔵パワーアンプ」の能力は、大体がこのくらいとなっている。

パワーの差は、音に与える影響も結構大きい!

対して「外部パワーアンプ」の「定格出力」は、廉価なモデルであっても「50W」程度が確保されている場合がほとんどだ。そしてミドルグレードのモデルともなると「100W」前後のモデルも多くなる。さらに高級機では、「200W」とかそれ以上のモデルも多々存在している。

ということは、定格出力が「30W」の「内蔵パワーアンプ」があったとして、定格出力が「150W」の「外部パワーアンプ」とは5倍ものパワー差があることとなる。この違いは音にも相応に効いてくる。

クルマのエンジンをイメージしてみると分かりやすい。例えば「660cc」のKカーと「3リットル」エンジンを搭載したクルマとを比べると、そのパワー差は圧倒的だ。走りの余裕がまったく違う、

カーオーディオにおいても「パワーアンプ」のパワー差が大きいと、表現できる情報量が大きく変わり解像度にも明らかな差が出る。そして何より、余裕が違う。

ちなにみ音楽は、音量が常に一定なわけではない。瞬間ごとで大きくうねる。そうしてリズムを刻み、抑揚を付け、人の心に迫ってくるのだ。で、「パワーアンプ」に余裕があると、大きな音を出したいときにその求めにスムーズに反応できる。大排気量のクルマが、高速巡航中でもそこから簡単に加速できるのと同様に、音楽のリズムと抑揚の変化を至ってスムーズに再現できる。

このように「外部パワーアンプ」を導入すると、ガラリと音を変えられる。なくても音楽を聴けるのだが、1度この良さを知ってしまうと元の音には戻り難い。システムの音質をより良くしたいと思ったときには、「外部パワーアンプ」は大きな力を発揮する。覚えておこう。

今回はここまでとさせていただく。次回も「外部パワーアンプ」に関連した用語の解説を続行する。お楽しみに。

ビギナー必読! 難解なカーオーディオの“専門用語”を易しく解説! Part9 パワーアンプ関連編 ll

《太田祥三》

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