金色の“サポキー”を使うだけ、トヨタが踏み間違い防止システムを新開発 障害物なしでも作動

トヨタ プリウス/プリウスPHVの改良で新採用となった急アクセル時加速抑制システム「プラスサポート」
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トヨタは7月1日、『プリウス』『プリウスPHV』の一部改良モデルを発表した。先進安全性能の強化が目玉だが、その中でも特に注目したいのは、新開発の急アクセル時加速抑制システム「プラスサポート」だ。

「何としてもプリウスからお届けしなければ」と語るトヨタ。約1年(!)という短い開発期間からもエンジニアの思いが伝わる。この「急アクセル時加速抑制システム」は、社会問題化した高齢ドライバーのペダル踏み間違い事故の抑止、被害軽減のために新たに開発された。

障害物がなくても運転行動などからシステムを作動させる

トヨタ プリウス 一部改良車トヨタ プリウス 一部改良車
トヨタでは、超音波センサーを用いたICS(インテリジェント・クリアランス・ソナー)を2012年12月に市場投入して以来、その装着率は85%にのぼるという。また2018年からは、後付け可能な、アクセルを絞ることで加速させない方式の「踏み間違い加速抑制システム」も現在は12車種に展開。ICSについては、駐車場などでの踏み間違い事故が約7割低減しているとの調査結果も出ている。そこで残り3割の事故の低減を命題として、今回のシステムは開発された。

新しいシステムの大きな特徴は、壁やガラスなど静的な障害物などがない場合でも機能が働く点。DMC(データ・コミュニケーション・モジュール)と呼ぶ車載の通信機からとり貯めたビッグデータを活用し「過去の実際の踏み間違い事故のデータ、ICSの作動履歴、運転行動などの情報の中から踏み間違いと判定可能なロジックが開発できたことが肝」という。

プラスサポート(急アクセル時加速抑制)非作動時(上)と作動時(下)の違いプラスサポート(急アクセル時加速抑制)非作動時(上)と作動時(下)の違い
そこから“車速が低く、アクセルペダルの操作速度は速くかつ踏み込み量が大きく、上り坂以外で、直前のブレーキまたはウインカー操作はナシ”との運転中の諸条件を勘案、誤作動になり得る条件を排除しながら、システムが作動するように定義されている。

市場導入に当たっては「プラスサポート」の呼び名で、専用のスマートキー(通称“サポキー”)を用意。このキーを使いクルマのドアロックを解錠すれば、自動的に急アクセル時加速抑制機能がオンとなる。家族内でもキーを使い分けるだけで、面倒な設定、切り替えなしにこの新機能の支援が受けられるという訳だ。

金色のサポキーを使って解錠するだけでシステムが作動する。価格は通常のスペアキーと同じ金色のサポキーを使って解錠するだけでシステムが作動する。価格は通常のスペアキーと同じ

通常時の運転に干渉せず、違和感のないものに

トヨタ プリウス/プリウスPHVの改良で新採用となった急アクセル時加速抑制システム「プラスサポート」
短時間ながら実車での試乗もできた。パターンは、サポキーで開鍵、乗車後、フル加速を試して停車。その後、ブレーキから足を放し3秒後にアクセルを全開に踏み込むと、加速抑制が入り、クルマはジワジワとしか前進しない状態に。その状態からアクセルを戻せば加速抑制の機能はキャンセルされ、今度は通常の加速が可能となった。

ほかに加速抑制が意図せずに入ってしまったパニック状態を想定したパターンとして、停止状態からブレーキを離し3秒後にアクセルを何度も踏み直すと、30km/h程度まで速度が上がり、一方で前車を回避する想定でウインカーを出しながら車線変更をしフル加速させれば、この場合は通常どおり加速、ウインカーを出さずに行なえば作動する。

ブレーキから足を放し3秒後にアクセルを全開に踏み込むと、加速抑制が入り、クルマはジワジワとしか前進しない状態にブレーキから足を放し3秒後にアクセルを全開に踏み込むと、加速抑制が入り、クルマはジワジワとしか前進しない状態に
全体として、作動タイミング、所作など、十分に違和感なく自然なものに感じられた。

「作動範囲が30km/hまでなので事故のカバー範囲が広げられた。バックアップ制御として加速抑制後に踏み直せばゆっくり加速する仕様にもしてあります。いかに通常運転への干渉が避けられるかも配慮しました。ビッグデータは全国津々浦々のもののアクセルが100%踏まれた状態の直前直後のデータを抽出、それを解析しました」(安全技術全般ご担当・池田幸洋氏)。

今回の『プリウス』『プリウスPHV』の改良では、ICSの全車標準装備化や「Toyota Safety Sense」の機能向上も図られた。給電機能も全車に標準装備となった。プラスサポートの専用キーを識別するためにボディECUも新しく、サポキー自体は通常のスペアキーと同じ価格に設定されている。

《島崎七生人》

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