【ヤマハ MT-10SP 試乗】「R1」のネイキッド版ではない!獰猛だが死角なきロードスター…青木タカオ

ヤマハ MT-10SP
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眼光鋭いフロントマスク、筋肉質なボディなのにテールエンドはミニマムで軽快。見るからに獰猛なモンスター系バイクだが、走りもやはり怪物級だ。

エンジンは低中速から図太いトルクを発揮し、高回転も伸びやかで隆々たるパワー。レスポンスに優れるダイレクトな駆動力、アクセルの開閉だけで色めき立つ。

アルミ製デルタボックスフレームに、1000ccクロスプレーン型クランクの水冷直列4気筒エンジンを搭載。中身はヤマハ・スーパースポーツ『YZF-R1』だから、圧倒的なパフォーマンスも頷ける。まさに“The king of MT”、「MTシリーズ」のフラッグシップモデルが、この『MT-10/SP』だ!!

サーキット最速を目指す「R1」のままカウルを脱いでネイキッド化したかといえば、それはノー。エキサイティングな走りを公道でも存分に味わえるようエンジンは低中回転域をより力強くし、常用回転域を重視した味付け。公表スペックは以下の通りとなっている。

ヤマハ MT-10SP
最高出力
YZF-R1=147kW(200ps)/13,500rpm
MT-10/SP=118kW(160ps)/11,500rpm

最大トルク
YZF-R1=113Nm(11.5kg-m)/11,500rpm
MT-10/SP=111Nm(11.3kg-m)/9,000rpm

ストリートを支配する実力者

ヤマハ MT-10SP
フレームも強度や剛性バランスを見直し、ストリートに順応した。ただし「R1」と比較すればこそ、ストリート向け、マイルドと言えるが、決して物腰柔らかいとは表現できない。凶暴なまでに加速は強烈だし、車体もしっかりとした剛性があり、上手く走らせるにはそれなりのライディングスキルが必要だろう。

たとえば、タイトコーナーを極低速で旋回するときなど、モリモリすぎるトルクをコントロールするのはビギナーには容易くないはず。「R1」がそうであるように、車体コントロールはライダーによる積極的な荷重入力があった方がいい。

逆に言えば、こう走りたいと意思表示すれば、従順にそれに応えてくれる高いポテンシャルを持っている。結果的にどんどんペースが上がってしまうが、自在に操っていると感じる人車一体感は「MTシリーズ」の大きな持ち味。リッタースポーツになっても、それは変わらない。

よりクレバーなSP

ヤマハ MT-10SP
さて、今回乗ったのは、より戦闘力の高い“SP”だ。前後サスペンションはスタンダードがKYB製であるのに対し、SPではオーリンズ製にグレードアップ。ライダーの好みに応じて、ダンパー特性をボタンひとつで調整できるセミアクティブタイプの電子制御式が奢られている。

バフ仕上げのスイングアームをはじめ、リムをブルーにしたホイールもSP専用グラフィックが施され、足まわりは一段とスポーティ。シート表皮もスエード調で、差別化されている。

ヤマハ MT-10SP
SP専用装備となるフルカラーTFT液晶メーターを見ながら、ハンドルにあるホイールスイッチで「PWR(パワーデリバリーモード)」「TCS(トラクション・コントロール・システム)」「QSS(クイック・シフト・システム)」「ERS(前後サスペンション)」の4つを、さまざまな組み合わせで設定可能。

直感的に操作できるから、設定をいろいろと試そうという気にさせてくれる。最もアグレッシブなスロットルレスポンスはPWR-1 で、トラクションコントロールを最小化するTCS-1にするとフロントが浮くほどのダッシュ力でますますキビキビ走る。

死角なきロードスター

ヤマハ MT-10SP
これだけのモンスターを雨天やスリッピーな路面で扱うのは神経を使いそうだが、PWR-3、TCS-3 とすれば穏やかな出力特性とトラクションコントロールの強い介入で、ウェットや荒れた道も難なく走れるだろう。

つまり、獰猛なモンスターであるものの、卓越した電子制御で誰でもコントロールできるアクセシビリティも持ち合わせているから舌を巻く。

そして、堂々たるアップライトなライディングポジションで、疲れも少ない。クルーズコントロールシステムも搭載し、ロングツーリングまでも視野に入れた。死角なきロードスターとし、さすがはMTシリーズの親玉である!!

ヤマハ MT-10SP

■5つ星評価
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
コンフォート:★★★★
足着き:★★★
オススメ度:★★★★★

青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

《青木タカオ》

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