ポルシェ 935 新型、700馬力のクラブスポーツレーサー…パイクスピーク2020に参戦

1970年代のレースで活躍したポルシェ935へのオマージュ

CFRP製ボディにより車両重量は1380kgに

3.8リットルツインターボは最大出力700ps

ドライバーには「レジェンド」ジェフ・ズワート氏を起用

ポルシェ 935 新型
ポルシェ 935 新型全 11 枚

ポルシェは7月13日、ポルシェの70周年を記念するクラブスポーツレーシングカーとして、2019年に世界限定77台を販売した新型ポルシェ『935』(Porsche 935)が、8月に米国で開催される「パイクスピーク国際ヒルクライム」に参戦すると発表した。

1970年代のレースで活躍したポルシェ935へのオマージュ

新型ポルシェ935は、1970年代のモータースポーツで活躍を収めたポルシェ935へのオマージュとして企画された。ポルシェは当時の『911』をベースに、最大出力600psを発揮するポルシェ935を開発し、1976年の世界メーカー選手権(現在の世界耐久選手権に相当)で、ポルシェにタイトルをもたらした。ポルシェ935は、その後1981年まで、グループ5のレースにおいて、圧倒的な存在感を見せつけることになる。

ポルシェ935は1978年、『935/78』に進化した。ロング&ワイドのテールが特長の935/78は、延長されたボディから「モビー・ディック」と称され、シャシー性能とエアロダイナミクス性能を前シーズンからさらに強化した。排気量3211ccの水平対向6気筒ガソリンツインターボエンジンは、最大出力845psを引き出し、1978年のルマン24時間耐久レースでは、366km/hの最高速を記録した。ポルシェ935/78は現在でも、最強の911として君臨している。

ポルシェの70周年を記念して、2019年に77台を限定生産した新型ポルシェ935は、この1978年のポルシェ935/78がモチーフだ。先代911(991型)シリーズの最強モデル、『911 GT2 RS』をベースに、当時のレーシングカーを連想させるボディを新たにデザインした。新型ポルシェ935は、特定のレースへの参戦を目的にしていない。そのため、1978年の935/78をモチーフにしながらも、当時のレーシングカーのようにレギュレーションに従う必要はなく、自由に開発は行われたという。

CFRP製ボディにより車両重量は1380kgに

新型ポルシェ935のボディサイズは、全長4865mm、全幅2034mm(ドアミラー含む)、全高1359mm、ホイールベース2457mmだ。911 GT2 RSのスチール&アルミ製ボディは、カーボンファイバー強化樹脂(CFRP)を使った専用ボディに置き換えられた。ボディの大部分は、軽量なCFRP製となっており、無塗装のカーボン仕様も選択できた。

また、幅1909mm、奥行き400mmの巨大なリアウイングをはじめ、エアロダイナミクス性能を追求した。フロントフェアリングのホイールアーチの通気孔は、レーシングカーの『911 GT3 R』の技術を導入したもので、フロントアクスルのダウンフォースを増加させる。車両重量はCFRP製の専用ボディにより、1380kgに抑えられた。ポルシェ 935 新型ポルシェ 935 新型

3.8リットルツインターボは最大出力700ps

新型ポルシェ935のパワートレインは、911 GT2 RSと基本的に共通だ。直噴3.8リットル水平対向6気筒ツインターボエンジンをベースに、可変タービンジオメトリー(VTG)を備えた大型ターボチャージャー、新設計の吸気システムなどを採用。この結果、ポルシェの市販車としては、史上最強の最大出力700ps/7000rpm、最大トルク76.5kgm/2500~4500rpmを獲得する。トランスミッションは、専用ギアレシオの7速PDK。駆動方式はRR(2WD)。0~100km/h加速2.8秒、最高速340km/hというポルシェ史上、最速のパフォーマンスを備えていた。

シングルシーターのコックピットは、レーシングカーそのもの。カーボンファイバー製ステアリングホイールとカラーディスプレイは、2019年モデルの911 GT3 Rと同じ装備だ。レーシングバケットシートや6点式ハーネス、ロールケージが組み込まれる。オプションで、助手席が装備できる。

ドライバーには「レジェンド」ジェフ・ズワート氏を起用

ポルシェはこの新型935で、8月30日に米国で決勝レースが開催される「パイクスピーク国際ヒルクライム」に参戦する。パイクスピーク国際ヒルクライムは、米国コロラドスプリングスで1916年から開催されており、世界で最も有名なヒルクライムレースとして知られる。

競技は全長20kmのコースを一気に駆け上がり、タイムを競う。標高はスタート地点が2800mで、ゴール地点が4300mだ。標高差1500m、コーナー数156。内燃機関で駆動する車両は、ゴール付近では標高の高さに起因する酸素不足により、パワーが約30%ダウンする。

また、ドライバーには、ジェフ・ズワート氏を起用する。60歳を超えている同氏の本職は、映画監督で写真家。パイクスピーク国際ヒルクライムに魅せられて、1994年にポルシェで初出走して以来、8回のクラス優勝を成し遂げた。パイクスピークの歴史において、最も多くポルシェで参戦した経験を持つ「レジェンド」を起用する。

《森脇稔》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. 三菱『デリカD:5』ついにフルモデルチェンジへ! 車名は「D:6」!? 2025年内発表か
  2. [VW ゴルフ 50周年]重量増加スパイラルに逆行した第7世代
  3. 【ジープ ラングラー 4xe 新型試乗】ラングラーがまぁ静かになっちゃって…中村孝仁
  4. トヨタ『4ランナー』新型...最新技術と高い耐久性の両立[詳細画像]
  5. 総合商社恐るべし!? 伊藤忠がビッグモーター新会社へ社長・幹部ら50人超派遣[新聞ウォッチ]
  6. トヨタ『GRカローラ』は『GRヤリス』とは異なるスタンス…4月の試乗記まとめ
  7. ダムドが伊・OZ Racingとコラボしたネオクラシックホイール「Rally Racing 4×4」の受注を開始
  8. トヨタ『カムリ』新型...ベストセラーはどこが新しくなったか?[詳細画像]
  9. 全長100メートルのジャンボこいのぼりと名車がコラボ…第12回KAZOクラシックカーフェスタ
  10. 初代レオーネクーペや4WDのエステートバンなど…2024年春季スバルレオーネオーナーズクラブ渡良瀬ミーティング
ランキングをもっと見る