【トヨタ グランエース 新型試乗】アル/ヴェルの不満を解消し、ミニバンの本質を突いた…渡辺陽一郎

アルファード/ヴェルファイアの不満を解消する後部座席

重量級のボディでも、パワー不足を感じない

改善すべきは50km/h以下での快適性

トヨタ グランエース(右)とアルファード(左)
トヨタ グランエース(右)とアルファード(左)全 14 枚

アルファード/ヴェルファイアの不満を解消する後部座席

居住性の最も優れたミニバンは、『アルファード/ヴェルファイア』とされるが、3列目の快適性は2列目に比べて大幅に見劣りする。3列目は左右に跳ね上げて小さく畳むことに重点を置くためだ。頭上と足元の空間は広いが、シートの柔軟性は乏しい。

【画像全14枚】

また床と座面の間隔が不足しているから、足を前方に投げ出す座り方になってしまう。5名以上で長距離を移動する時は、時々席替えをしないと不公平になりそうだ。あるいは2台のクルマに分乗する必要が生じる。これではミニバンのメリットも薄れる。

トヨタ グランエーストヨタ グランエース
この不満を解消したのが『グランエース』だ。6人乗りのプレミアムは、2列目と3列目の両方に、電動オットマンなどを備えた豪華なエグゼクティブパワーシートを装着した。厳密には3列目の天井は2列目に比べて少し低いが、シートの造りは2/3列目ともに共通で、足元空間も十分に広い。従って席替えの必要もない。また1列目も相応に快適だから、大人6名が乗車して、長距離を快適に移動できる。

重量級のボディでも、パワー不足を感じない

トヨタ グランエーストヨタ グランエース
エンジンは『ランドクルーザープラド』などと同じ直列4気筒2.8リットルクリーンディーゼルターボで、1500回転以下でもターボにありがちな駆動力の低下を抑えた。1600回転を超えると余裕のある駆動力が沸き上がり、2700kgを超える重量級のボディでも、パワー不足を感じない。しかもノイズや振動が小さく(6人乗りのプレミアムは合わせガラスで遮音効果を一層高めた)、通常の走行ではディーゼルをほとんど意識させない。

ボディが重く、全高も1990mmだから重心も高いが、ブレーキを作動させた時でもボディの前後方向の揺れは小さい。背景には商用車の入念な造り込みがある。高い負荷に対応すべく、ボディ剛性も高めたから、多人数で乗車しても走りの変化が少ない。

走行安定性も同様だ。カーブを曲がる時にはボディが相応に傾くが、唐突な挙動変化は生じないから安心できる。全幅が1970mmとワイドだから、取りまわし性は良くないが、カーブを曲がる時の不安感は抑え込んだ。

改善すべきは50km/h以下での快適性

トヨタ グランエーストヨタ グランエース
乗り心地も重厚感が伴って快適だが、時速50km以下ではタイヤの硬さを感じる。タイヤサイズは17インチ(235/60R17)で、銘柄は商用車用のブリヂストン・デュラビスR660AとダンロップSP・LT30Aだ。3トン近いボディと6名の乗員をこのタイヤサイズで支えるため、指定空気圧は前輪が300kPa、後輪は350kPaに達した。ここを改善すれば、快適性は極上になる。

グランエースは、5~6名で乗車して、長距離を頻繁に移動する用途にピッタリだ。6名乗車時の居住性を徹底的に高めたので、ミニバンの本質を突いたクルマともいえるだろう。トヨタは『シエンタ』/『ヴォクシー』系3姉妹車/アルファード&ヴェルファイアとミニバンを豊富にそろえるので、グランエースの追加により、さらに幅広いニーズに対応できるようになった。

トヨタ グランエーストヨタ グランエース

■5つ星の評価
パッケージング:★★
インテリア&居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト
1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

《渡辺陽一郎》

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト 1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

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