スズキ ジムニーSJ30 をEVに改造、CHAdeMO対応に…南極点到達を目指すZEVEX

2020年7月12日18時58分、クロカン四駆の電気自動車が、日本で初めてCHAdeMO急速充電器からの充電に成功した瞬間。
2020年7月12日18時58分、クロカン四駆の電気自動車が、日本で初めてCHAdeMO急速充電器からの充電に成功した瞬間。全 16 枚

4WD電気自動車による南極点到達を目指す「ZEVEX~ゼベックス(本部:京都市)」は、スズキ『ジムニー』(SJ30)をベースに改造した、本格的なオフロードを走行可能な四駆EVにさらに改造を加え、CHAdeMO規格の急速充電器を使って充電可能なEVジムニーとした。

川崎市のチームピットで製作を続けていたカスタム作業は7月12日に完了し、26日に公表した。ゼベックスによると、深い積雪路を含むオフロードを走行できるEVで、急速充電器を使って充電できるEVは、この「SJ2001」号が日本初だという。

ゼベックスは、EVジムニーを急速充電器対応にしたことによって、南極点アタックメンバーの訓練や追加メンバーの選抜をより効率的に実施できる、と開発の理由を説明する。

ゼベックスは1997年以来、悪路を走る四輪駆動車の環境問題について考え、実際に活動している。ゼベックスは1999年から2000年にかけて1台のジムニー(1981年製)をEVに改造し、車検を取得した。これがSJ2001号だ。SJ2001号は改造を繰り返し、様々な電源で長距離試験走行を行ない、2009年からは家庭用単相100/200Vコンセントからの充電を中心に運用されていた。2019年、CHAdeMO規格での急速充電を可能にするBMS(バッテリーマネジメントシステム)が市販されたことで、これを使ってアップデートすることになった。バッテリー廻りにバスバーとセンサー線を取り付けて行く。高電圧なので、EVの作業の中で一番危険性の高い作業と言える。ゴーグルと手袋は必須(絶縁手袋は、この時は作業性が悪く使えなかった)。バッテリー廻りにバスバーとセンサー線を取り付けて行く。高電圧なので、EVの作業の中で一番危険性の高い作業と言える。ゴーグルと手袋は必須(絶縁手袋は、この時は作業性が悪く使えなかった)。

SJ2001号のモーターは、当時のEVで一般的だった直流直巻モーターを搭載する。回生ブレーキは使えないが、強力な低速トルクを発揮する。バッテリーは従来のリチウムイオン電池を、日産『リーフ』の中古リチウムイオン電池(40モジュール)に交換した。総電力量は20kWhだ。システム電圧は改造前の300Vから170Vになった。市販後1年ていどの実績しか無いBMSで、いちばん多く使われていたのが170V仕様だったことから、システムの安定性を優先し、同じ仕様を採用した。

完成したばかりで実走テストが充分ではないが、満充電からの走行距離は130~140kmで、急速充電器に30分つなげば、さらに約100km走行可能とゼベックスでは予想している。定格出力は18.6kW、車両重量は1010kg、乗車定員は2人で、車検証の記載では軽自動車だ。改造費用に関してゼベックスは「何とも言えない」とする。今回の改造は、すでに公道で使い続けていたEVを、街の急速充電器が使えるようにアップデートしただけだ。20年前と比べると今は法規制が厳しくなっている。車検は取得せずに限定した場所で走らせる前提で、車両代金や工賃とは別に、200万円ぐらいは必要なようだ。

セベックスは、別途製作したEVジムニーで、結氷した間宮海峡(ロシア)を走った実績を持つ冒険チームでもあり、次の目標として、四駆EVによる世界初の南極点到達をめざしている。アタック隊の訓練や追加隊員のセレクションは、例えば冬季の北海道で1000km、2000kmという距離を、実際に車両を走らせながら行なうと効率的であり、人物の資質も見える。そのためにSJ2001号を急速充電器対応にする必要があったという。氷結した間宮海峡上を走行するEVジムニー。氷結した間宮海峡上を走行するEVジムニー。

《高木啓》

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